経験者インタビュー

培った映像制作のスキルで
ボランティア活動をやってみたい
思いを叶える募集記事と出会いました

江川智芙美さん
塾勤務(映像制作担当)
PROFILE
学習塾の映像制作ディレクターとして動画制作に携わっている江川さん。動画の撮影、編集、進行管理を専門とされている中、初めてのボランティアでスキルを活かした成果物を提供しました。
※江川さんのGRANT参加実績はこちらからご覧いただけます。
専門スキルを活かしたボランティアをやってみたいと思い続けていた江川さん。初参加のプロジェクトについての進め方などを中心にお話しを伺いました。
映像制作のスキルをボランティアに活かしたいと思っていました
普段は、塾の運営をメイン事業とする会社の映像制作チームに所属しています。制作ディレクターとして教育に関する映像や広報PR動画の撮影や編集を担当してきました。

もともとボランティア活動に興味はありましたが、これまで参加経験はありませんでした。映像を使ったボランティアができたらいいなと思っていたけれどなかなか出会えなかったこともあります。
検索しているうちに「プロボノ」という言葉を知って、そうしたらサービスグラントさんがでてきたので登録してという流れです。ただ、子育てをしていることもあり、チームで支援するタイプのプロジェクトだと急に休むことになったら迷惑がかかってしまうかなと思い、なかなか一歩目を踏み出せずにいました。
ちょうどそのときにGRANTを知って、一人で参加できるタイプのプロジェクトだということだったので「ああいいな」と思って。GRANTの映像のプロジェクト募集をちょこちょこ見ていて、行けそうと思ったタイミングで今回のエファジャパンさんの案件と出会い、手を挙げさせてもらいました。
ぜひ参加したいと思えるプロジェクトとの出会い
参加したプロジェクトは、認定NPO法人エファジャパンという国際協力団体の「活動を紹介する動画の制作」です。エファジャパンさんは、本の飢餓をなくすためにベトナム、ラオス、カンボジアで活動されているのですが、その活動を多くの方に知ってもらう、応援してもらうための動画を今回は制作しました。

支援募集記事:団体の活動を紹介する動画の制作


私自身教育関連の業界で働いていて、本を読むのが好きというのもあって、「本の飢餓をなくしたい」という団体の活動に共感して、ぜひお手伝いしたいと思ったのがエファジャパンさんに応募した一番のきっかけです。

GRANTは一人で支援するボランティアなので、仕事と違って上司がいるわけではないため、困ったとき誰に相談しようかという不安はあったのですが、いざというときはGRANT事務局さんに連絡しようと思っていました。サービスグラントのプロボノ説明会で事務局の方とお話をした経験から、困ったときは相談に乗ってもらえそうだなと思えたこともあり、大きな不安はなく参加できたかなと思います。
最初の面談でしっかりお話できました
プロジェクトでは、最初に団体の方から動画で伝えたいことについてお話を伺い、団体さんが作った字コンテを見せていただきました。また、素材(写真、動画)についても確認しました。
字コンテは団体さんが伝えたい物語や言いたいことを書いたものだったのですが、そのまま動画にすると10分くらいの長いものになりそうだと思いました。そこで、団体さんと相談しながら私の方で切り取って4分以内におさめるように進めていきました。

プロジェクト成果物のショート動画


団体の窓口の方はレスポンスも早く、コミュニケーションをとるのが上手な方で、こちらの意図を汲み、やりたいと思っておられることを上手にお話していただけました。団体さんが、やりたいこと、動画で伝えたいことがはっきりされていたため、私もどんどんプロジェクトを前に進めていけたという感じです。
業務と同じように進行できました。そのコツは?
最初のミーティングはオンラインでしたが、その後はGoogleスプレッドシートを活用してやり取りを進めました。スプレッドシートは私が作成して、やり取りはFacebookメッセンジャーを使いました。普段から業務で活用していて使い勝手にも慣れていた「Googleスプレッドシート」が使えるというのがすごくありがたかったです。

プロジェクトで工夫したことは、一番最初に全体のスケジュール感を共有したことでしょうか。GARNTではマッチング後にシステムにスケジュールを登録しますが、それ以外にもスプレッドシートで工程表(ガントチャートのようなもの)を作って、さらに工程を見える化しました。フォーマットは日付を書いた簡単なシートなのですが日常、仕事で使い慣れているものです。工程表があることで団体さんも安心されると思いましたし、私も焦ることなく安心して進めることができました。

プロジェクトの工程表(一部抜粋)


また、スプレッドシートに字コンテや絵コンテを全部書き出して、その横に団体さんからもらった素材や、付け足した方がいいと思った絵をどんどん入れていきました。スプレッドシート上でやり取りがポンポンと進んだ感じです。
絵コンテがOKになったらVコンテをつくって動きをつけていきました。
あとはBGMを集め、ナレーションは団体さんの知り合いの方が担当されたので録音した音声素材を送ってもらって編集で当て、完成までもっていきました。

スプレッドシート(一部抜粋)


スムーズにプロジェクトが進んだのも、最初の方で「色やテイストなどのコンセプトデザインはホームページを元にしてください」というお話があったからかなと思います。動画は写真素材や映像素材が揃っていることはもちろんですが、何を伝えたいかという軸がはっきりしていると作りやすいです。また、団体のコンセプトカラー(色)やロゴが決まっているとより作りやすいと思います。今回のプロジェクトは最初の時点でこういった素材が揃っていたのでスムーズに進みました。

唯一苦労した点は、ストーリーの肝となる写真が「1枚」だったのでどう見せようか悩んだところです。その時は1枚の写真を、グレーからカラーに変えてみたり、スクロールしたり、アップにして目を中心に写したり、そこからぐっと引いたりして、「1枚の写真」が「動画」として成立するように工夫しました。素材がない中でどう魅せるかということを考えるのも映像制作の楽しくやりがいのあるところだと思います。

「コンテ」は、コンティニュイティ(continuity)の略語で動画の構成や編集ポイントを記した企画のための資料のこと。動画のイメージを文字で説明する「字コンテ」。イラストや画像などで説明する「絵コンテ」。絵コンテを動画にして大まかな流れを表現する「Vコンテ」があります。
普段の生活に組み込みながら取り組みました
全体のスケジュールとしては5月13日にキックオフ、7月20日に納品で、2カ月ちょっというプロジェクトでした。普段の仕事の感じで進められたことと、団体さんのチェックバックも早かったのでスムーズに進んだと思います。

GRANTの活動は夕食後の時間や週末を活用しました。昼休みに絵コンテを考えたりと、日々の生活にうまく組み込めました。仕事で身に着けたスキルを、普段やっているように活かしていった感じです。

時間としては週によってまちまちでしたが、平日は1日1時間、週末は3~4時間という感じでしょうか。
ボランティアをやってみたいという思いが達成!
普段の仕事では関われないようなNPO団体や実際に活動されている方とお話できて、たいへん勉強になりましたし、元気や勇気がもらえました。

仕事だけをしていると、市場・競争・消費といった資本主義的な活動が生活の中心になりますが、それだけだとちょっと疲れてしまうというか、そういった場所以外の場所でも何かしたいな、できることはないかな、という思いが常にあったので、GRANTを通じてその思いを実現することができてうれしかったです。
失敗しても大丈夫だからまず登録を!
GRANTは、プロジェクト型のボランティアで、ウェブ上で困っている人(団体)と助けたい人(参加者)をマッチングができるという画期的なシステムだと思います。誰かの助けになりたいという気持ちが生まれることがあると思うんですけど、なかなか自分の生活を全部投げうって誰かを助けるのは難しい。でもGRANTを活用して、自分のちょっとした時間を使って誰かを助けることができるのはすごくいいなと思いました。

GRANTへの最初の一歩としては、とりあえず登録をしてみるのがいいと思います。登録するとメールで情報が届くので、いろんなプロジェクトが動いているんだなというの見ているだけでもすごく勉強になります。その中でこれならいけそうというものを見つけて応募することができるため、まず登録することをおすすめしたいです。

一人でボランティアをするということに対して不安もあると思いますが、失敗しても大丈夫というメッセージを伝えたいです。もしも、困ったことがあったら事務局の方にも相談できると思いますので、まずは気になったプロジェクトに参加してみるのがいいと思います。


※掲載内容は2023年9月取材時点のものです。