経験者インタビュー

新しいプロボノ支援のスタイルに
興味があってエントリー
メルマガ立ち上げ支援にチャレンジ

山野翔太さん
不動産情報メディア運営
PROFILE
不動産情報のメディア運営をしている会社で、事業企画を担当する部門にて、事業戦略や営業戦略、新しいサービスの検討に従事している山野さん。4年前に、チームで取り組むプロボノプロジェクトへ参加して以降、継続的にプロボノ活動に参加しています。
「GRANT」がβ版として公開されてから早々に、参加へトライした山野さん。参加のきっかけや経験を伺いました。
新しい支援スタイルに興味を持ちエントリー
これまで、マーケティング基礎調査、事業評価といったプロボノプロジェクトへ参加してきました。サービスグラントから「GRANT」立ち上げの知らせが届き、当時募集のあったプロジェクトのうち、あるNPOの「メールマガジン立ち上げ」に興味を持ちました。自分のスキルが役立つと思えたこと、そして、一人で支援を行うという新しいスタイルに興味を持ち、手をあげました。ここは、エントリー時の不安でもあり、ワクワクでもありました。

これまでは、プロボノチームのメンバーと議論しながらプロジェクトを進めていましたが、「GRANT」で応募したプロジェクトは、進捗管理や成果物の質の担保を一人で行います。本業で直接メルマガの立ち上げを行ってきたわけではないのですが、関連する業務の経験はあります。その経験を活かして、最後までしっかり自分で進めてみようと思い応募しました。
メルマガの企画を話し合うところからプロジェクトがスタート
支援先団体は、「乳房再建手術」への社会的認知と理解を広げる活動をしているE-BeC(イーベック)さんです。これまでは、ウェブサイトやセミナー等を通じて乳房再建手術に関する情報の発信をされてきました。これらに加えて、より多くの方へ情報を届けるため、メールマガジンの配信を開始したい、というのが団体のニーズでした。

プロジェクトは、メルマガの企画を話し合うところから始めました。メルマガ配信には、ツール設定や原稿作成等、具体的な作業が必要です。しかし、作業の前に、団体の皆さんと打合せをもち、具体的にどんな情報発信をしたいのか、どのような人に届けたいか、どのくらいの頻度・分量の発信となるか…等、要件の整理を行いました。そのうえで、各種配信ツールの機能や操作性、予算等を比較しながら、一緒に選定をしていきました。配信ツールが決まってからは、初期設定を行い、操作方法をお伝えして、団体にデータの取り込み作業をやっていただきながら準備を進め、実際の配信を行うところまでサポートしました。また、団体からご要望があった操作マニュアルを作成し、納品しました。

具体的にメルマガでお知らせしたいセミナーの開催が決まっていましたので、その告知の時期に合わせて、約2カ月間で完了することを目標に進めました。打合せは、2週間に1回のペースで進め、前半で企画をかため、後半には団体の方にも手を動かしてもらいました。
よかったことは、新しい出会いや経験、視点が得られたこと
現職の事業企画や、前職であるコンサルタントの業務で、ITツールの選定や要件定義に携わったことがあったので、始めに企画や要件といった軸を整理すること、それからツール選定を行うこと、ITの知識、マニュアル作成などに、経験が活きたと思います。プロジェクト完了から半年くらい経った時に、その後の活用状況を伺ってみたのですが、セミナー参加者が増えるなど効果が出ているというお話を伺い、よかったと嬉しく感じました。

プロジェクトを通じて、よかったと思うことは3つあります。
ひとつめは、自分が普段出会わないようなNPO団体と関わり、成果を残すことができたことが、純粋に良かったし、嬉しかったです。 ふたつめは、メールマガジン立ち上げという経験ができたことです。配信ツールの機能や仕組みを調べたことで新しい知識が得られ、大変勉強になりました。

最後に、ビジネスとNPOの違いを感じることができたことで、当初予想していなかった収穫でした。例えば、メルマガの購読申込フォームの項目設定ひとつとっても、団体のユーザーの多くが匿名性を大事にしたいと考えている気持ちを汲み取って設計しました。そうした点は、自分には予想しなかったことで、学びにつながり視野が広がったと感じています。

ありがたいことに、進行で苦労したということは、あまりなかったです。開始前には想定していなかったこと、例えば、元のドメインとの同期設定を行う必要があり、サービス提供企業とやりとりが生じた、といったことはありましたが、可能な範囲で対応しました。
知らないことがたくさんある、そんな白地も含めて視野が広がった
「GRANT」の醍醐味は、2つあると思っています。
ひとつは、1人、ないしは、自分で作ったチームで支援を行うというプロジェクトのスタイルで、自分で進行や設計の舵とりをしていけるところです。もう一つは、非常に多様なプロジェクト情報にふれられること。ニーズ調査やFacebookページ立ち上げ等の他にも、通常のプロボノプロジェクトでは、あまり見られないような、「美味しいお茶の入れ方」の講師募集など。多様なテーマがあるので、自分のやりたいことや興味にあわせて参加できることが醍醐味だと思います。プロジェクト情報を眺めるだけでも、どんな風に役立てるかを考えながら、自分のスキルや知識の発見にもつながると思います。

今回の支援先さんに出会うまで、取り組まれている活動が社会的にいかに必要なことなのか知らなかったです。世の中には、自分が知らない取り組みや社会課題がたくさんあるんだと、毎回プロボノプロジェクトに参加するたびに思います。 自分が知らないことの大きさに自覚的になれた、というか…、そういう白地を含めて視野が広がり、新しい情報に触れた時にも、同時に知らないこともある、という姿勢で世の中に向き合えることができるようになりました。

自分にとっては当たり前の知識やスキルが、NPOや地域団体さんに喜んでもらえて、団体さんの力になり、ひいては社会をよくするところに貢献できることがあると思います。今回のプロジェクトに関しても、ものすごく高品質のものを提供できたという認識はそんなにないのですが、プロジェクトが終わった後に、本当にありがとうございましたと言っていただけ、お菓子をくださったんです。その声をもらった時、やってよかったなと実感が強く感じられました。
まずは団体に問合せてみるところから
どのプロジェクトでも、プロボノへ参加したり、NPOと関わったことがある方であれば、誰でもプロジェクトを成功させることができると思います。すごく経験が豊富でなければならない、とか、高い専門性がないとできない、ということはないと思っています。

プロボノのように社外の方々とコミュニケーションをとるプロジェクトでも、社内であっても、はじめに、きちんと企画や要件を共有しないといけないのは同じだと思いますし、そうはいっても進行中、想定していないことが起きるのも同じ。プロジェクトの設計や進行の経験を重ねてながら得た知見を活かして、そういった時どうしようか、ここはこうすれば、もっとうまく進めるのでは?と常に考えながら仕事を進めています。

「GRANT」は、自分の腕試しがしたいとか、まったく同じ業務経験はないけど挑戦してみたいとか、経験を積みたい人、新しいことをやりたいという人にはうってつけのプラットフォームだと思っています。
普段は意識していなくても、自分の経験やスキルを必要としている人や場面はたくさんあります。一歩踏み出すことで、自分自身の視野も広がりますし、よかったと思ってもらえます。まず、団体に問い合わせするところから始めてみてはどうかなと思います。
  

※掲載内容は2020年5月取材時点のものです。