経験者インタビュー

支援先団体との出会いは一期一会
一番大事にしていることは
自分自身が楽しんで取り組むこと

井澤 暢さん
電機メーカー勤務
PROFILE
電機メーカーで経費管理を担当している井澤さん。業務では経営可視化を専門分野としています。
5年間のプロボノの経験の中で支援した多くの団体と継続して関係を築いている井澤さん。登録から5カ月で4つのプロジェクトに参加したGRANTへの取り組みについてお話を伺いました。
プロボノとの出会いは5年前
社会人となって日々の生活に充実感がなく「人生はもっと楽しいはず」と不満がつのりました。途上国でのボランティア活動にやりがいが見つかるのでは、と期待し青年海外協力隊でアフリカに行きました。厳しい環境であっても、懸命に楽しく生きている現地の人たちの姿は新鮮でした。その後は、語学関係のボランティアとして、外国人の方とのイベントなどに同行して通訳的な役割などを行っていましたが、いまはプロボノ活動を中心に取り組んでいます。

5年前に新聞記事で「プロボノ」という言葉を知り興味を持ちました。自分が勤める会社以外でいろいろな経験ができるということで、自分の視野が広がるのではないかと思いました。どちらかといえば、人助けというより、自分の経験として面白そうという感覚で始めたのがきっかけとなりました。

GRANTには2021年の5月に登録しました。それから、これまで3件のプロジェクトに対応し、現在4件目のプロジェクトが始まったところです。約5カ月の間に4つのプロジェクトに取り組んだということで、忙しい毎日を過ごしたように思われるかもしれませんが、たいへん楽しんで取り組んでいます。
スキルを活かせるよりも楽しめることが重要
GRANTのトップページには、さまざまな募集中のプロジェクト情報が掲載されています。このページを眺めているだけでも楽しいんですよね。こんなことを求めているんだという点も興味深いですし、エントリーシートを書いてみようとすると気持ちが高まる気がします。なかでも応募してみよう、問い合わせをしてみようというプロジェクトは、自分のスキルや能力でできるだろうか、というのが私にとって一つ目の重要なところです。二つ目は、スキルや能力よりも、もしかしたらもっと重要かもしれませんが、そのプロジェクトに取り組むことで「自分が楽しめるかな」というところです。自分自身が楽しんでできないと、なかなか団体さんに満足いただくのが難しいと思うので、私の場合は、自分の力を出して楽しく充実した活動にできるかという観点で選ぶようにしています。

GRANTの仕組みは、チームではなく個人で取り組むことが前提なので、よくも悪くもプロジェクトの成果がわたし個人のパフォーマンスに大きく依存すると思います。一人でやっていいのかなという不安もあります。ただ、その分、団体との信頼関係、人間関係も深くなるので、ここは楽しめる機会であるように思います。また、チームでやるものは、プロジェクトを始めるまでのリードタイムで、1、2カ月準備にかけることもあると思いますが、GRANTは応募して、面接して、すぐ来週からスタートということもありますので、すぐにやりたという人には良い仕組みであると感じています。
支援先団体と話し合いながらプロジェクトを進めました
最初に取り組んだプロジェクトは「事業計画をたてたい」という支援内容でした。 その指導についてご要望がありましたので、最初に面談した際にどういうことをご希望ですかということをお伺いしました。そうすると、金融機関に団体の活動を理解していただいて融資を受けたい、具体的に借り入れをするために事業計画を説明できるものが欲しいというお話でしたので、必要となる書類や要素を確認しながら準備を進め、ないものはどう作っていこうかを考えながら、支援先団体の方と一緒に作り上げていきました。

団体さんとは2週間に1回の頻度で夜7、8時から、1回1時間半くらいのペースで打ち合わせを進めました。コロナ禍ということもありましたが、私の場合はすべてZoomによるオンラインでの打ち合わせとさせていただきました。打ち合わせにあたっては、事業計画のために必要な内容についてエクセルやパワーポイントの資料を準備して臨みました。

私の方から一方的に情報を送るということだけではなく、例えば、団体さんの強みや弱み、受益者はどんな人か、という情報を教えていただくために、事前に団体さんに書式を渡して記入していただくということを繰り返しました。プロジェクトでは、最初の面談の後は全部で6回くらい打ち合わせを行ったでしょうか。最終的にこれを金融機関に提出していただければいいですねという資料を整えました。約30ページのパワーポイントの資料と団体側で変更可能な様式でのエクセルを納品しています。
楽しめて価値を提供できたら満足です
当たり前ですが、団体さんと信頼関係を築くことが何よりも一番大切です。真面目にしっかりと考えます、ということを態度でお示ししつつ、団体さんは当然ですが細かいところにも目を配っていらっしゃると思うので、私は全体をとらえる、大きな全体像を見失わないような形で、団体さんの希望そのものをちゃんと理解することを心がけました。そして、できたかどうか別として、課題についてどういう解決策がいいかということを具体的にお伝えしようと努力しました。

実際の成果物がよいものになったかという点については、私自身がどれだけ楽しめたかという部分も大事な点のように思います。その意味では最初に取り組んだプロジェクトはたいへん楽しんでさせていただきました。支援先は、リハビリテーションの専門職の方が地域に貢献されるという建付けで活動をされている団体さんだったのですが、最初はその業界のことは全然知らなかった。その中で、専門職の方がこんなふうに増えていて、マーケット状況、厚生労働省が国としてやろうとしている内容や社会全体の構造を理解しつつ、どこにどんなビジネスチャンスがあるのかというような、これまで自分が知らないことをいっぱい知ることができました。自分の持っているノウハウとかで活用しながら多くを学ばせていただいて、団体さんに一定の価値を提供できたとすると、それはまさしく、マッチングすることで価値が生まれるということなんだろうなと私は満足していますし、団体さんの方でも非常に喜んでいただけたと認識しています。
団体との出会いは一期一会、逃したくありません
個人の力量が試すことができて、やりたいことをGRANTの仕組みを使ってどんどんやっていけることができることは面白いと思います。私がよく最近感じるのは、団体さんとの出会いは一期一会だということです。このチャンスを逃したら、その団体さんとはたぶん一生会うことはない。ですので、自分にとって楽しそうだなと思うとこのチャンスは逃さない方がいいと思っています。その意味で、迷っている方はまずは登録して、プロジェクトに目を通して、エントリーシートを自分なりに書いてはどうでしょうか。かなり客観的に現実的な自分を見つめることができると思います。

プロボノを始めてから5年くらいたちますが、だいたい5割を超える確率で支援している団体さんとつながっている感じがします。プロジェクト終了時に何か課題が発生した際には支援する旨をお伝えし、月に1回会話させていただいている団体が多いです。つながりがある団体さんにGRANTを紹介したこともあります。これからも楽しいプロジェクトを見つけて取り組んでいきたいと思います。
  

※掲載内容は2021年10月取材時点のものです。