経験者インタビュー

支援先との対峙によって
自分のアンテナが立ちあがり
より豊かな人生につながる実感が!

児玉知香さん
電子部品メーカー勤務
PROFILE
電子部品メーカーの人事で海外駐在員の報酬設計を担当している児玉さん。2度目の育児休暇から2022年4月末の復帰を予定されています。
※児玉さんのGRANT参加実績はこちらからご覧いただけます。
育休中に複数のプロジェクトに参加した児玉さん。仕事復帰の直前に、GRANTに参加しての感想とこれからの取り組みについてお話を伺いました。
GRANTとの出会いは育休期間中
大学生の時は留学生支援のサークルに入っていました。植林のボランティアへの参加や、チャットでの傾聴ボランティアなど、ボランティアは何度か経験がありましたが、ずっと続けてきたわけではありません。

2016年、上の子どもの育休のときに「ママボノ」(事務局註:育休復帰や再就職など、再び仕事への一歩を踏み出すママのための期間限定プロボノプログラム)の存在を知りました。以前から、社会課題や社会的企業に関心があったので面白そうなプログラムと思ったのですが、知ったのが育休終了間際だったので、参加は難しいと思い見送った、ということがありました。今回の二人目の育休期間にそのことを思い出して、改めてプロボノについて調べて出会ったのが「GRANT」です。「ママボノ」にこだわらなくても、オンラインで参加できるプロボノがあるとわかりました。ママボノはスタート時期や期間が決まっていますが、GRANTは支援先団体と直接やり取りすることになるので、より自由に気軽にできるかもしれないと思ったのです。私としてはGRANTの方がやりやすいのではないかと考えました。
最初は関心があった社会課題のプロジェクトへ参加しました
最初に参加したのは、河川のごみ問題を扱っている団体の賛助会員を増やすための「チラシ作りのプロジェクト」です。私は、ウェブデザインのように専門的なスキルと言えるものは持っていません。最初は、自分ができそうなプロジェクトを探す気持ちでGRANTのプロジェクト一覧を眺めてみました。
もともと環境問題に関心があったこと、それから、チラシ作りのプロジェクトながらも募集記事にあった「絵を描く部分はデザイナーに任せます」「チラシがどういう内容だと響くかという話がしたいです」という内容が目に留まり、それだったらお役に立てるかと思って応募しました。本当に自分で務まるかは分かりませんでしたが、お話しした上で先方から断られても構わないという気持ちでしたので、手を挙げる段階での不安はありませんでした。応募後はすぐに話が進んだので、それだけ支援を強く希望されているのだろうと思いました。
このプロジェクトでは、ミーティングは2週間に一度実施しました。初回のミーティングでどんな活動をしているかを団体に伺った上で、ホームページを確認しながらどういう人が賛助会員で継続的に寄付をしているかなどについて質問していきました。会話しながらチラシに入れ込む内容を考え、ラフを書いて渡す、というのを2回くらい繰り返し、実質1カ月程度でプロジェクトは終了しました。ミーティングの時間を含めても、1週間に3時間程度の活動で、時間がかかったという認識はありません。

団体の皆さんがすごく素敵な方々で、最初に支援したのがその団体でよかったと思います。とても良好な関係が築けたので、チラシ作りのプロジェクトが終わるタイミングで別のプロジェクトもやってみませんか、とお誘いいただいて、その時点で募集していた「アクセサリー拡販のプロジェクト」に参加することになりました。
アクセサリー拡販のプロジェクトでは、ちょうど団体がInstagram(インスタグラム)を始めるタイミングだったので「フォロワー●人」という目標に向かってフォローアップを行いました。私は副業でコーチの仕事をしているので、Instagramの運用支援というよりも、コーチ的な関わりで支援を行いました。最初のプロジェクトで、私がコーチをしていて経験を活かしたいという話をしていたので、その前提で団体からお話があったのだと思います。
募集内容の理解のためには団体の方とお話しすることがお勧めです
その次に、子どもの仕事体験を提供している団体のプロジェクトにエントリーしました。支援内容は「事業計画の作成立案」ということでしたが、お話を伺うと、団体が考えていることを外部の方とお話することで確信、納得したい、また、ちょっとしたアドバイスが欲しいのでその相手になる方を募集したい、ということでした。
私は二人の子どもの親であり、企業では人事のポジションで仕事をしています。親の目線から仕事体験への期待や、どうしたら企業側の協力の得られやすいか、といった内容について自分の立場からお話ししました。このプロジェクトでは、団体に協力くださる方への対応マニュアル作成をまとめたものなどを成果物として提出し終了しました。作業時間は1週間に2,3時間で、小さな子どももいる中でも問題なく進められました。

プロジェクトを進める上で苦労したことは特に思いつきません。ただ、プロジェクト募集に書いてある内容がお話を聞いてみると少し違っていることを思うと、団体の方も募集記事を整えるのに苦労されているのではないかと思います。一度話したら分かることも多いので、まずは気楽な気持ちで話をしてみるとよいのかなと思います。
アンテナが立つ感覚を大事したい
私のように、営利企業で働いている人は、なんとなく社会課題の解決はNPOや自治体が主体と思いがちです。自分は何もできていない、できないという感覚を持っていました。今回、実際に参加することで、こういうプロボノとして関わることもあって良い、社会課題の関わり方はいろいろあっていいんだ、と思えるようになりました。

団体からお話を伺っていると「自分のアンテナが立つ」という感覚がありました。プロジェクトそのものの成果は小さくても、社会課題に対するアンテナを立てておくのがすごく大事で、アンテナが立つことで自分の生活が変わる部分はたくさんある、そのきっかけとなるように思います。社会に課題や問題があるのは分かっていても何となくピンとこない、ということもあります。プロジェクトを進めることで、社会課題に顔の見える人、名前の分かる人がつながり、より身近に感じることができました。
継続的に取り組むことができなくても、人生の中で点のようなタイミングで取り組んでみることで生活や自分を整える意味があるだろうと思っています。特別なスキルを持っていなくても、意外とできる、というのがやってみて分かりました。
仕事復帰後も自分なりに取り組んでいきたいです
最近はGRANTの新しい仕組みである「オンラインセッション」(事務局註:1回限り・1~2時間程度、オンラインで、ちょっとした相談や技術の提供を行う新しい支援のカタチ)に参加して「Instagramの運用のアドバイス」を行いました。1回限りの支援というのが良かったです。もう少し時間が経ったら、もう一度、同じ内容について団体とお話しする機会があっても良いなという感想を持ちました。1度のセッションだけでもいろいろな団体の方とお話することでアンテナが立つ感覚が得られますし、団体にとっても壁打ち相手になることで役に立つのであればとても良いと感じています。

毎日が忙しく、やらなければいけないことに追われていると、ふと時間ができた時に「私はいったい何をやっていたんだろう」という感覚になることがありました。育休に入った時に寂しさを感じたこともあります。忙しくしていると何となく満足している気持ちになるけれど、それでは空虚なので、自分が納得している、意味があることに落とし込んでいけると良いと思っています。育休を含めお仕事を休んでいる方にも「まずはやってみよう」と言いたいです。忙しいからこそ、忙殺されないためにもやる意味があると思うので、忙しい方にこそ参加してみてほしいと思います。自分の感覚を大事にしながら、これからも自分なりに社会課題に取り組んでいきたいと思います。
  
※掲載内容は2022年4月取材時点のものです。