経験者インタビュー

マッチング前の面談が鍵
外部の方との出会いを楽しむ気持ちで
完了後も関係性を継続中

萩原涼平さん
NPO法人ソンリッサ
NPO法人ソンリッサは「一人で抱えずにやさしいつながりが溢れる社会をつくる」をビジョンに掲げ、高齢者の孤立孤独を笑顔に変えることをミッションにしている群馬県前橋市が拠点の団体です。
2022年秋にGRANTの最初の募集をスタート。約半年で11件の募集実績があります。GRANT活用にあたっての考え方や参加者との関係について、代表理事の萩原さんにお話しを伺いました。
Tシャツを作りたいと思ったときに、1対1のマッチングを思い出しました
NPO法人ソンリッサは、群馬県前橋市で独居高齢者の方の孤立孤独を解決するための訪問型のサービス、地域の関係者と連携をしながら高齢者の方々が参加しやすい健康サロン事業、企業向け・地域向けの研修という3つの事業を行っている団体です。
僕自身が、高校生の頃に祖母が一人暮らしになって、生きがいがなくなって意欲が低下してしまったっていうところから、何かできないかなと考え始めたのが団体設立のきっかけになっています。

ソンリッサを創業したのは2017年、22歳の頃です。それまでソーシャルセクターで働いていたこともあって、サービスグラントのことはずっと前から知ってました。GRANTというサービスがあることも認識はしていて、法人の拠点を地域密着の拠点にするために団地に移したタイミングで「Tシャツを作りたい」と思ったんです。高齢者のところにお邪魔したときにソンリッサのスタッフとわかってもらいたいと思っていたときに、1対1でマッチングできるGRANTを思い出しました。とりあえず登録してどんなサービスなんだろうっていうんでやってみたというのが最初ですね。
最初のプロジェクトがすごくやりやすかったんです

支援募集記事


最初のプロジェクトは「スタッフ・ボランティアのTシャツデザイン作成支援」です。GRANT経験が豊富なデータサイエンティストの方からエントリーがありました。頭の回転が早くて面白い方で、あっこんなにやりやすいの、みたいな感じでした。「僕はデザインのプロじゃないですが仕事でユーザーインターフェイスの設計をしているのである程度はできると思います。どんなデザインを希望されていますか」というお話しだったので、「シンプルな印象のTシャツが作れたらと考えています」と伝えたら「それだったらできそうです」とおっしゃっていただきました。マッチング前にオンラインで一度お話しさせていただいてゴールのすり合わせができたっていうのがすごくやりやすかったですね。こちらからイメージを伝えると細かく提案してくれました。実際の発注までサポートしていただいてプロジェクトは終わりました。

この方には続けて2つのプロジェクト(「孤立高齢者を笑顔にする生活支援のチラシデザイン作成支援」「地域密着交流拠点の目印になる看板デザイン作成支援」)もお願いしました。この時は、僕がGRANTっていいぞってなって、最初のプロジェクトが終了した後すぐにプロジェクトを登録したんですよ。そうしたら見ててくれて、応募がなくて困っていると言ったら引き受けてくれたんですね。
専門性の高い方々との出会い、マッチング前の面談が鍵
4つめのプロジェクトは「法人の魅力を伝えるチラシデザイン作成支援」ですね。この時はGRANT初参加の方に支援していただきました。社会貢献系のデザインをやってみたいということでGRANTに登録していたデザインのプロの方に応募いただいたんですけど、高いクオリティのチラシができて、大満足でした。成果物はその方のご自身のサイトにも実績として紹介されていると伺っています。

団体紹介のチラシ(成果物)


その他にファンドレイジングや助成金申請でもGRANTを活用しています。ファンドレイジングの計画でサポートいただいた方には、団体向けの研修のプログラムに一緒に参加してもらって議論したり、ソンリッサのファンドレイジングについて一緒に考えていただいています。
助成金の申請については、事業計画の経験があってNPOのこともわかっている方にお世話になりました。僕は団体の代表なので、助成金の申請書に客観性よりも思いを書いてしまうところがあるのでそこを指摘いただいたりとか。議論したり方針を話しながら調整している感じです。

マッチング前にオンラインでお話をする機会は大事にしています。双方の自己紹介のときは、「時間大丈夫ですか?」と確認しながら、ソンリッサの団体紹介や事業の全体像をじっくり話しています。この団体がどう社会に役立とうとしているか、その中でここがいま困っているから相談したいです、といったことをお話して納得感を持って取り組んでいただけるようにしています。また、期待値調整の機会として、最初のミーティングで解像度をすり合わせて方向性をイメージしている感じですね。
今のところ、GRANTでつながった方々とは全員良い関係性を持っていますね。GRANTに応募する方の気持ちになると、1回のプロジェクトで終えたいって方もいるのかなと僕は思ってるんです。継続支援を僕からお願いすることはなくて、参加者の皆さんの方から「お役に立てることがあれば」とか「何かあれば連絡してください」と言ってくださることが多いですね。温度感を確認しながらお願いして、結果的に皆さんと良い関係が続いています。
一緒に議論したり、考えてくれる人との出会いがありがたい
GRANTは、普段会えない人に会えたり、いろいろな方面のプロの方と話すことが僕は楽しくて。僕が質問したときに、答えが返ってくるっていうのがまずありがたいですし、相談できたり、話したときにわかってくれて「こういうふうにやったらいいんじゃないですか」と提案してくれたり。こういう課題があります、こういうフレームワークに落とし込むといいですよみたいなのも教えてくれますし、外部の人と話せるっていうのは気持ちが楽で安心感がある。

エントリーしてくださる方は、GRANTの募集ページでソンリッサの説明や記事を見て、団体にある程度共感してくださってると思うので、安心して自分が考えていることについて議論できるし、自分よりスキルを持ってる人が、僕が言ったことを面白がってくれたり、考えてくれたりする。そこを繋いでくださるGRANTが僕はすごいありがたいですし、僕はそこにすごく価値を感じています。
スキルを持ってる方の支援なのでちゃんと成果に繋がります。支援する側が基本的に1人なので、どっちがやるみたいなことが明確化して進んでいくのがわかりやすいですよね。プロジェクトごとに募集して協力する関係性は意外とやりやすい。目的が共有されて、ゴール設定を最初に示してくださるのもわかりやすいし続けやすいと思います。
中長期で大切なこと、オンラインでできることをGRANTで募集
僕たちの団体のスタッフは、訪問とかサロンを作ることがメインの仕事なんですけど、別の専門性を持っている方々がGRANTを通して僕らを手伝ってくださることは、スタッフにとってもメリットがある話です。僕が考えたり迷ったりしてることにアドバイスしてくれる人が団体の外にいて、協力を得ながら僕が頑張って成果を出せばスタッフにとってもいいことだと思います。

団体の中でできることやスタッフにやってもらう業務もあるんですけど、それ以外で解決できないことがやっぱりある。第三者の視点も欲しいなとか、議論する相手が欲しいなみたいなタスクに対して、周りでは専門性を持ってる人がいない、同じ温度感で頼める人が見つからないってなったときにGRANTで募集するっていう流れになってる。やるべき重要なことの中で、このプロジェクトをこの時間軸で進めていきたいなというときに、適切な内部リソースがない場合は外で興味持ってくださっている方と取り組むのも効果的だと思います。

緊急性があったり、これはボランティアの範疇じゃないという業務って絶対あるじゃないですか。お金払わないと無理だなって思うことや地域密着が前提だから前橋市内の方でないと難しいプロジェクトはさすがに遠方の方には頼めない。GRANTでお願いすることは、基本的にはオンラインでできることで、かつ中長期で見たときに大切なことが多いかもしれません。
チーム型の支援のプロジェクトは人数が多い分だけGRANTよりも大きいことができると思うんですけど、合意形成とか意思決定のところに調整コストがかかると思うので、そういう意味でGRANTのいいところはよりコンパクトなプロジェクト単位で支援者と関われるところだと思っています。結構僕は今楽しく活用させてもらっています。
GRANTは受益者の笑顔を増やすための手段
僕は、GRANTは団体の代表者こそが使った方がいいんじゃないかなと思っています。内部だとなかなか難しいことや、専門性が足りないみたいなときに使ってほしいですね。
GRANTを使うときには、自分たちのできないことをさらけ出すっていうのは1つポイントだと思います。できないところをさらけ出すと、それを支援したいとか、その部分は専門だからやりますよという人に出会えるので。そうすると応援者が増えるし、応援者がパートナーになるかもしれない。団体のパワーが増えると思うんですよね。パワーが増えるとより大きいことができる。事業を拡大して受益者の笑顔を増やすための手段としてGRANTを使う、使わせていただく。そこで思いを持っている人をマッチングするということだと思います。何か困ってることがあったらそこをさらけ出す。さらけ出すというのはちょっと変かもしれないですけど、プロジェクトの形に整えて募集してみるといいのかなと思います。

※掲載内容は2023年2月取材時点のものです。