経験者インタビュー

日々の経験を活かしての挑戦
初めての地域団体支援は
元気をもらう貴重な体験に!

泉本佳子さん
団体職員
PROFILE
普段は団体の広報部門で機関紙の編集を担当している泉本さんは、チーム型のプロボノ活動に続いてGRANTに参加し、ライターや編集者としての経験を発揮されました。
※泉本さんのGRANT参加実績はこちらからご覧いただけます。
チームで非営利団体のプロボノ支援を経験した後に、GRANTで地域団体(町会)のパンフレット作成のプロジェクトに取り組んだ泉本さん。地域に住んでる人同士のつながりを改めて感じたという今回のプロジェクトについてお話しを伺いました。
両親の影響でボランティア活動が身近にありました
就職を機に関西から上京して、数年前に東京23区に引っ越してきました。普段は、団体で毎月発行している雑誌の記者とライターと編集の仕事をしています。
ボランティアを始めようと思ったきっかけについて考えたときに、両親が元々地元で災害復興支援のチャリティーバザーを開催したりなどのボランティア活動をしてるのを見て、幼い頃から育っていることがあると思います。学生の頃は、親の手伝いをすることで自分もボランティアに参加していました。年長の兄姉がいないので、そういった活動に参加することで地元にお兄さんお姉さん的な存在ができたりして、ボランティアって楽しいなと思いながら中高生から大学生ぐらいまでを過ごしました。上京してからはそういう機会もなく、ちょっとやりたいなと思いながらもなかなかチャンスがなかったっていう状態でした。
最初に飛び込んだチームのプロボノ活動が楽しかった!
2020年以降、コロナ禍で社会が大変な時期になりまして、自分としてもやっぱり何かやってみたいなっていう思いが湧いてきたところに、ホームページを探してましたら、ちょうどサービスグラントの「プロボノ」を見つけました。説明会を受けて最初はチームで活動するプロジェクトに参加しました。プロジェクトは公益財団法人聴覚障害者教育福祉協会のウェブサイトリニューアル設計のプロジェクトで、コピーライターの役割で参加させていただいたんですけれども、実際にやってみると本当に楽しくて、それまでまったく知らなかった人とワイワイ言いながら活動させていただきましたし、自分のスキルを使って喜んでいただける人がいるんだなと思うと仕事のやる気にもなりました。
そのプロジェクトが終了後も何かやりたいなと思って、「GRANT」に登録して宮桃町会さんのプロジェクト募集に行き当たって活動させていただいたっていう経緯があります。
町会の活動に共感して思い切ってエントリー
参加したのは中野区の宮桃町会さんの「町会の活動紹介PRパンフレットの作成」というプロジェクトです。

宮桃町会さんの支援募集記事

募集記事に目が留まった後に宮桃町会さんのホームページも拝見しまして、高齢者や子どもの見守りや防犯活動ですとか、町内のイベントとか積極的にいろんな活動をされてるところがすごいなと思いまして。ちょうど仕事の方でも社会福祉協議会の方のお話をまとめる機会があったんですけども、普段からの地元の繋がりとか支え合いが災害のときに役立って多くの人の命が救われたという話を伺ったところだったんです。そういう話をちょうど同じ時期に聞いてましたもので、やっぱりそういう町会さんの活動って大切だなと思いまして、何か自分にもできることがあるかなと思ってエントリーさせていただきました。パンフレット制作っていうところで自分にできるかなという不安はあったんですけれども、思い切って挑戦してみようというところでやらせていただきました。
デザインは未経験でしたが、町会の皆さんの温かい言葉に背中を押されました
普段の仕事では文章を書いてページ構成はするのですが、実際のデザインはデザイナーさんに依頼してます。正直一人でパンフレット制作までできるかなっていうところの不安はあったんですけども、実際に宮桃町会さんと面談させていただきまして、「実はこういう仕事なのでデザインはやったことありません」と正直にお伝えしました。そうしたら、町会さんから「それでも大丈夫です。構いませんよ。一緒に作りましょう」という温かいお言葉をいただきまして、それならやってみようと思いました。私も「できない」って決めつけるんじゃなくて、自分の日々の経験を生かして何か挑戦してみようという気持ちに切り替えることができまして、ちょっとそこで不安が払拭されたというか、頑張ってみようという気持ちになれたので、本当に町会さんの存在が大きかったです。
2カ月半のプロジェクトで5回のミーティングを実施
実際のプロジェクトは、面談から約1カ月後に最初の提案を行い、その後、納品まで約1ヶ月半というスケジュールで進みました。最初の面談のときにその場でヒアリングを行いまして「どういったパンフレットが欲しいですか」とか「どういうイメージをお持ちですか」とお聞きしました。私自身の仕事の都合などもお伝えしたところ「大丈夫です。お待ちしますよ」ということでしたので、1ヶ月後にパンフレットの素案を自分なりに構成して文章を書いてミーティングで提示させていただきました。その案に町会から意見をいただいて、1週間後にデザイン案をパワーポイントで作って提示し、改めて意見をもらって、2週間後にパンフレットのデザインを提示し、修正して10日後にデザインが確定しました。最初のマッチング前の面談もあわせて5回程度対面でお会いしました。自宅から伺いやすい場所だったこともあってミーティングは対面が中心となりました。
1回のミーティングは大体1時間で、長くても話が盛り上がって2時間ぐらいでした。トータルすると、ミーティングで5時間から10時間、自分の作業時間は合わせて5時間ぐらいだったと思います。
町会を盛り上げたいという熱意に応えたい

成果物(町会のパンフレット)

今回作成したパンフレットは、町会が新規入会する方を募集するという目的がありました。コピーや文章は私の方で考えまして、おもて面の「Q&A」ですとか、「ボランティア募集」といった項目は町会さんのアイデアを活かしながら進めました。
特に工夫したのが中面です。町会さんからコメントをいただきながら最終的にこの形に収まったんですけれども、フリー素材(イラスト)を活用しながらレイアウトを進めていきました。背景には桃の花をあしらったイラストを入れたんですけど、もともと宮桃町は桃の木がいっぱいあった土地柄というお話しを聞いていましたので、桃の花があるといいなと思ってこの素材を選んでみました。
パンフレットの表紙に中高生の写真を使っています。こちらは町会さんからのアイデアで「若者が元気よくこぶしを空に向けて伸ばしているような写真が使えないかな」っておっしゃってたので、「ぜひやりましょう」と言ったところ、このパンフレットのために町会の4人の中高生たちが撮影に協力してくれました。私はその撮影には立ち会ってないんですけども、町会さんがセッティングして、撮影もして、パンフレットに素材を提供していただいてっていう思い出深いものがあります。

改めて完成したパンフレットを見ると、いろいろ苦労したなというのが見えてくるんですけども、町会さんと一緒に作り上げられたことがよかったです。何度も意見をいただいて、それがすごく熱意として伝わってきて、こちらも「この町会を盛り上げたいっていう思いに応えたい」という気持ちにもなりました。できるだけ町会さんの意向に沿う形でやろうと思い、レイアウトを微調整しながら進めたことが記憶として蘇ってきます。
支援しているつもりが実際は自分が元気をもらう貴重な経験
今回のプロジェクトを振り返ると、まず支援先団体との距離が近かったということを思います。町会の人同士の繋がりを肌で感じられたなっていう気がしました。「パンフレットの表紙に中高生の写真を載せたいね」という話が出たとき、すぐに町内の中高生の名前がポンポン出てくるんです。町会に若い人がいるっていうのも素晴らしいと思うんですけども、地域に住んでる人同士の繋がりが感じられまして、中高生たちにとって、学校や家族以外に自分たちを見守ってくれる存在があるっていうのは本当にいいことだなと思いました。そういう気づきを得られるっていうのも町会への支援ならではと感じています。

GRANTへの参加を検討している方の中には「自分にもできることがあるかしら」と不安を抱いている方もいらっしゃると思います。でも、ちょっと思い切って挑戦してみることで、私の場合は仕事とまた違った出会いがありましたし、支援することによって、自分の仕事のスキルアップにも繋がりました。喜んでいただいた笑顔や言葉でこちらが元気にもなりました。支援してるつもりでも、自分が逆に元気をもらってるっていう貴重な経験をさせていただいて、本当に仕事と家以外の居場所もその時にできました。ぜひ、多くの方に経験していただきたいと思います。

  
※掲載内容は2022年11月取材時点のものです。
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