経験者インタビュー

デザインの力で社会貢献に挑戦
会社を離れて個人で動く中で、
多くの気づきや学びを得られました

詫 理恵さん
グラフィック・デザイナー
PROFILE
企業に所属するデザイナーから独立したつげさん。働き方を自分の裁量で調整できるようになったことから、GRANTのプロジェクトに挑戦。これまで2回参加し、プロのデザイナーとしての経験を発揮されました。
※詫さんのGRANT参加実績はこちらからご覧いただけます。
群馬県で高齢者の孤立・孤独解消を目指すNPO法人ソンリッサと、三重県で障がい者雇用に取り組むNPO法人呼夢・フレンズのチラシやカードのデザイン、制作に取り組んだ詫さん。プロボノのプロジェクトに参加した感想を伺いました。
受注先にいる人々の豊かで幸せな暮らしをデザインする仕事にかかわりたい
私は長い間デザイン事務所や広告代理店で働いていましたが、昨年9月に業務委託契約をベースとしたフリーランスに移行しました。自分の裁量で仕事をすることができるようになり、それまでメインに手がけていた広告や販促支援という商業デザインから仕事の幅を広げ、かねてから興味を持っていた「ウェルビーイング」や「社会課題解決」にも携わりたいと思うようになりました。

そこで、共生や利他の分野の情報を収集しましたが、グラフィックデザインの専門家として自分がどのように関わっていけばいいのか、具体的な方法がつかめずにいました。
しかし、インターネットで「デザイン+社会貢献」といったキーワードで検索していた時に、「プロボノ」という関わり方があることを知り、自分にとっての行動のきっかけの1つになるのではないかと考え、GRANTに登録して活動を始めました。
ダイレクトな意思疎通を通して手ごたえを感じた、1つ目のプロジェクト

NPO法人ソンリッサ会さんの支援募集記事

GRANTにエントリーした際は、少なからず不安がありました。今までは会社組織の中の一員としてクライアントとやり取りをする仕事の仕方でしたので、いきなり生身の自分ひとりで知らない団体さんと直接やりとりをする、っていうのがまず怖かったです。そういう経験がそれまでなかったので。そういう意味ではフリーランスとして仕事をすることの良い予行練習にはなったかなと思います。
一方で、それまで自分がぼんやりと関わりたいと思っていた社会課題解決に近づけそうというのはとても楽しみにしていました。商業ベースの代理店では、そういうお仕事をやりたいって手を挙げていてもなかなか回ってこないですから。

最初にエントリーしたのは、NPO法人ソンリッサさんのプロジェクトでした。高齢者の孤立や孤独の問題解決に精力的に取り組んでいる地域の団体です。代表者の荻原さんは実体験にもとづいて立ち上げをされた方で、活動に対して意欲があふれていて、ぜひ仕事を一緒にしたいという印象を受けました。
プロジェクトの内容は、ソンリッサさん全体の活動を伝える法人チラシの作成で、提供いただいた説明資料もとても具体的でわかりやすかったです。資料をデザイナーの視点から構成し直して、より伝わりやすいように整える役割だったので、従来やっていた仕事に近く、これまでのスキルや経験を活かすことができました。


チラシデザイン構成案の一部


個人的に嬉しかったのが、代表者の方と直接やりとりをできたことです。企業との仕事では、最終決裁者と現場の間に何人もの関係者が介在するため、デザイナーとしての自分の意図が最終的な成果物に反映されないことがあるというジレンマもありました。今回のプロジェクトでは、何のためにこれを作るのか、これを作ることで何を達成できるのか、そういう目線合わせが一対一できっちりできました。意思疎通もダイレクトですし、手ごたえを感じられてすごく良かったなという印象です。

最初にデザイン構成案を含めた提案書を出しながら目線合わせを行い、その中で、表裏2ページのチラシにしましょうか、それとも4ページのパンフレットにしましょうか…等のご提案をしました。結果、チラシタイプの方をそのまま採用いただき、とてもスムーズにお手伝いをすすめることができました。ミーティングはキックオフを含めて全部で3回くらい。あとはメールでのメッセージのやり取りをメインに進めました。団体さんが、チラシに活用時期についてご予定を決めていらしたので、約1ヶ月半でスピーディーにプロジェクトを完了しました。
じっくり大切に議論いただきながら進行した、2つ目のプロジェクト

NPO法人呼夢・フレンズさんの支援募集記事

次にエントリーしたのは、NPO法人呼夢・フレンズさんのプロジェクトです。障がいのある方々の就労継続支援のための作業所を運営し、手作りの餃子やお菓子などを販売されている団体さんです。私は本業では食品関係のデザインが割とメインでしたので、エントリーの応募内容を見て、お手伝いできるかもしれないと思ってエントリーしました。

スイーツ販売促進のためのチラシやサンキューカード等のデザイン作成プロジェクトで、最初にお話しを伺ったときはまだ成果物のイメージがぼんやりしていたので、じっくりと方向性を固めていきましょうということになりました。構成やイメージボードをつくってみて、どういうものがイメージに近いですか、サイズはどんな感じにしましょうか、といったところを丁寧にヒアリングしていったという感じです。


カードデザイン案の一部


デザイン作業に入ってからも、形状やビジュアルについては複数の案をご提案しました。団体の代表の堀川さんだけでなく、作業所のスタッフのみなさんで話し合って決めたいというお話だったので、団体さん内部での多数決やご意見を含めたフィードバックをいただいて、それに合わせて調整など重ねていきました。呼夢・フレンズさん全員で大事に検討されているなと感じ、嬉しかったです。

また、IT関連についてはあまり得意ではないというお話しだったので、オンラインミーティングの設定やネット印刷についてもサポートさせていただきました。実は私自身もその分野にさほど詳しくないため、調べながらのチャレンジの連続で失敗もありましたが、結果的に自分のスキルアップにもつながり、感謝しています(笑)。


成果物のチラシ両面


余談になりますが、最初の打合せのあとに、団体さんから資料として実際のお菓子を送っていただき、試食したところ、とても美味しかったんですよ。「コレはもう絶対に売れて欲しい!」と思えたこともモチベーションになりました。
呼夢・フレンズさんの商品はどれも本当に手作りで美味しいので,是非たくさんの方に食べていただきたいです。
まず参加してみて、動くことで気づきや学びが得られました
プロボノとして参加した2つのプロジェクトは、どちらも本当に気持ちよくお手伝いができました。いずれもリモートでのやりとりとなりましたが、このように遠く離れた地域のNPOともやり取りできるのは、魅力だと思います。

GRANTは手軽なところがいいですね。社会貢献の活動をしたいと思う方は多いと思いますが、GRANTはシステム化されているので、安心して参加できるように思います。自力で支援する団体を見つけたり、お手伝いできるかどうかを問い合わせたりするのはとても難しいので、GRANTのように具体的な困りごとが提示されている場所があって、支援できそうなプロジェクトを選んで参加できるのはすごく良いなと思います。

自分が少しでも社会の役に立ちたいと思ったらまず参加してみるといいのかなとは思います。会社勤めをしていると自分の力だけで世の中に役立つことができるのかがわからないので、それを試して実感できることがあると思うし、私は個人で動くことでいろいろな気づきとか学びがあったので、やってみたいという内容があれば参加するのはすごくいいことだなと思います。私自身も、これからもお手伝いしたいプロジェクトがあれば積極的にエントリーしていきたいと思います。

  
※掲載内容は2023年4月取材時点のものです。
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