経験者インタビュー

大切にしていることを見極めて
団体らしさにあふれたチラシが完成
これからも続く関係にも期待が!

小田知宏さん、野上正峰さん
認定NPO法人発達わんぱく会
認定NPO法人発達わんぱく会は「すべての子どもが、発達障害を持って生まれても、自立したその人らしい大人になって、豊かな人生を送れる社会」を目指して設立されました。「こころとことばの教室こっこ」の運営を通して培ったノウハウを、他の事業者に伝えることで、全国の発達障害の子供に質の高い療育を届ける活動を行っています。
一ヶ月半という短い期限の取り組みの中で納得のチラシが完成したプロジェクトの進め方や今後も継続的な関係を続ける予定と伺っている参加者とのエピソードについて、理事長の小田さんとプロジェクトの窓口を担当された野上さんにお話を伺いました。

※写真はチラシ作成プロジェクトの支援者「さくらさん」と団体の皆さん
チーム型のプロボノ支援の経験がありました
認定NPO法人発達わんぱく会は2010年にできた法人です。私たちは発達障害の幼児の支援をしています。目指しているのは、発達障害を持っていても持っていなくてもすべての子供がその子らしく成長できる社会です。私たちは幼児期に関わる方が子供の成長のために効果が高いと考えていまして、発達障害の幼児の支援を4つの教室で行っています。
教室運営や人材育成のノウハウを、全国の保育所だったり、同じような事業をしている一般事業者に伝えることで、全国の子供たちがその子らしい成長ができることが私たちのNPOの役割と考え取り組んでいます。

団体立ち上げ準備のタイミングで、紹介を受けてサービスグラントの支援を受けました。支援内容はマーケット調査です。千葉県浦安市で発達障害の幼児の支援をしようと考えてたんですけど、本当にそこにニーズがあるかということを調査してもらいました。
今回プロジェクトの窓口を担当した野上さんは、以前サービスグラントでのプロボノ参加経験がありました。
GRANTが随時募集の仕組みであることに魅力を感じました
改めてサービスグラントの力を借りたいと考え、昨年、団体向けの説明会に参加したところ、GRANTという新しいサービスがあるということを知りました。
私たちが理解していたサービスグラントの支援体制はチーム型で、年に1回募集があって、応募の機会を逃すと次の年の同じ時期まで待たなきゃいけないという認識があったんですけど、GRANTの場合はやりたいと思ったときにいつでも募集開始できるところが魅力と思いました。

同じ志を持つ全国の人への児童発達支援事業所の開設のお手伝いをする中で、私たちのプレゼンテーションのスキルに向上の余地があるんじゃないかという問題意識が我々にあって、そこのスキルアップのお手伝いをしていただけないかということが団体向けの説明会に参加した元々の動機でした。
そのニーズは今でもあるんですが、GRANTはいつでも募集開始できるということが魅力だったので今回は「チラシを作成する」ことをお願いしました。成果物はチラシとポスターです。

支援募集記事(チラシ作成)

GRANTへの不安と期待
実は、GRANTを活用するにあたって不安がありました。従来型のプロボノの場合は何人かでチームを組んで取り組みます。チームメンバーが数人いることで平準化されるって言うんでしょうか。熱心な人もいれば淡々と参加している人もいる、専門性も人それぞれです。メンバーが4人くらいいれば、そういった個性が均されて、期待を思い浮かべることができるんですけど、GRANTの場合には支援する方が「1人」ということでどうなるか不安がありましたね。この点は支援してくださる方が決まるまで不安に思っていました。

今回作成したチラシは、既に出展が決まっていた2023年1月の展示会で配るという目的がありました。当初はお金をかけてしっかりしたものを作ろうと思っていたんですけど、お金かけたとしてもなかなかいいものはできないんだろうなと。やっぱりそこはセンスのいい、才能のある人、経験のある人で、私たちがイメージするような質の高いチラシを作ってくれる人を探そうと思っていたので、GRANTでそういう人に出会えたらいいなっていう期待がありました。
もしも、プロジェクトへの応募がなかったり、残念ながら専門性を持った方と出会えなかった場合はプロに仕事を依頼できるマッチングサイトにお願いすることになるのかなと想像していました。
専門的な知識とスキルを持った方との出会い
プロジェクトの募集を開始したところ2名の方から手が挙がりました。それぞれの方と私たち二人が面談を進めた結果、非常に専門的な知識とスキルをお持ちで、この人だったら安心して任せられそうという方がいらっしゃったのでお願いすることにしました。
12月5日にマッチングが内定すると、すぐに「こういうスケジュールではいかがでしょうか」という提示があって、進め方も手慣れていてプロの仕事を感じました。

私たちからテキスト案を提示したのが12月9日でした。12月15日に改めてオンラインで打ち合わせを行ってスケジュールについて合意をしました。完成したチラシにある虹の絵は、その時に「こんな感じで考えているんです」とその場で紙に描いて見せてくれたものです。「ああ、それいいですね。それでいきましょう」みたいな感じで双方でイメージが固まっていきましたね。
最初の原稿が出てきたのが打ち合わせから8日後の12月23日です。その時には納品されたチラシとほぼ同じ形のものができてきて、後はもう微修正の対応となりました。1月17日にプロジェクトは完了したので約1カ月半のプロジェクトでした。

成果物(チラシ)


掲載するテキストや画像はほぼこちらから提供したもので図柄については支援した方が作ったものです。

ミーティングはすべてオンラインで実施しました。こちらから伝えたいことがあった場合は時間をいただきましたが、それ以外はメッセージでやり取りで進めたように思います。最後にもう少しこうしてほしいという点はオンラインミーティングを設定してお伝えしました。

私たちの現場を見てもらえたらよかったなとは思います。ただ、コロナ禍だったので当時はちょっと難しかったんですよ。プロジェクトが終わった後ではあるけども「ぜひ見せてください」と言われていて、今度、教室の見学に来てくれることになっているんです。
プロジェクトその後~チラシの反応について
チラシはさっそく1月の展示会で配ったんですけど、ちょうど展示会当日は大阪で大雪が降った日でお客さんがあまり来なかったことは残念でした。それでも、チラシを手にとった人はすごくいい反応するので手ごたえを感じています。

チラシは今回の展示会以外でも活用する前提があって、今後も配布したり、DMの形で封入したりと今回作ってもらったものをベースに様々な形で販売促進に活かしていくつもりでいます。
チラシの日程等を私たちが変更できるよう、納品の際はそれを前提にイラストレーターで作成したものをわざわざパワーポイントで準備してもらいました。
GRANTを活用してよかったこと~システム~
プロジェクトを進めていて、GRANTのシステムがすごくいいなっていうのを思いました。プロボノ支援をコーディネートするってすごいノウハウの塊じゃないですか。普通の採用とも違うし、細々な配慮しなきゃいけなくて。我々のような、初めて取り組む側はどうやっていいかわからないところを、すごくいいタイミングでシステムがアドバイスしてくれる、これすごいなと思いました。

例えば、進行の各場面でこういうところに配慮したらいいですよとか、エントリーされた方への断り方とか。一つひとつの手順でのワンポイントアドバイスがありがたかった。これはサービスグラントの約20年のプロボノ支援のノウハウの結晶がGRANTで、人の労力を使わずにちゃんと受益者に届く仕組みを作り上げたなって思いました。
GRANTを活用してよかったこと~専門性が高い方との出会い~
支援くださった方もGRANTに登録したばかりで「私も初めてなんです」っておっしゃっていて、今回のようないい方と巡り会えたのはとても運がよかったなと思ってます。支援したいと思っている方と支援を受けたい団体をつなぐこと自体がすごいことだと思いますよね。今回支援をくださった方と出会うって、私たちの団体だけの力では絶対できないですもんね。

成果物自体に関しては「こっこらしい」という印象を持っています。「こっこ」は、私たちの事業所が運営している「こころとことばの教室こっこ」のこっこ。私たちはこっこらしさっていうことをすごく大切にしているんですけれども、スタッフからも、出来上がったチラシがこっこらしいっていう意見、結構ありましたね。

支援くださった方は私たちのウェブサイトなどを一生懸命読んだんじゃないですかね。最初に、今までこういう仕事をやってきましたというポートフォリオを見せてくださったんですけど、いろんなタイプの成果物、作品がありました。本当にいろんなテイストがある中で、今回は私たちらしいものを作っていただいた。ほんとにプロで顧客がどういう人なのかっていうのをよくよく研究した上で作られているんだなと思いました。

チラシに掲載したテキストは、こちらから提供した2000文字超の中から取捨選択をして掲載する内容を決めてくれたんですけど、決めるにあたっても事前にヒアリングをしたり、ご自身でいろいろ調べたり。私たちは何を大切にしていて、かつ、クライアントと考える保育園の経営者にはどういう情報が大切で、どういう見せ方をすると過不足なく適切な情報量だという、その辺を見極める能力がたいへん専門性が高いと思いました。
私はプロだからこうします、じゃなくて、なぜこういう風にしたか、ここはなぜあの情報は載せずにこの情報を載せているかを私たちにわかるように説明してくれて。こちらとしては「おっしゃるとおりです。それでお願いします」と心から言えた、言わせてもらえた。そこはすごいなって思いましたね。
情熱を持って参加者と一緒に取り組む
今回の支援者の方はこの後もGRANTを通さずに直接関わってくれそうです。ビジネスとしてお願いする予定にしています。そういう信頼できる人を探していたのでとてもいい出会いの機会をもらいました。
私たちは開設支援のコンサルティングという形で事業立ち上げの支援をしていますので、支援している事業者から「紹介してもらえませんか」という話もたまにあるので、そういう時には胸をはってご紹介したいなと思っています。

今回のプロジェクトはあまり苦労なく進んだので、こうした方がよかったというのもよくわからないというのがホントのところです。何でこんなにうまくいっちゃったのかっていうのが実はよくわからないんですよ。

でも、支援を受け入れるにあたっては、やはり工数もかかりますので、対応できる担当者として野上さんが窓口になったことは良かったと思います。

GRANTに限らず、プロボノって全部そうですけど、プロボノが手伝ってくれるっていうことは我々NPO側も情熱を持ってその方を引っ張っていかないといけない。やっぱり覚悟はいるし、時間をかけて取り組もうという思いは必要だと感じています。


※掲載内容は2023年3月取材時点のものです。