経験者インタビュー

訪れて初めてわかる、
その土地の魅力を最大限広めたい

井上慎太郎さん、福永圭佑さん
IT企業勤務
PROFILE
井上さん
IT企業にてセキュリティ分野のコンサルティング業務に従事。趣味はサウナ。サービスグラント経由のプロボノ実績は3回。
※今回は過去に同じプロジェクトで活動した福永さんの誘いで参加
※井上さんのGRANT参加実績はこちら

福永さん
IT企業にて金融業界向けのソリューション企画・開発業務に従事。趣味はプロボノと謎解き。 デジタル重視のプロボノチーム「デジボノ」を起案・運営。
※福永さんの参加実績はこちら
支援内容「サウナ付き宿泊施設のマーケティング支援」
あるプロボノプロジェクトメンバーとして親交のあった井上さんと福永さん、二人で取り組んだプロボノの舞台は、島根県隠岐の島町。島に泊まって知ってもらうことで農業・林業など一次産業に挑戦するきっかけを提供したいという思いで、移住者である岩井さんが始めた古民家ゲストハウス「KUSUBURU HOUSE」では、新たに隠岐の廃材を使ったサウナ小屋を作り、隠岐の大自然に浸ってほしいと考えていました。その魅力をどう伝え利用者を増やしていくと良いか?!マーケティングの支援に取り組んだプロジェクトの様子や完了後の感想など、お話を伺いました。
過去にプロボノチームで知り合った仲間と一緒に社会貢献を楽しむ
(福永さん)私はIT企業でソリューションの企画と開発に携わっています。顧客は金融機関で、専門はデータの活用とAIのソリューション提案です。ChatGPTのおかげで生成AIへの関心が高まっていますので、そういったものの調査とか対応するための開発などが最近は多いです。
隠岐の島のプロジェクトは、案内を読んで、面白そうっ!と参加しました。

(井上さん)私もIT企業で大手のデジタル化推進を担当しています。その中でも専門はサイバーセキュリティで、セキュリティなどの懸念事項への対応を提案していくポジションにいます。
私も、面白そうと思ったところに足を突っ込む感じで、別プロジェクトでご一緒させていただいた福永さんに誘われて完全に直感で参加を決めました。決め手としてはやはり面白そうっていうところが一番大きかったです。サウナの熱いところや水風呂は元々は大嫌いだったのですが、サウナマーケティングを支援するプロジェクトのおかげで、サウナのことを調べてハマってしまい、今やサウナが趣味になったという副産物もありました。

ふるさとプロボノのプロジェクト募集記事

現地へ行けばアイデアが深まる
(福永さん)ゲストハウスに新設予定のサウナについてのマーケティング支援に取り組みました。隠岐の島内外での認知度を増やすために、机上調査や実地調査を実施したのですが、週一回のオンラインミーティングと2泊3日の現地調査をして提案書にまとめました。
マーケティングというとSNSとかウェブサイトに話が行きがちですが、今回の場合はサウナ事業って何なんだろうというところから入ったので、事業計画めいたところもサポートしながら進めていく形になりました。役割分担的には私が事業計画よりのことを担当し井上さんがマーケティングよりのことを担当しました。

(福永さん)マーケティング調査や事業計画作成の実施にあたってまず隠岐の島について把握に努めました。隠岐の島は、島根県の北部にある島です。天皇や上皇が島流しされていたところとしてご存じの方もいらっしゃるかと思いますが、やんごとなき人たちを楽しませようと思って色んな文化を取り入れてきた土地です。京都の祭りを真似したり牛を連れてきたり、いろんな文化があって、島の人たちは外から来た文化を受け入れることに対して抵抗が低いという特徴があります。
調査結果は、市場動向や社会環境など基本的な外部環境分析からはじまり、どういうお客さんが多いのかというペルソナを設定していくために統計的手法も使いました。例えば外国人観光客が増えている中で、フランス人がとても多いという特徴があるのですが、どうやら、ツーリストブックという旅行本に載っている影響で異様に多いことがわかりました。また、コロナ前後でどうなったのかや、近隣施設との協業ポテンシャルも検討しました。
事業計画については、まず運営体制を考えました。今はゲストハウスを夫婦で運営しておられますが、サウナまでは手が廻らないため仲間の人たちが手伝う必要があります。今やっている仕事に加えてどのようにサウナを手伝ってもらうのかを整理しながら、さらに強み弱みの棚卸しやお客さんの嗜好も分析しました。
第三者の目から島の魅力が見えてくる
(福永さん)サウナ予定地を視察しているときに、外気浴場に椅子をどう置くとどんな景色が見えるとかシミュレーションしたりしました。隠岐の島は、めちゃくちゃ星が凄くて、夜中になると真っ暗な中にすごい数の星が見えます。「これは重要な観光資源じゃないですか」という話になって「星降るサウナって名付けましょう」と提案しました。
星がきれいということは島の人たちはは毎日見ていて気が付かないですが、我々が突然ある日行くとすごく感動するんです。観光客として来る人も同じだと思うので、そういうところは大事にしたほうがいい、と話したりしながら視察しました。また、生まれて初めてアジ釣りに挑戦し、一時間弱で8尾ぐらい釣った後、そのアジを調理してそのまま食べた経験は忘れられません。

(井上さん)振り返ってみて、大変だったなと思い当たることはなくて、むしろ、元々サウナの知識はなかったですが、色んな本を調べたり、サウナに行ってみたりと調査が楽しかったです。思い出してみると答えの決まってないところにアプローチしていく難しさはあったかもしれないですね。都会にもサウナはものすごい数ありますが、あえて都会風に寄せず、支援先であるKUSUBURU HOUSEさんのサウナならどうするかを追求していくところが難しかったかもしれません。
でも、現地に行って色んな地域の方とお話しする中で、表情とか言葉の感じとか見ながらこういうのを求めてないな、などを確認しながら微修正することで、みんなが納得できる形に持っていくことができ、何とかなりました。現地に行かずに単にリモートワークだけだったならそういう落としどころにならなかったと思うところです。

(福永さん)一番大変だったことは今一生懸命思い出しても、夜起きていられないことでした。すごい真面目な話してるのに寝てしまうんです。(笑)そこは、夜中に強い井上さんにしっかりフォロー頂きました。(笑)

地域の皆さま同士のワークショップをサポート
隠岐の島の魅力に付加価値をつける
(福永さん)最終のマーケティング提案の場では、最初はオーナーの岩井さん(以下:アッキーさん)がサウナ事業をこんな風にやりますと、集まってくれた仲間に説明されて、皆さんどう思いますかと振ったら、「アッキーさん、頑張ってください」みたいな話になりました。
でもそこで、アッキーさんはサウナをきっかけに、外からの人を呼んで農業に関わったり、島を盛り上げたい思いがある訳だから、このサウナ事業をトリガーにして、島の皆さんも自分たちの事業が盛り上がるような協業や、ターゲットを一緒に考えてもらえませんかと話しました。
そこから、集まった皆さんからもいろいろな意見が出て、「こういう内容だったらいくらまで払う」「こういうことでコラボ商品ができる」など、踏み込んだ話ができました。議論が進む中で、「ターゲットとしてはこんなような人たちがいるよね」と仮説を立てたり、「ウェブサイトサウナについての情報も載せなきゃ駄目だよね」とか、「サウナイキタイという有名なサイトに載せないことには話が始まらないね」「SNSはこんな風に広げていったらいいよ」とか、色々話していって、マーケティングプランとして成果物を納品させていただきました。

(井上さん)このプロジェクトが始まった当初は、オンラインミーティングで進めていました。ちょうどプロジェクト期間の真ん中くらいで隠岐の島に行ってそこから提案内容を詰めていきました。現地の人たちやアッキーさんの雰囲気など、隠岐の島を知ることでアイデアが深まっていって最後の成果物に行きついたプロジェクトでした。
今はオンラインで何でもできる世の中かなと思っていましたが、やっぱり現地に行くことでマーケティング調査がすごく充実したものになり、ここまでのアイデアと成果物ができたかなと今改めて思います。

(福永さん)プロジェクトの最大の成果は、多くの関係者が互いに意見とかアイデアを出し合って、なんとなく理解とか納得とかをし合いながら、こうやったら良さそうだね、という方向性を出したことだと思っています。
プロボノの経験を本業に還元
(福永さん)プロボノの経験は、仕事にも役立ちます。本業ではできないウェブサイトの構築とかSNSの情報発信支援、Tシャツのデザインとか、これまでにもいろんなプロジェクトに参加したのですが、本業でやったことがない経験ばかり。色々なことにチャレンジしていく中でできることが増えていって、本業の方でオリジナルのウェブサイト、オウンドメディアを持ちたいという話が出て、でも社内にはできる人はいないと思われていた時に、実はそれ僕やったことありますみたいな感じで、本業に還元できることは結構たくさんあります。
やはり知的興奮というか実際にあるリアルな社会課題に取り組むことで、それに一定の方向性というか解決策を見つけるというのは、パズルとかクイズより断然楽しいです。

(井上さん)私はプロボノの活動が直接つながる仕事ではないのですが、プロボノに取り組むことが良い気分転換になって仕事がうまく回るようになったのが副次的な効果です。プロボノ自体が趣味のようになる場合もありますし、今回のサウナみたいに、プロボノでかかわった事業内容が趣味になる場合もありますし、それによって仕事の気分転換が図れて本業もうまくいっています。生き方が上手になるというか、人間的に深みが出たというか、そういう効果があるかなと思ってます。
また、課題を見つけてそれを解決していくプロセスは、本業で行なっている顧客企業の課題解決と似ているので、地方創生の課題も身近なテーマとして感じられ、すごく視野が広がりました。

地域をこえて一緒につくるをこれからも。

※掲載内容は2023年6月取材時点のものです。
※ふるさとプロボノのウェブサイトはこちら。