経験者インタビュー

沖縄の島人が楽しく集う場
GRANTの活用で
全国の仲間とつながれました

綾部智美さん
島しまドア
島しまドアは、沖縄離島に住む有志が運営しているコミュニティです。島人(しまんちゅ)たちは島や業種を越えた仲間同士。お互いの島のことを島内外に発信しながら定期的に情報交換や定期的にイベントを行っています。
島しまドアさんは、ホームページと動画編集の2つのプロジェクトに取り組みました。事務局を担当している綾部智美さんにGRANT活用のきっかけやプロジェクトに取り組んで感想等についてお話しを伺いました。
とりあえずやってみようと思ってはじめました
島しまドアは、2023年5月から沖縄県内の離島に住む人たちが運営している「自分たちが住む島のことを島人(しまんちゅ)がありのままに発信するコミュニティ」です。沖縄本島から離島に行くことに比べると、離島から離島へ行くのはたいへんなんです。だから、オンラインで情報交換をしたり、離島に来たお客さんに別の離島を紹介しあったり、それぞれのメンバーがつながりを作っていきたいという思いでやっています。
活動は島人がメインでチャットグループ内には10の島の28人が登録しています。沖縄の有人離島は38、無人離島を含めて160と言われていて、最近やっと宮古島周辺の離島の方が仲間になりました。北の方の離島の方々はこれからという感じです。わたしは本島に住んでいて事務局の立場でかかわっています。

GRANTはコーディネーターの「人材チャンプルー(沖縄県プロフェッショナル人材戦略拠点)」(以下、人材チャンプルー)さんから紹介していただきました。人材チャンプルーの方々とは、以前、沖縄県の研修でご一緒したことがある知り合い同士でした。私が個人のSNSで島しまドアの活動を紹介しているのをご覧になって「やってみませんか」という形でお声がけいただいたことがきっかけです。
紹介していただいたものの、サービスグラント自体を知らなかったので、ホームページを見たり、人材チャンプルーさんに話を聞いたり、GRANT運営事務局の方にも説明をお願いしたりしました。島しまドアは地域団体でもなくコミュニティなので、わたしたちが活用できるのかしらという思いもありました。

ちょうどホームページや動画編集に取り組んでみたいと思っていたところで、島しまドアメンバーの中にはそういう技術を持ち合わせている人がいなかったのでお願いしたらどうかと思ってみんなに話してみました。
離島のみんなは自分たちの離島のことを発信したいと思っていますし、外の人とつながりを作りたい、沖縄好きな人だったらウェルカムという感じがありました。お金のこともありましたので無料のボランティアだったら「いいんじゃないの」という感じになりました。
私たちのコミュニティには決まり事があるわけではないので「とりあえずやってみようや」と軽い感じで始められたと思います。
ホームページ作成のプロジェクト
2つのプロジェクトにほぼ同時にとりくむことになりました。一つは 「「島しまドア」のHP(ポータルサイト)作成」です。

活動開始から情報発信は主にSNSを活用していました。イベントの集客は別のイベント情報サイトを活用していたのですが、SNSだけでは使っていない人に情報が届きません。
島しまドアはいろんな離島の事業者さんたちの集まりなので、島しまドアのイベントに来ていただいてもそこがゴールではなく、そこから各離島の島人たちのホームページやSNSにつなげていきたいと思っていたんですね。だから情報を集約したポータルサイト的なものが欲しかったんです。自分たちで作るのは難しそうと一度は頓挫したのですが、GRANTでホームページ制作もお願いできるということだったので「そうであればありがたい」ということになりました。できる範囲でお願いできればいいし、まずはアイデアや提案してくれることでもありがたいということで支援募集記事の準備を始めました。

支援募集記事:「島しまドア」のHP(ポータルサイト)作成


手を挙げたのは東京在住の会社員の方です。企業でホームページ作成の経験があって、沖縄が好きということで応募してくれました。副業はできないのでボランティアならOKというお話しをされていました。

最初に面談して、9月のキックオフではこちらから「こんなことしたい」「ホームページ制作について詳しいことはよくわからないので提案してもらえるとありがたい」と伝えました。ホームページの素材はその時にいろいろ渡しました。12月に大枠ができた時点で1回お話しして、1月に掲載したい情報を入れたり、設定や微調整を行って1月末に公開したというスケジュールです。完成したホームページはメンバーも喜んでいました。プロジェクト終了前には使い方を教えてもらった感じです。
最初は12月くらいに公開しようという予定だったんですけど、延びても問題はありませんでした。ボランティアでやってもらっているっていうのもありますし、こちらもそんなに急いでいない。仕事でズルズルやってたらちょっととなると思いますけど仕事とは違います。

成果物:「島しまドア」ホームページ


わたしたちからは、みんなの顔が見えるようにすることとSNSとの導線、イベント情報の掲載を希望しました。
メンバーのキャラクターなどはSNSでは伝えきれないので直接話をしてもらうのが一番いいんですよ。ホームページ上のプロフィールはみんなに「個性を出して書いてね」とお願いして準備してもらいました。今、ホームページに掲載されている16名のメンバーが主に活動しているメンバーになりますね。

ほんとうに離島が好きという「通称:離島マニア」はこういった情報は見ないで、自分で情報を集めて行くんですよ。だから、このホームページは「離島に行ってみたい、沖縄は好きだけど離島はまだあまりよく知らない」といった人に見てもらえるといいなと思っています。沖縄というと景色がメインになると思うんですけど、わたしたちは景色ではなくて「人」を前に出しています。島人たちが何をしているかを知ってほしくて紹介したいんですよね。メンバーにはいろんな方がいるんですよ。ガイドもいればものづくりをしている人もいるし。そういう人を知ってその人に会いにいきたいという感じにしたいんです。

参加者の方とのやり取りはそんなに苦労したことはないです。こちらもみんながいろんな事業をやっているのですぐに反応できるわけではないからのんびりやってる感じでしたし、参加者の方もお仕事されていることは最初からわかっていましたし。別に「いつまでに」ということは言っていなくて、できるときにやってもらえればという感じだったので私の方での苦労はなかったです。
紹介動画編集のプロジェクト
もう一つのプロジェクトは「「島しまドア」イベント紹介用ダイジェスト動画作成」です。

支援募集記事:「島しまドア」イベント紹介用ダイジェスト動画作成


去年の5月の活動開始から月1回、約1時間のオンラインイベントをやっています。これまで8回実施して、ちょうど来週(2月25日)に第9回を予定しています。イベントで取り上げる離島は立候補で決めていて、自分たちがやりたいように柔軟な形でやっているものです。

オンラインイベントは無料の時もあれば有料の時もあって、イベントの様子は録画しているんですけど、お金をいただいてやっていることもあるからそのままYouTubeで公開はできないんですよね。
参加してくれた人たちは満足していると思いますのでその感じをどうにかして発信したい。イベント中のキャプチャをSNSで発信しても動きがないZoomの画面なのでおもしろくないから一部だけでもイベントの動画を編集できたらいい。まだ島しまドアのメンバーには動画編集をできる人がいないので誰かがやってくれたらありがたいと思っていました。

手を挙げたのは関西在住の方です。プロジェクトでは、昨年の9月までのイベント5回分の動画を渡して編集してもらいました。試作品として納品していただいた動画は既にホームページにも紹介動画として埋め込んでいます。
試作品ということだったのですが、ホームページ作成の参加者の方にお見せしたところ「十分いいんじゃないんですか」と言ってもらえたので既に公開しています。完成版の納品が気になるところですがゆっくりお待ちしたいと思います(笑)。

成果物:紹介動画(試作品)


実は参加者の方は、もともと、わたしが「いいな」と思って見ていた動画をつくった企業に勤務していた方なんです。島しまドアのメンバーと以前から知り合いで、その人とのつながりでSNSで発信した募集記事情報を見てくれたようでした。最初はつながっているメンバー宛に「やれますよ」と連絡がきたので、GRANTからの応募という形でお願いしました。まさかのご本人からご連絡いただくなんてびっくりしましたね。

動画は完成形のイメージや、5分くらいの動画をSNSで拡散したい、というこちらの希望と「楽しい感じでお願いします」とお伝えして、持っていた素材を渡して進めていただきました。
動画の素材はメンバーが自分たちで撮った動画や写真でSNSに載せているものやイベントの動画ですね。私もSNS発信のためにネタをもらったりしているので、そういったものをかき集めてそのまま提供した感じです。
試作品は島しまドアのグループチャットにあげてくれたんですけどみんなから大絶賛でした。

参加者の方には、去年の10月のイベントではファシリテーターとしても参加してもらいました。旅行相談会みたいなイベントやろうって言った時に「司会をやってもらおうよ」ということでお願いしました。やってくれるとなったら、もう仲間っていう感じです。
島人だけではないコミュニティの入り口になればいい
「島しまドア」としては今年の5月で設立から1年になるんですけど、最近はイベント参加者の顔ぶれも決まってきたように思うので「何か違うやり方を考えないとね」と話しているところなんです。そういった流れの中で「次はこういう人にこういうお願いができるといいね」という話が出てくるかもしれません。

島しまドアは知り合い同士のネットワークで広がってきました。もともと令和3年度の沖縄県の事業で知り合った仲間です。せっかくできた関係が年度で終わってしまうのはもったいないと言って立ち上げたネットワークがはじまりです。その後、みんなで何かしたいねということで「島しまドア」となりました。
そのような団体が、GRANTでまったく知らなかった方とつながれたというのは大きいですね。全国の人に知ってもらえるきっかけにもなっていると思います。こちらとしても自分たちではできなかったことをやってくれる人がいて助かります。こういうプラットフォームがあれば、こちらが知らなくても、沖縄の離島でこんなことやっている人たちがいるって知ってもらってつながれるのは大きいと思います。

島人だけではない、沖縄県内外の人もどんどん加わるコミュニティにしていきたいのでGRANTをきっかけとして知り合いができるといいかなと思っています。このインタビューを読んで島しまドアに興味を持った方がいらしたらぜひイベントに参加してみていただきたいです。
つながるきっかけとして活用してみたら!
GRANTにはボランティアで参加してくださいますよね。お金が発生すると仕事になってしまうのでスケジュールのズレやクオリティが気になったりすると思うんですけど、ボランティアでお互いができる範囲でやりましょうというのは気がラクというのでしょうか。ビジネスではなく仲間意識みたいな、お手伝いしてくれる人という感じなのでギスギスせずにできるところは良かったと思います。

GRANTのホームページを見ているとしっかりした団体さんが多そうと感じたのでそれも参加するうえで安心材料となりました。
それから、GRANTのメールのテンプレートはよかったです。ちゃんとしたお返事を書かないとというときは参考にできるのはいいです。進捗管理はステータスを変えていけばいいのでわかりやすいと思いました。

最初は心配もありましたが、応募してくれる方がきちんと対応してくれたのでこれは気軽に参加してもいい仕組みなのかなと思えましたし、運営事務局の方に質問していろいろ教えてもらって大丈夫と思えたので、固く考えすぎずにまずやってみるとかでいいのかなと思います。

ホームページのプロジェクトの参加者の方とは完了したからサヨナラではなく、そのままグループに入ってもらっていてコミュニケーションは続いています。プロジェクトをきっかけにつながっていけるので、つながりを求めてる団体さんはどんどん活用するといいですよと伝えたいです。

GRANTではイベントの参加者募集機能もありますよね。次はその機能を活用することもいいんじゃないかなと思っているところです。


※掲載内容は2024年2月取材時点のものです。