経験者インタビュー

デザイナーの経験やスキルを
活かして子ども食堂を支援
会社の中と違う世界がおもしろい

Chizuさん
デザイナー
PROFILE
企業内デザイナーのChizuさん。プロボノの参加は2回目。新しい視野やスキルの習得のためにプロボノへの参加を継続しています。
サービスグラント開催のイベント「春のプロジェクト発表会」で「GRANT」を知り、さっそく参加されたChizuさん。これまでのプロボノの経験や今回のプロジェクトについて伺いました。
「GRANT」との出会いは春のプロジェクト発表会でした
初めてのプロボノ活動は、高校生に向けてのデザインワークショップでした。「プロボノ」という言葉はその時は知らず、面白そうだからやってみようかな、と思って参加しました。自分のスキルを使ってしたことが、仕事と高校生対象のワークショップでは全く違うリアクションや反応が返ってきます。高校生が、すごく嬉しそうにしていたり、楽しそうにしているのを見たときに、もしかすると、仕事以外でも、自分のスキルがいいことにつながるかもしれないという感覚を持ちました。そこから、プロボノを知ったという経緯があります。大変なことも多かったけど、その分新鮮で、視野が広がる経験になりました。

その後、会社の友人から教えてもらって、サービスグラントのプロボノワーカー説明会に参加しました。春のプロジェクト発表会で「GRANT」の紹介があったので、まず登録してみようと思いました。チームでプロジェクトを進めると、自分にないスキルを持ったメンバーが集まるので大きいことができるとは思ったのですが、個人で動くプロジェクトでは、フレキシブルに、団体さんとのやり取りでどんどん進められます。できることは小さいかもしれませんが、動きやすい面があると思い、「NPO法人宮ノマエストロ」さんのチラシ作成のプロジェクトへエントリーしました。
デザインスキルを活かす×関心がある社会課題のフードロスに直結するプロジェクト
神奈川県にあるNPO法人宮ノマエストロさんは、多世代交流スペースの宮ノ前テラスで「みやまえ食堂」という子ども食堂を月2回開催されています。そちらの子ども食堂を訴求するためのチラシのデザインをやらせていただきました。
前々から、自分のデザインのスキルが他に活かせるんじゃないか、と思っていたことと、個人的に子ども食堂にもすごく興味があったので、それが重なり応募したのが経緯になります。

元々は、食、特にフードロスの問題に関心を持っていました。フードバンクのボランティアに参加したこともありました。フードバンクが食材を提供している先のひとつに子ども食堂があったことから、その活動を知りました。
今回の「GRANT」では、デザインスキルを活かすというところ、さらに関心があった社会課題であるフードロスに直結するところで、思わずエントリーボタンをクリックしたという感じです。

最初に、NPOの代表の方とお話しをさせていただきました。まだそれほど大きな規模ではない中でも色々な活動をしていることを知ってもらいたい、また、最近、利用者が固定化したためか新しい方がなかなか入ってきてくれない、という課題を伺いました。そこで、新しい利用者を増やすためのメッセージが魅力的に伝わるようなチラシを作りましょう、という話になりました。
次に、子ども食堂の代表の方に、子ども食堂に対しての想いをヒアリングさせていただきました。その中で、すべてを一つにまとめてしまうとメッセージが伝わりづらい、ターゲットとする方にダイレクトにメッセージを伝えた方がよいのでは、と考え、3種類のチラシを作りませんか、という提案をさせていただきました。団体の方も、やりたいと言ってくださったので、優先順位や日程、配る場所や状況について話しをしながら内容を固めていきました。

NPOの方たちは情熱をもって活動されているので、お話を聞いているだけでワクワクしてきますし、圧倒されました。抱えている問題に対して、できることを少しでもいいからやっていこう気持ちがすごく伝わってくるので、話を聞かせていただくだけでも勇気づけられる、すごくいい経験になったと思います。
一回、話を聞いてみよう、という気軽な気持ちから始まりました
「GRANT」では、「絶対やるぞ!」という強い決意というよりも「一回、話を聞いてみようかな」「とりあえずやってみよう」という気軽な感じで、団体さんに問い合わせをしました。構えた気持ちや不安はありませんでした。
それまでにもプロボノの経験はあったのですが、自分の興味のある分野や、自分の持っているスキルがマッチしていたので、不安よりも興味の方が勝っていたように思います。だから「まずは話を聞かせてください」という感じでアプローチしたのかもしれません。

職業がデザイナーなので、何かをデザインするのは好きです。何か課題やお題を出されて、それに向けてどういうデザインがいいかと考えながら取り組むことが根本的に好きなんですよね。ですので、その作業をしている時間は、私にとってはむしろ楽しい時間です。それを子ども食堂の方に見ていただいて、「これ可愛いですね」とか「素敵なデザイン、ありがとうございます!」と素直に言っていただくと、自分の楽しい時間に、「楽しい」「よかった」という反応をくれる、すごくハッピーな時間の積み重ねという感じになります。それが、団体の活動の利用者が増えるとか、認知度があがることに結びついて貢献できたらいいなと思います。

会社の中で毎日仕事をしていると、どうしても視点が狭まるといいますか、世界が決まってしまうところがあるんですけど、外の方とやり取りさせていただくと、会社の中の世界と全然違う世界がある、私がふだん入っている社会はものすごく小さいとわかったことが大きいと思います。少し無理をしてでも、全然違う世界にジャンプしてみると、「あれ普通じゃなかったんだ」「普通って、小さい世界のことを言っていたんだな」ということが改めてわかり、すごくいい経験になりました。
「GRANT」から始まった関係性を今後も続けていきたいと思います
応募した時はここまでコロナウイルス感染症が深刻になるとは思っていなかったので、できれば子ども食堂にお邪魔させていただいて、ボランティアとして食堂で働きたいと考えていました。団体の方からも「ぜひ!」と言われましたので、子ども食堂がどのように運営されているか、どういうメッセージが込められているかを見させていただきながらデザインをしたかったです。子ども食堂の活動が止まってしまい、ケータリングに変えている状態でしたので、生の感覚がつかめなかったのは想定外ではありました。チラシに使う写真も、自分で撮りたかったのですが…。コロナが終息したら、ぜひお邪魔させてくださいという話をしているところです。

本当にラッキーだったことですが、とても話しやすい団体さんで、私の中では関係がすごくフィットしていました。今回は「GRANT」がきっかけで始まりましたが、団体さんは食堂だけでなく他の活動もされているので、今後もご協力できることがあれば、関係性を続けていきたいと思っています。

興味がある団体さんがあれば、あまり重く考えずに、まず問い合わせてみるといいのかなと思いました。もしそこで「ちょっとイメージと違っていた」「自分が協力できるかどうか判断できない」「フィットしない」と思っても、誰もそれで怒ったりはしません。まず、お互いが助け合えるか、お互いの関係性をうまくできるかどうかを確認してみるところがスタートしてはどうでしょうか。まずは、あまり構えず、気楽に入り口をたたいてみるといいのかな、という風に思います。
  

※掲載内容は2020年6月取材時点のものです。