経験者インタビュー

新たな自分の扉が開く機会!
団体の方々や地域とのご縁が
GRANTの醍醐味です

石川沙哉佳さん
ウェブデザイナー
PROFILE
魅力的な日本を伝えたいという思いで2021年春よりウェブデザインを学び始めキャリアチェンジした石川さん。2023年9月に最初のGRANTプロジェクトに参加しました。
※石川さんのGRANT参加実績はこちらからご覧いただけます。

地域創生への関心から「大阪ええまちプロジェクト」を知り、すぐに参加を決めた石川さん。プロボノでの経験や支援先団体とのエピソードについてお話しを伺いました。
持ち続けたソーシャルへの関心がGRANTへの導線に
奈良県出身で、今は大阪に住んでいます。約10年、コールセンターで仕事をしていて、オペレーターから管理業務、センターの運営や開設とさまざまな経験をしました。30歳という節目を迎えてキャリアのステップアップを考え始めたとき、ちょうどコロナ禍でコールセンターの業務量が増える時期と重なりました。多忙な毎日が続く中、このままでいいのかと考えるところがあって退職しました。
旅が好きだったので、旅をしながらできる仕事に就こうと思い職業訓練校でウェブデザインを学びました。大きなキャリアチェンジでしたが、まずはやってみて違うと思ったらそれだけのことと思って飛び込みました。学校の先生たちには向いていないって言われていたんですよ(笑)。その後は制作会社に就職したのですが、残業が多くこのままでは体を壊してしまうと思って辞める道を選び、今は個人事業主としてウェブデザインの仕事をしています。

子供のころは地元のYMCAのスポーツクラブに入っていて募金活動をやったこともあります。ソーシャルに向かう気持ちは経験として自分の中に残っているように思います。楽しかった記憶もあるんです。
身に付けたウェブデザインのスキルで日本の地方の魅力を伝えられないかと考えて、地域創生や地域密着に興味を持っていろいろ調べていたところ、GRANTやサービスグラントの「大阪ええまちプロジェクト」のウェブページにたどりつきました。
そこでいろいろな支援の事例を拝見して、私でもできることがあるんじゃないかと思って応募したことがプロボノのスタートです。

参加することで何かの縁がつながると思ったんですよ。自分でもできるかなっていうところもちょっと試してみたかったですし、仕事でつながっている業界以外の方たちとかかわりたいという気持ちも強かった。交流の輪が広げられるかもしれないというのはすごく魅力的でした。
「大阪ええまちプロジェクト」にチームでもGRANTでも参加しました
昨年の9月に大阪ええまちプロジェクトの、大阪府太子町のプロジェクトに参加しました。「SNS(Instagram)を使って新規の会員を集めたい」と、住民自治の発展を目指して活動する団体さんをチームで支援する内容でした。

並行して、大阪ええまちプロジェクトがコーディネーターとなっているGRANTのプロジェクトにも手を挙げました。大阪府島本町の島本町年長者クラブ連合会さんの「新規会員募集に向けたチラシのリニューアル作成」です。


支援募集記事:新規会員募集に向けたチラシのリニューアル作成


GRANTで取り組んだ最初のプロジェクトはチラシのリニューアル
「会員を増やしたい」という目的に向かってチラシを見直すというプロジェクトでした。それまでに作られていたチラシは、誰に向けて出したいのかというターゲットが明確ではなかった印象があったことや、今までは掲示が中心だったチラシを、これからはイベントなどで配布していきたいということも伺って、男性向けか女性向けかというターゲットの視点や、イベントに3世代で来られる方いらっしゃると伺ったので、お子さんにチラシ渡すことを想定して「おばあちゃんと一緒にカラオケ大会に来てね」というパターンにすることはどうでしょうかという提案をさせていただきました。
そうしたところ「じゃあこれもそれも作ってください」となったんですね(笑)。一瞬「えっ!?」って思いましたけど、チラシを見て一人でも会員が増えてくだされば功は奏すると思うところで「ぜひやらせてください」という思いで取り組みました。納品したチラシはターゲットや目的を考慮し、全部で6種類になりました。

プロジェクト期間中は現場見学でカラオケ大会に行きました。団体さんの2番目に大きいイベントと伺っていましたが、実際、かなりの数の方が参加されていました。ホールを借りて、ドレスを着てという真剣勝負のカラオケ大会です。80人は舞台で歌ったんじゃないでしょうか。そこで、まだ団体の会員でない方に「入会していない理由はなんですか」とか「年長者クラブのことを知っていますか」などのヒアリングをさせていただきました。
ゆったり作業することができるペースで進みました
プロジェクトの最初にある程度のスケジュールは立ててみたものの、実際はこちらから提案したスケジュールは大幅に変更になりました。月に1回、団体の皆さんが揃うミーティングの機会があるんですけど、その場でチラシの話が進むため、私がどんなに早く提案をお出ししていても団体内での検討やフィードバックはミーティングの席で、ということになったんですね。
プロジェクトの完了まで時間がかかるということが早々に予想できていたので、あまり深くは考えずに流れに乗っていこうと判断しました。結果として5カ月のプロジェクトになったのですが、焦ることなくゆったり作業することができたように思います。


プロジェクトの進行スケジュール


最初はプロボノとしてどこまで対応すればいいのか、どの程度の作業になるのかという点について悩みましたね。仕事なら細かくスケジュールを立ててやり取りしながら進めるところですが、プロボノだけど仕事のように取り組んだ方いいのか、作り方をお伝えするという方法に切り替えた方がいいのか、どのように進めたらいいのだろうというのは自分の中でせめぎ合いがあって悩んだところではありました。
結局、チラシを複数つくりながら作り方をお伝えするという折衷案で進められたように思います。団体の皆さんが無理なくできる範囲でやってくれればいいとおっしゃってくださったので安心して進めることできました。
ステキな団体さんとの出会いになりました
役員の皆さんは70代後半から80歳という高齢の方々なんですけど、やる気に満ち溢れていて、すごく活動的な方たちだったので私の方がお尻を叩かれたところがありました。

団体のミーティングに同席させていただくと、自分たちが作っているホームページの閲覧数を増やすためにどのように改善したらいいだろう、と真剣に議論されたり、この件で石川さんからアドバイスはありますか?とご相談を受けたりしましたし、チラシの提案の際のフィードバックの内容も的確で、しっかり活動されている団体さんだなということがわかったことも印象に残っています。

今回はチラシのプロジェクトでしたが、訴求力は未知数だし1度配布してもすぐの効果は難しい、ということは団体さんも理解されていましたが、今後、チラシをどのように使ってくださるかは団体さん次第と思いながらも、どれだけ使いやすいチラシを整えるかは私の持ち場だなと思って精一杯取り組みました。
4月は総会などでご多忙と伺っていましたし、活用については腰を据えてやりたいというご意思と思うので、チラシのその後のお話しを伺うまでは少し時間が必要なのかなと思ってます。

プロジェクト期間中は、打ち合わせ等で月に1回ペースで現地にお伺いしていました。打ち合わせの後は近くの喫茶店で団体の皆さんとわちゃわちゃしたり、忘年会に誘っていただいたりと良い思い出があります。本当にいい方々との出会いだったと思います。
2つ目のプロジェクトではCanva(キャンバ)をお教えしました
最初のプロジェクトの途中で、団体さんから「デザインソフトのCanva(キャンバ)の使い方を教えて欲しい」という要望を伺いました。教えるためには自分ができないといけないと思って、新規会員募集に向けたチラシもCanvaで作ることにしました。こういった事情もあって、GRANTの2つ目のプロジェクト「Canvaの使い方講座」では団体の皆さんに操作方法をお教えすることになりました。


支援募集記事:CANVA使い方講座


講座には団体の役員の方々4,5人が参加されました。みなさん年齢は70代だと思うんですけど、70代から新しいパソコンのソフトを使おうって思うという、その意気込みがもう私はびっくりしてしまって。実際、なかなか難しいと思うんですよね。私だって新しいソフトを使うのは勇気がいる。年齢を考えるとさらにたいへんだろうなっていうのは痛感しているので、絶対にわかりやすくお伝えしたいと思いました。
2回目の講座のときに、質問していただいたので「前回の講座の後に触られたんだな」ということがわかって嬉しかったですね。団体の皆さんからはいつも元気をもらっていました。
新しい自分を再発見する機会に!
GRANTの醍醐味は「ご縁」だと思います。今回のかかわりがなければ、多分、島本町のエリアは行く機会がなかったと思うんです。ご縁をいただいたからこそ地域に足を踏み入れることもできたと思います。だからこそこういうご縁はすごくいいですね。

新しい自分を見つけたこともあります。プラスになるかマイナスになるかはその人次第だとは思うんですけど、普段かかわる機会がない方とかかわれます。募集されている案件の中には、普段かかわりにくい方々への支援や踏み出しにくい案件もあるので、何かきっかけがつかめるんじゃないかと思います。「思い切って足を踏み出してみたら!」とお伝えしたいですね。

私自身が見つけた「新しい自分」ですか? 改めて「自分って社交的な性格だったんだ!」ということを痛感しました。もともと社交性はある方だったと思っていたんですけど、ここまでだったっけ?と思ったところがあって。出会った支援先の方々に私の新しい扉をノックして開拓していただいた気がしています。
これからも年に1回はプロボノに取り組んでいきたいです
昨年の9月からプロボノに参画して、私自身のこれからの方向性を含めてすごく影響を受けたように思います。このご縁を大切にしながら、人の心を豊かにできるとか、笑顔にできるというところは忘れないでおきたいと思っています。忘れてしまわないように、これからも年に1回くらいはプロボノに取り組んでいきたい、今は仕事が忙しくて参加させていただいても全うできない状況なのですが、なんとか時間を見つけて参加できればなと思っています。

デザインの仕事の一つで、ウェブデザイナーを目指している方のコーチのお仕事をしています。まだクライアントと接したことがないからどうしたらいいかわからないとか、仕事以外で楽しく取り組んでみたいという方には「興味があるんだったらやってみたら」とGRANTを紹介しています。少しずつでも輪が広がっていくことを願っています。


※掲載内容は2024年5月取材時点のものです。
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