経験者インタビュー

専門性が高く複雑かつ多様な
団体活動の広報にトライ
適切に魅力が伝わる研修告知が完成

榎本裕子さん
社会福祉法人 日本国際社会事業団(ISSJ)
PROFILE
日本国際社会事業団は、人々が国境を越えることで生じるさまざまな問題の相談に応じる民間団体です。これまで60年以上にわたり、社会の移り変わりに伴うニーズの変化に応じながら、一貫して、日本と海外との関りにおいて子供の福祉向上のために活動をしています。
民間で、最も古くから、多数の実績を積み上げ、外務省や入管、大使館、児童相談所等などの機関からの問合せが入るような専門知識が蓄積され、専門家が常駐しているISSJですがが、その対応ケースの複雑さ、多様さから、事業内容や実績が正しく伝わっていないという課題があります。今回は、「GRANT」を活用して、「研修告知のチラシ作成」を依頼いただいた日本国際社会事業団の榎本さんにお話しを伺いました。
広報活動に課題を感じていました
日本国際社会事業団(International Social Service Japan、以下ISSJ)は、これまで60年以上にわたり、一貫して、日本と海外との関りにおいて子供の福祉向上のために活動をしてきました。主な事業内容は養子縁組支援、外国とつながりのある家族の支援です。

ISSJでは、地域で暮らす外国にルーツをもつ子どもや家族を支援する支援者向け講座を開催しています。ISSJのソーシャルワーカーと弁護士など専門家をゲストスピーカーとしている連続講座です。行政など関係機関の方に対して、ISSJと連携して支援する意義やISSJ(民間)ができることを知ってもらうことを目的としています。結果、難民や難民申請者、外国籍のシングルマザー、無国籍状態の子どもといった困難を抱えやすい移住者に対して支援が届きやすくなることを目指しています。

ISSJのスタッフの多くはソーシャルワーカーです。対応ケースの複雑さ、多様さから、事業内容や実績が正しく伝えられていないという課題がありました。また、助成金獲得のために広報の重要性を理解しながらも、十分に力を注ぐことができていないことも課題でした。
GRANTに適したテーマで支援を依頼
過去に2回、サービスグラントの長期支援(チーム型プロボノプロジェクト)を受けました。課題整理ワークショップとマーケティング基礎調査です。2回ともとても満足しています。プロボノワーカーの中にはその後も熱心に応援してくれる人もいます。

2020年6月頃、広報や事業報告についての課題解決のため新たな支援を受けたいと思い、団体からサービスグラントの事務局にコンタクトをとったところ、「GRANT」を紹介されました。これまでの実績から、プロボノワーカーとのプロジェクトは大丈夫と思っていたので、「GRANT」で「研修告知のチラシ作成」を依頼することにしました。

チーム型のプロボノプロジェクトは、団体のミッションに関わる内容や、大規模なイベントなどに適していると思っています。対して、プロボノワーカー個人とプロジェクトを行う「GRANT」は、比較的コンパクトな成果を目指す際に適していると思いました。実施までの期間が短く、日程調整も容易です。プロボノワーカーのフットワークが軽いこともあってテンポよく進行することができました。
団体ミッションなどの重いテーマがひと段落した後は、日々の業務面でのサポートがあるとありがたいものです。チーム型のプロジェクト(長期)から「GRANT」という順番で支援を受けるのが自然な流れのようにも思いました。
積極的な関わりで十分な内容のチラシが完成
今回のプロジェクトでは、研修告知のチラシ作成に協力いただける方を募集しました。目的・成果物を絞ったほうがマッチングしやすいと伺っていたので募集の際はその点を充分検討した上でプロジェクト登録を行いました。

研修(連続講座)の対象者は、行政の担当者や児童相談所、保健センターなど課題に関心がある方です。私たちスタッフは活動を社会に発信することが得意ではありません。社会課題に取り組む団体の広報(デザイン、チラシ作成)に関心がある方に手伝っていただいて、より分かりやすいチラシを作成することで、研修の参加者を通してより効果的な支援ネットワークができることを期待しました。
プロボノワーカーはメーカーの営業担当の方でした。国際協力に関心を持ちながらも仕事としては選択しなかったので、何らかの方法で関与する方法を探していたということでした。営業スキルを使って広報・宣伝に貢献できるかもしれないと思い立候補したと伺いました。営業担当の方からの応募は驚きましたが、面談で必要なスキルがある人とわかりました。

団体の活動内容に関心を持って、前向きな姿勢、提案型で取り組んでくれました。打ち合わせの際、オフィスでお会いした時も色々な話で盛り上がり、関係性を深めることができました。チラシに掲載するわかりやすい表現を考え、自ら講師のプロフィールを調べるなど積極的に関わっていただいて、成果物も十分な内容でした。
スコープである研修チラシの作成に加え、団体のホームページにランディングページを作って研修開催後の報告を載せてはどうか、というアドバイスもありました。このような広報・宣伝に関連するサポートも、たいへんありがたく思っています。いわゆる「広報担当」という肩書での業務経験がなくても依頼内容に対応できれば問題ないことを知ることができました。
プロジェクトへの参加が新しい気づきにつながりました
「GRANT」を含めたこれまでの3回のプロボノプロジェクトにとても満足しています。毎回、プロボノワーカーのサポートに励まされています。持っているスキルや知識を活かそうとしてくれて本当にありがたいと思います。また、プロジェクトに参加することで団体の強み・弱みに気づける、新しい気づきを得られる、活動が活性化すると感じています。

研修終了後のアンケートから、チラシを見て今回の研修に参加したという方が数多くいたことがわかりました。チラシのインパクトに不安もありましたが、実際にやってみて研修への参加につながったことを実感しました。今後の研修でチラシを作る際にも、ぜひプロボノの方にアドバイスをいただきたいと思っています。

他のスタッフからも、今回のプロジェクトの成果を見てプロボノプロジェクトに興味持ったという声がありました。ニュースレター、ウェブサイトの改良などに「GRANT」が活用できそう、という気づきがあったようです。他の業務との兼ね合い、スタッフに余力があるか見極めたうえで次回もプロジェクトに応募したいと思っています。
  

※掲載内容は2020年11月、2021年2月取材時点のものです。