経験者インタビュー

自分たちでは気づかないことを
客観的に見ていただく機会
次の一歩につながっています!

杉尾麻帆さん
スペシャルキッズプロジェクト
PROFILE
スペシャルキッズプロジェクトは千葉県船橋市で、発達が気になるお子さま、発達障がい、知的障がいのあるお子さまとそのご家族を対象に、音楽やアート、スポーツ等のプログラムを企画し、専門の講師を招いてイベントを開催する活動を行っている団体です。

スペシャルキッズプロジェクトさんは活動2年目にホームページの必要性を感じ、2023年に初めてGRANTに取り組みました。情報発信に関係した2つのプロジェクトが終了したタイミングで代表の杉尾さんにお話を伺いました。
障がいのある子どもたちに習い事の場を提供する活動を行っています
スペシャルキッズプロジェクトは、特別支援学級に通うお子さまの保護者の方々の「習い事をするのが難しい」「習い事が続けられない」という声から始まりました。準備期間を経て、2022年4月に団体を立ち上げました。
集団行動がしにくいといった障がいの特性や、講師の方が子どもにどんなふうに関わればよいかわからないといったところで「習い事は難しいかな」と思う親御さんが多いのが現状です。私たちは習い事がしにくいお子さまたちにも経験できる場を提供したい、大人も兄弟姉妹もご家族で一緒になって楽しんでもらいたいという思いから、活動に共感する講師の方々に協力を仰いで楽しみながら子どもの長所を伸ばす場を作っています。団体内の障がいに関する専門資格を持つメンバーが講師の先生方と連携し、現在は、リトミック、和太鼓、アート、パラスポーツ、押し花アートの5つのイベントを行っています。
加えて、日々の子育てでいろいろな難しさを感じている、そんな思いを少しでも解決し、支える側の大人たちにとっても支えの場所となることを目指しています。

団体を立ち上げてから2年目に入り、とにかく団体を運営していくための学びが必要だ、ということで市民団体向けの情報を探していく中、船橋市主催のプロボノ説明会を知り参加しました。そこで船橋のGRANTコーディネーターである「ふなボノ+」と出会いました。これがきっかけでGRANTを活用することになり、これまで2つのプロジェクトを実施しました。
事例1 ホームページの作成
最初のプロジェクトは「ホームページの作成」でした。それまでホームページを持っていなかったのですが、団体情報をストックできるホームページの重要性を感じて、専門家の力を借りたいと思いプロボノの方を募集し約1ヶ月でホームページを作りました。

支援募集記事:ホームページの作成


最初に、プロボノワーカーの方からホームページ作成のためのツールが紹介され、3つのツールそれぞれの特徴について説明していただきました。その中で「詳しい知識がなくても使い勝手がよいもの」という案内をいただいた作成ツールである「Googleサイト」を選びました。

最初は、運転免許を取るとき初日にいきなり「運転してみて」と言われているような気持ちでした。「触ったことないですけど大丈夫ですか?」という状態でしたが、次の回までに「じゃあここまでをやってみましょう」というお題をご提示いただきながら進んでいきました。実際、Googleサイトは本当に使いやすかったです。ホームページの知識は全くなかったのですが、触っていくと「ここはこうなるのか」ということがなんとなくでもわかり、携帯の新しいバージョンを手にした時のような感覚で進めることができました。

現在、ホームページはイベントのお知らせ・お申込み、講師紹介、SNSを中心とした活動報告などに活用しています。また、新たなつながりができた際に団体を紹介するためや、ご縁のあった企業でもホームページをご紹介いただいております。助成金を申請する際にも「団体ホームページ」の記入欄があることが多いです。このような形でホームページを活用し、団体を継続運営においてそのありがたさを感じています。
事例2 チラシ、ポスターの作成
次のプロジェクトではチラシ、ポスターの作成に取り組みました。団体や自主イベントについて、もっと船橋市内のイベント等で周知したいと思っていたのです。元々、チラシはあったのですがインパクトに欠けるところもあり、経験やスキルがある方にお願いしたいということになりました。その際、ふなボノ+の紹介で、千葉商科大学のデザイン系のゼミの皆さんに支援してもらうことになりました(プロジェクト「団体周知のためのチラシ・ポスター作成」)。

支援募集記事:団体周知のためのチラシ・ポスター作成


また、団体の新しい活動としてごみ拾いを始めようとしていたタイミングでしたので、「団体紹介のチラシ」に加えて「ごみ拾い活動の周知のためのチラシ」の2種類を作っていただきました。ゼミ生9人が1、2案ずつ提案してくださったので、10以上の案から選ぶかたちとなりました。

期間としては約4か月、最初に私たちが大学に伺って学生の皆さんに団体の活動について説明し、その後、夏休みの期間を使って作成してもらうという流れでした。最終的に若干の修正を加えていただき、完成となりました。

プロジェクトのスケジュール


チラシに関しては、どの案も全て採用したいくらい本当にどれもオリジナリティあふれる素敵な作品でした。団体の役員・スタッフ、その他関係者にアンケートをとり、20名以上に投票してもらった結果、上位3案を採用しました。状況に応じて使い分ける予定です。直近では10~11月に船橋中央図書館、12月には市民活動フェア(フェイスビル5階)のパネル展示でポスターを掲示予定、早速活用しています。チラシは、パネル展示のほか、助成していただいている企業のイベントでの配布や近隣カフェでの掲示で活用しています。

成果物:団体紹介と活動紹介のチラシ
プロジェクトを進めていく中で不安が解消されました
プロジェクトにあたって、初対面の方とのコミュニケーションに緊張がありましたし、最初のプロジェクトでは、目的を説明できるものの漠然とした不安がありました。
でも、プロボノの方が「ここは理解できていますか?」という質問形式で問いかけてくださったおかげで、その質問に答えるかたちで進めることができました。そうすることで、私自身の知識のどこが足りていないか、ホームページで何を伝えたいのか、ということが明確になり不安も解消されていきました。

2回目のプロジェクトでは、ホームページでの経験があったため、コミュニケーションの部分での不安はありませんでした。しかし、学生さんたちに、どのように説明すれば団体のことを理解してもらえるのかという心配がありました。実際に説明してみると、障がいについて知っていることを話してくれたり、障がいのある人が身近にいるという発言があったりと、学生の皆さんにとても関心を持っていただけました。そのおかげで徐々に不安が解消されていきました。
自分たちでは気づかないことに気づく機会となりました
2つのプロジェクトに言えることですが、自分たちが考えていた以上の結果を得られたことが良かったです。ホームページもチラシも、漠然と「こういうものができるのだろう」と思っていましたが、想像以上の成果物を手にすることができました。

ホームページに関しては、最初は伝えたい情報が多すぎてたくさんのカテゴリーを考えていました。でも、プロボノの方から「これはいらないかもしれません」とか「こことここはまとめてもいいと思います」と客観的にアドバイスをいただいたことで、シンプルでわかりやすいホームページになっていき、伝えたいことが明確になりました。

チラシに関しては、自作のチラシには物足りなさを感じていたのですが、デザインの知識を持っている学生の皆さんに作っていただいた結果、とてもステキなものができたので、それを使ってもっと広く周知しようと思えるようになりました。自作のチラシでは思いもよらなかったことですが、今後、パネル展示を行う際はチラシを大きなサイズで印刷してポスターのように掲示し、市民活動フェアでも活用していこうと考えています。

自分たちでは気づかないことを教えていただき、とても嬉しかったです。また、どの情報が見る人にとって価値があるのかということを客観的に見ていただいたことも良かったです。
一方で大変だったのは、自分たちの団体を誰にでもわかりやすい言葉で説明することですね。専門的な言葉ではなく、わかりやすく置き換えることが難しかったです。でも打ち合わせ時間は限られていますので、その中でプロボノの方々とたくさんコミュニケーションを取るには、言葉を選び、1時間という限られた時間を有効に使ってできるだけわかりやすく伝えようと工夫するよい機会になりました。
次の一歩につながる機会となりました
プロジェクトはいったん終了しましたが、プロボノの方から「こういうこともできますので、困ったら言ってください」とおっしゃっていただいています。素晴らしいスキルを持った方々との出会いの機会となり、学生さんならではの新しいアイデアや、専門スキルを持った方ならではの意見に触れることができました。その結果、「次はこれやってみよう!」という新たなチャレンジにつながっていきました。

プロボノは本当に心強い存在です。最初は「私たちがお願いするにはまだ早いかも……」と躊躇する気持ちもありました。でも、思い切ってお願いしてみると、結果的にかなりのスピード感で課題が解決しましたので、むしろ困っている時こそすぐに相談することで、早期解決が可能だと感じています。
相談すればなんとかなるものですし、自分が考えた以上の結果につながっていきます。プロボノの方々は、本当に力強くサポートしてくださるので、迷っている方はとにかく一歩踏み出してみることをおすすめします。声を上げれば、きっと助けてもらえるはずです。


※掲載内容は2024年10月に開催した「プロボノ入門講座」のお話を再構成しています。