経験者インタビュー

個人で取り組むプロボノ支援に
魅力を感じて踏み出しました
インタビュー記事の作成を支援

篠宮奈々子さん
編集者
PROFILE
編集プロダクションで、書籍や雑誌の企画やコンセプトづくりを担当している篠宮さん。 「GRANT」を通じて、初めてプロボノとして団体支援に参加しました。
プロボノに興味を持ちながら、なかなか機会がなく参加まで長い時間を要したという篠宮さん。「GRANT」に応募するまでの経緯や今回のプロジェクトについて伺いました。
「GRANT」は個人と団体がマッチングできるという点が魅力でした
約8年間、プロボノが気になっていましたが参加の機会がありませんでした。色々と調べていく中で、サービスグラントのウェブサイトにたどり着きました。昨年、プロボノ説明会がオンラインで開催されていると知り、気軽に参加できることから申し込みました。プロボノ説明会では、チーム型で活動するプロボノについて知りました。チーム型の支援では、プロボノが初めての方と経験がある方を混成してチームを編成し、チームがうまく機能するように事務局の方がサポートすると説明がありました。それを聞いて、「あれ、ちょっと私には難しいかもしれない」と思いました。というのも、チームにどんな人がいるのか分からないですし、チームの中でどういった振る舞いをするのがいいのか私にはイメージがわかず、最初の一歩が踏み出せませんでした。

改めてウェブサイトを見ていたところ、「GRANT」を知りました。個人と団体がマッチングできるという点が魅力で、一歩を踏み出そうという気を起こさせてくれる仕組みだと思いました。ウェブサイトのデザインも「なんとなくやれそう」という気を起こさせるものでした。一人で支援することがイメージできたこともあって私にはチーム型よりも「GRANT」が向いているかもしれないと思い、思い切ってエントリーしました。
編集のスキルを活かしてインタビュー記事の作成を支援
支援先のE-BeC(イーベック)さんは、「乳房再建⼿術」について正しく知ってもらい、希望と⾃信を持って生きていくきっかけを提供することをめざして活動している団体です。今回の支援内容は、乳房を再建した方や乳房再建医へインタビューを行い、E-BeCさんのウェブサイトに掲載する記事をまとめることでした。編集の仕事をずっとやってきましたが、実際のインタビューや文章をまとめる経験は多くなく、自分の力が見合うか分かりませんでしたが、これまで経験してきた仕事に近かったので応募しました。応募する前に団体について調べたところ、団体代表の真水さんのインタビューがあり、人柄がすごく伝わってきて、この方とならご一緒できるとも思ったことも背中を押しました。

プロジェクトでは、10本のインタビューをもう一人の応募者の方と2人で行うことになり、私は5本を担当しました。インタビューは録画し、YouTubeにアップする作業も行いました。最初に、プロボノワーカー2人と真水さんの3人で打ち合わせを行い、インタビューの分担を決めました。インタビュー対象者との日程調整は、真水さんが担当し、取材はすべてオンラインで行いました。インタビューの記事化を支援した形です。プロジェクト期間中、一度も支援先団体にお会いすることなく完了しました。特に期日の設定はなく、真水さんが「無理なく進めてください」とおっしゃってくださったので助かりました。E-BeCさんは、ウェブサイトやセミナー等を通じて乳房再建手術に関する情報を発信し「ご自身にとって納得のいく選択をしてほしい」と願って活動されていますが、乳房再建医の先生方には、色んなスタンス、考え方をお持ちであることを知り驚いたこともありました。
社会の役にたてたと思えたことは嬉しかった
乳房再建者へのインタビューは、きっと乳房再建を考えていらっしゃる方がいたら勇気が出るだろうな、と思える内容でした。治療が難しい状態の乳がん経験者のお話が心に残っています。その方は乳房全摘出と再建を決断されましたが、担当されたドクターが名医で自慢の胸に変わったそうです。乳がんを患った方へ「ドクターに全摘をすすめられても大丈夫だよと伝えてあげたい」とおっしゃっていて、とても感動しました。

プロジェクトに参加して、多少なりとも社会の役にたてたかなと思えたことが少し嬉しかったです。団体さんや代表の真水さんとも出会えてよかった。ITは得意な分野ではなかったのですが、インタビュー録画をYouTubeにアップする時は、団体さんと協力したり、調べたり、人に聞いたりして何とか進めることができました。
「GRANT」の魅力をもっと知ってほしいと思います
「GRANT」の魅力は何といっても敷居が低いことです。気軽にちょっとやってみようかなと思う方にとっては、とてもいい仕組みだと思います。プロジェクトが終了した今でもたまに「GRANT」のウェブサイトを拝見しています。機会があったら応募しようと思うと同時に、今後はチーム型にも挑戦してみたいという気持ちもあります。

今回の「GRANT」の経験がとても嬉しくて、友人6、7人に話をしました。プロボノを知っている?というところから、サービスの概要まで。「やってみたら?」と伝えると、友達はみんな「いいね」というけど、その先にはなかなか進みません。それは以前の私です。敷居が高く思え、難しそう、自分の能力が足りているかなど様々な心配があってなかなか踏み出せない気持ちもわかります。私自身は「プロボノやってみたい」と思い立っても行動を起こせず、あっという間に数年たってしまいました。いざ人生初のプロボノを経験してみたら「なにをあんなに悩んでいた?」「自分にブレーキをかけていた、見えないハードルはいったいなんだったの?」という気持ちです。そのくらい、どうってことないと伝えたい。悩む必要ないです。そして、ほんとうに楽しいです。もしちょっとでもプロボノに興味をお持ちでしたら、気になる団体のサイトや、代表者の方のバックグラウンドなどを調べてみてください。きっとご自身にとって、ぴーんとくる運命の出会いがあるはずです。
  

※掲載内容は2021年2月取材時点のものです。