PROFILE
地元の地域団体への関心から、GRANTに参加し、活動範囲を広げている北村由衣さん。経理事務とITという専門性が求められたプロジェクトとの出会いがスタートになりました。初めて取り組んだオンライン相談の資料の準備や進め方についてお話を伺いました。
※北村さんのGRANT参加実績はこちらからご覧いただけます。
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専門性はITと会計の両面から
2022年に独立して法人を立ち上げ、現在はIT分野を中心に、企業のプログラム開発やシステム導入の相談対応などを行っています。ITを通じた業務改善の支援が主な活動内容ですが、法人の運営に伴い、経理や税務、労務などのバックオフィス業務にも自然と関わるようになりました。そのため、日々の業務は思っていた以上に幅広くなっています。
ITの基礎は専門学校で学び、その後、システム開発会社での勤務を経て、2022年3月に独立しました。「応用情報技術者」や「日商簿記2級」といった資格も取得しており、ITと会計の両面から業務を支えることができる点は、自分の仕事の土台や強みになっています。
小売業や製造業といった分野の会計は得意分野で、技術者としての視点と、実務経験を通じた経営の感覚とを行き来しながら、現場に合った支援を心がけています。たとえば、会計システムの選定や活用方法についてのアドバイス、あるいは売上データを会計処理に結びつけるための仕組みづくりなど、手を動かすことも多いです。
そうした日々の取り組みが、自然と地域での活動やプロボノにもつながりました。自分の経験が誰かの役に立つと実感できる瞬間に、支える側としても学びがあると感じています。
ITの基礎は専門学校で学び、その後、システム開発会社での勤務を経て、2022年3月に独立しました。「応用情報技術者」や「日商簿記2級」といった資格も取得しており、ITと会計の両面から業務を支えることができる点は、自分の仕事の土台や強みになっています。
小売業や製造業といった分野の会計は得意分野で、技術者としての視点と、実務経験を通じた経営の感覚とを行き来しながら、現場に合った支援を心がけています。たとえば、会計システムの選定や活用方法についてのアドバイス、あるいは売上データを会計処理に結びつけるための仕組みづくりなど、手を動かすことも多いです。
そうした日々の取り組みが、自然と地域での活動やプロボノにもつながりました。自分の経験が誰かの役に立つと実感できる瞬間に、支える側としても学びがあると感じています。
清瀬での暮らしと、地域との出会い
住まいを東京都清瀬市に移してもうすぐ4年になります。誰も知り合いがいない土地で、最初は地域との接点もなかったのですが、偶然知り合った方が団地の自治会長をされていまして「清瀬市の円卓会議※に顔を出してみない?」と声をかけてくださったのが地域との関わりの始まりでした。そのご縁からある中学校区の円卓会議に参加するようになり、今では定期的に顔を出すようになりました。
※清瀬市の円卓会議(コミュニティはぐくみ円卓会議)とは:小学校の学区域をひとつのコミュニティと位置付け、地域の情報や課題などについて話し合いをする場です。現在市内で9つの小中学校で開催しています。
円卓会議に参加するモチベーションは、「地域を知りたい」という純粋な気持ちです。これからも清瀬に長く住んでいくつもりなので、地域の方々と接点を持っておきたいと思います。2ヶ月に1回の開催ですが、その日は予定を空けて参加するようにしています。会議のメンバーは、自治会の代表や行政の地域担当者、社会福祉協議会の方など、地域に深く関わっている方ばかり。話を聞いているだけでも学びが多く、地域のリアルな課題や取り組みを知ることができます。
最近では、猫に関するボランティア団体にも関わり始めました。会合に参加したのはまだ2回ですが、こうした活動を通じて、地域とのつながりを深めていきたいと思っています。人とつながること、地域と関わること。それが、私の中で自然な行動になりつつあります。
※清瀬市の円卓会議(コミュニティはぐくみ円卓会議)とは:小学校の学区域をひとつのコミュニティと位置付け、地域の情報や課題などについて話し合いをする場です。現在市内で9つの小中学校で開催しています。
円卓会議に参加するモチベーションは、「地域を知りたい」という純粋な気持ちです。これからも清瀬に長く住んでいくつもりなので、地域の方々と接点を持っておきたいと思います。2ヶ月に1回の開催ですが、その日は予定を空けて参加するようにしています。会議のメンバーは、自治会の代表や行政の地域担当者、社会福祉協議会の方など、地域に深く関わっている方ばかり。話を聞いているだけでも学びが多く、地域のリアルな課題や取り組みを知ることができます。
最近では、猫に関するボランティア団体にも関わり始めました。会合に参加したのはまだ2回ですが、こうした活動を通じて、地域とのつながりを深めていきたいと思っています。人とつながること、地域と関わること。それが、私の中で自然な行動になりつつあります。
GRANTとの出会いとプロジェクト参加
GRANTを知ったのは、清瀬市役所シティプロモーション課の窓口で「まちの腕きき掲示板(清瀬市)」のチラシを手にとったことがきっかけでした。
その後は定期的なメールマガジンを通じてGRANTの募集案件をチェックするようになり、内容に目を通しているうちに、私の専門領域である「経理事務×デジタル」の案件に出会いました。すぐにブックマーク機能の「気になる」に登録したところ、そのことを確認された団体さんから数日後に「ぜひお願いできませんか?」とメッセージをいただいて参加を決めました。
参加したのは、一般社団法人SMA家族の会さんの「団体の課題と今後の取り組みの整理」のオンライン相談です。
その後は定期的なメールマガジンを通じてGRANTの募集案件をチェックするようになり、内容に目を通しているうちに、私の専門領域である「経理事務×デジタル」の案件に出会いました。すぐにブックマーク機能の「気になる」に登録したところ、そのことを確認された団体さんから数日後に「ぜひお願いできませんか?」とメッセージをいただいて参加を決めました。
参加したのは、一般社団法人SMA家族の会さんの「団体の課題と今後の取り組みの整理」のオンライン相談です。
支援募集記事:団体の課題と今後の取り組みの整理
事前準備は3日間、力を入れました
オンライン相談は1回限り相談に応じる仕組みです。だからこそ、事前準備には力を入れました。
実際手を挙げるまでの数日間が準備期間で、この期間は団体さんのホームページにじっくり目を通しました。エントリーした後の最初のやり取りは、当日の資料を具体化するための質問リストを付けてご連絡しました。団体さんからのレスポンスがたいへん早くて、こちらが聞きたいことを的確に教えてくださいましたので、短いながらも必要な情報を提供していただき充実した準備期間とすることができました。
当日に向けては、20ページの資料を作り上げ、オンライン相談の前日には資料を用意して団体さんに送りました。エントリーからオンライン相談まではスピーディーな日程で、3日間という期間で準備をやりきっています。
本業と並行して進める必要がありましたが、振り返ると大きな負担には感じませんでした。お客様のことを知って、その上でお話をする。相手のことを理解した上で話をして、相手に説明する手間を感じさせないという、本業でもやっているスタンスをこのプロジェクトでも活かしました。
実際手を挙げるまでの数日間が準備期間で、この期間は団体さんのホームページにじっくり目を通しました。エントリーした後の最初のやり取りは、当日の資料を具体化するための質問リストを付けてご連絡しました。団体さんからのレスポンスがたいへん早くて、こちらが聞きたいことを的確に教えてくださいましたので、短いながらも必要な情報を提供していただき充実した準備期間とすることができました。
当日に向けては、20ページの資料を作り上げ、オンライン相談の前日には資料を用意して団体さんに送りました。エントリーからオンライン相談まではスピーディーな日程で、3日間という期間で準備をやりきっています。
本業と並行して進める必要がありましたが、振り返ると大きな負担には感じませんでした。お客様のことを知って、その上でお話をする。相手のことを理解した上で話をして、相手に説明する手間を感じさせないという、本業でもやっているスタンスをこのプロジェクトでも活かしました。
GRANTのヒントメールが資料の参考になりました
資料に関しては、GRANTから届いた「オンライン相談に向けて、こういう当日の進行がいいですよ」というヒントメールの情報が、今回の資料づくりの骨格になっています。ゴールの確認をこの段階で入れておくとか、最初に自己紹介をしてお互い理解し合った上で進めるといったガイドはとても参考になりました。
資料ではQ&Aでの構成を意識しました。団体さんからお伺いした困りごとをそのまま活かし、その順番で回答を提示するスタイルです。そうすることによって話の流れがスムーズになりましたし、聞く側に回る団体さんが話の焦点を追いやすくし、できること、やったほうがいいこと、を認識いただきやすくできたので良かったと思います。
オンライン相談の当日は、オンラインの会議ツール(Zoom)の無料枠40分×2回のミーティングを行いました。事前に資料を共有していたこともあり、当日はスムーズに進行することができました。
オンライン相談日程確定後に参加者に向けた自動発信メールより(一部抜粋)
資料ではQ&Aでの構成を意識しました。団体さんからお伺いした困りごとをそのまま活かし、その順番で回答を提示するスタイルです。そうすることによって話の流れがスムーズになりましたし、聞く側に回る団体さんが話の焦点を追いやすくし、できること、やったほうがいいこと、を認識いただきやすくできたので良かったと思います。
「オンライン相談」当日の資料(一部抜粋)
オンライン相談の当日は、オンラインの会議ツール(Zoom)の無料枠40分×2回のミーティングを行いました。事前に資料を共有していたこともあり、当日はスムーズに進行することができました。
学びと気づき、そして広がる視野
私はこれまで一貫してビジネス向けの会計を学んできたため、非営利団体の会計は未知の分野でしたが、今回の活動を通じてその特徴や留意点を具体的に理解することができました。
また、団体からは「将来的には法人格の取得を目指します」とのお話もあり※、それを踏まえて、非営利組織としての会計の方向性や、今後求められる体制づくりについても提案を行いました。営利企業とは異なる視座が求められる中で、実務を通じて得られる示唆は多く、私にとっても視野を広げるきっかけとなりました。
※SMA家族の会さんはオンライン相談(2025年3月)後の2025年4月に法人格(一般社団法人)を取得されました。
また、質問の仕方や準備の進め方などは、自分のスキルを再確認する機会にもなりました。相手の困りごとを正確に把握し、的確に答える。そのやり取りの中で、自分自身も成長できたと感じています。
団体さんからは「わかりやすかったです」「資料がとても丁寧でした」「詳しい知識がなくても理解できました」といった言葉をいただき準備の成果を実感しました。やってよかったと心から思いました。
また、団体からは「将来的には法人格の取得を目指します」とのお話もあり※、それを踏まえて、非営利組織としての会計の方向性や、今後求められる体制づくりについても提案を行いました。営利企業とは異なる視座が求められる中で、実務を通じて得られる示唆は多く、私にとっても視野を広げるきっかけとなりました。
※SMA家族の会さんはオンライン相談(2025年3月)後の2025年4月に法人格(一般社団法人)を取得されました。
また、質問の仕方や準備の進め方などは、自分のスキルを再確認する機会にもなりました。相手の困りごとを正確に把握し、的確に答える。そのやり取りの中で、自分自身も成長できたと感じています。
団体さんからは「わかりやすかったです」「資料がとても丁寧でした」「詳しい知識がなくても理解できました」といった言葉をいただき準備の成果を実感しました。やってよかったと心から思いました。
自分にできることを考えるきっかけに
GRANTに掲載されている募集案件を眺めていると、本当にさまざまな団体が、それぞれに異なる課題を抱えていることがよく分かります。そうした困りごとを目にしたとき、「自分にできることは何かあるだろうか」と自然に考えるようになります。
案件が点在しているのではなく、一つのプラットフォームにまとまって情報が集約されていることは、GRANTの大きな強みだと思います。たとえ応募に至らなかったとしても、「もし自分がこの課題に向き合うなら、どう動けるだろう」と想像することで、内面的な気づきやスキルの棚卸しにつながります。
毎月2回、定期的に配信されるメールマガジンも毎回楽しみにしていて、眺めるだけでも学びや発見があります。そうした継続的な関わりが、次の行動につながるのではないかと感じています。
案件が点在しているのではなく、一つのプラットフォームにまとまって情報が集約されていることは、GRANTの大きな強みだと思います。たとえ応募に至らなかったとしても、「もし自分がこの課題に向き合うなら、どう動けるだろう」と想像することで、内面的な気づきやスキルの棚卸しにつながります。
毎月2回、定期的に配信されるメールマガジンも毎回楽しみにしていて、眺めるだけでも学びや発見があります。そうした継続的な関わりが、次の行動につながるのではないかと感じています。
プロボノが果たすべき役割は?
案件の中には、現地に赴いて参加するスタイルのものもあり、物理的な距離が参加のハードルになることもあります。私自身、地理的な制約を感じて参加を見送った経験もありました。
オンラインで対応できる活動がさらに増えていけば、多くの人が自分のスキルを生かせるチャンスが広がるのではないでしょうか。課題が多いということは、それだけ力を発揮できる場も多いということ。GRANTがその橋渡しをしてくれることで、「誰かの困りごと」と「自分の得意なこと」が結びつく機会が生まれるのはとても意義深いことです。
例えば、「会計業務をデジタル化したい」というニーズは、実際に多くの団体が抱えている共通の課題だと思います。活動には必ずお金の流れがあり、それを管理する必要がありますが、特に長年活動を続けている団体ほど、紙ベースのやり方から抜け出せずにいるケースが多いように感じます。
そうした課題に対しては、「デジタル化も一つの選択肢です」とお伝えする一方で、「紙のままでも工夫次第で改善は可能です」といった具体的なご提案も行いました。必ずしもデジタル化が唯一の正解ではなく、状況に応じて最適な方法を模索していくことこそが、プロボノとして果たすべき役割だと感じています。
オンラインで対応できる活動がさらに増えていけば、多くの人が自分のスキルを生かせるチャンスが広がるのではないでしょうか。課題が多いということは、それだけ力を発揮できる場も多いということ。GRANTがその橋渡しをしてくれることで、「誰かの困りごと」と「自分の得意なこと」が結びつく機会が生まれるのはとても意義深いことです。
例えば、「会計業務をデジタル化したい」というニーズは、実際に多くの団体が抱えている共通の課題だと思います。活動には必ずお金の流れがあり、それを管理する必要がありますが、特に長年活動を続けている団体ほど、紙ベースのやり方から抜け出せずにいるケースが多いように感じます。
そうした課題に対しては、「デジタル化も一つの選択肢です」とお伝えする一方で、「紙のままでも工夫次第で改善は可能です」といった具体的なご提案も行いました。必ずしもデジタル化が唯一の正解ではなく、状況に応じて最適な方法を模索していくことこそが、プロボノとして果たすべき役割だと感じています。
「これならできる」を大切にしてほしい
私自身、清瀬市に転居してきたことで、以前の地元との関わり方との違いを大きく感じました。そうした体験がきっかけとなり、今暮らしている場所を「地元」として認識し、地域の人たちとつながりを持ちたいという思いが自然と芽生えたのだと思います。だからこそ、円卓会議に参加したり、地域コミュニティの活動に顔を出してみたりと、少しずつ関わりを広げています。
私の専門分野はデジタルと会計ですが、きっと「こういうことなら得意かもしれない」という分野が誰にでもあると思っています。それは今すぐ役立つ場がなかったとしても、いつか必ず求められる場面があるはずです。
自分の得意なことを活かして誰かの力になる経験は、関わった人たち双方にとって大きな意味を持つと思います。プロジェクトが終わったときに、「やりきった」「成長できた」「自信が持てた」といった感覚を得られる。それこそが、プロボノ活動の醍醐味だと感じています。
だから私は、「参加しない理由はない」と思っています。迷っているなら、まずは一歩踏み出してみてほしい。GRANTという場を通じて、自分の関心や強みを見つけていくことができる。そんなプラットフォームであると感じています。
私の専門分野はデジタルと会計ですが、きっと「こういうことなら得意かもしれない」という分野が誰にでもあると思っています。それは今すぐ役立つ場がなかったとしても、いつか必ず求められる場面があるはずです。
自分の得意なことを活かして誰かの力になる経験は、関わった人たち双方にとって大きな意味を持つと思います。プロジェクトが終わったときに、「やりきった」「成長できた」「自信が持てた」といった感覚を得られる。それこそが、プロボノ活動の醍醐味だと感じています。
だから私は、「参加しない理由はない」と思っています。迷っているなら、まずは一歩踏み出してみてほしい。GRANTという場を通じて、自分の関心や強みを見つけていくことができる。そんなプラットフォームであると感じています。