経験者インタビュー

地元の工務店の広告担当
培った経験を、
胸を張って誰かの力に

藤永則子さん
工務店勤務(不動産部門広告担当)
経験者との出会いをきっかけに、プロボノ活動を知った藤永さん。自社向けの広告制作で培ってきた実務経験が「外の世界」でも通用するのかという不安を抱えながらも、GRANTを通じて最初の一歩を踏み出しました。参加を決めた背景や、活動を通じて実感した「役立つ喜び」についてお話を伺いました。
※藤永さんのGRANT参加実績はこちらからご覧いただけます。
不動産業での広告制作を経験
福岡在住です。地元の工務店で広告制作などを担当しています。SNSの発信やホームページの更新、イベント広告の作成などが主な業務です。前職でも10年ほど広告制作に携わってきましたが、あくまで自社向けの制作がメインで、外部の団体に向けて仕事をするという経験はありませんでした。

今の職場では不動産部門で宅建の資格を活かした業務も行っています。比較的小規模でアットホームな工務店ということもあり、地域に密着した仕事にやりがいを感じる日々を送っています。
新たな出会いが導いたプロボノ活動
業務の中での制作活動は、社内で完結するものが中心で、外部の方から客観的な評価をいただく機会はほとんどありませんでした。そのため、自分のスキルに自信が持てず、「人から対価をいただいて作業をするなんて、とてもできない」という思いが強かったのです。
また、ボランティアについても、学校や幼稚園の役員といった保護者としての地域活動の経験しかありませんでした。

そうした中でプロボノという活動を知ったのは、1年前に前職を退職して次の仕事に移るまでの間に知り合った方が、GRANTで「さがボノ「佐賀でプロボノの輪を広げましょう!」」のプロジェクトに参加されており、その存在を教えていただいたことがきっかけです。

副業には以前から興味がありましたし、外の世界で経験を積むことで少しでも自信をつけたいという思いもあり、一歩踏み出してみることにしました。GRANTを通じて、自分にできることを探してみようと考えました。
「修正」だからこそ挑戦できた、初めてのプロジェクト
GRANTのサイトでさまざまなプロジェクトを見ながら、「本当に自分にできることがあるのだろうか」と正直不安もありました。

その中で、東京都ブラインドベースボール連盟(旧称:東京都グランドソフトボール連盟)さんの「団体紹介パンフレットの一部修正」というプロジェクトに目が留まったのは、それが「ゼロからの新規作成」ではなく「既存データの修正」だったからです。これなら、初めての私でもベースがある分、手を挙げやすいと感じました。

支援募集記事:団体紹介パンフレットの一部修正


ブラインドベースボールは視覚障害者が行う日本生まれの野球競技です。団体の方は視覚障害をお持ちでしたが、メールでのやり取りも非常にスムーズで、分かりやすく丁寧に対応していただきました。また、事務局の相談しやすい体制もあり、安心して進めることができました。
何か提案してみたい! 名刺サイズのカードを作成
依頼内容は、A3サイズを半分に折って使用するパンフレットの「修正」でした。団体名の変更やSNS情報の追加、写真の差し替えなどを行いました。

成果物(パンフレット修正版)


元のデザインの完成度が非常に高かったですし、私のほうで大きく手を入れる必要はなかったのですが、作業で工夫が必要だったのは、元データがPDF形式のみであった点です。グラフィックデザインソフト「Illustrator(イラストレーター)」で読み込み、フォントの代用などの了承をいただきながら対応しました。最終的には、今後の修正が容易になるよう、アウトライン化したデータと編集可能なデータをセットにしてお渡ししました。

また、「私から何か提案ができれば」と考え、本業での経験を活かして名刺サイズのカードも作成しました。本業では、モデルハウスに置かれている可愛らしいショップカードを目にする機会が多く、そこから着想を得たものです。手に取りやすく、配りやすく、会場にも置きやすい連絡先中心のカードは、団体の方にも大変喜んでいただけました。

成果物(名刺サイズの紹介カード)

それまで知らなかった「ブラインドベースボール」に触れ役立つ喜びを実感
今回の活動を通じて、私は初めて「ブラインドベースボール」という競技を知りました。団体の皆さんが楽しそうに活動されている様子をSNSなどで拝見し、新しい学びを得られたことに感謝しています。

後日、新しくなったパンフレットについて「足りなくなって追加で印刷することになった」とご連絡をいただいたときは、本当に嬉しかったですね。 自分の手がけたものが、実際に皆さんの役に立っている様子を知ることができ、大きなやりがいを感じました。プロジェクトが始まった頃は日常生活や仕事とのバランスに戸惑い、気負う部分もありましたが、終わってみれば「本当にやってよかった」という感想しかありません。
特別なプロでなくても、あなたのスキルを待っている人がいる
初めてのプロジェクトを終えても、まだ完璧な自信がついたとは言い切れませんが、団体の方々からいただいた感謝の言葉は大きな励みになりました。

私のようにデザイン専門会社での勤務経験がなくても、イラストレーターが使えるスキルがあれば、誰かのお役に立てるチャンスは必ずあります。元データの修正に困っている団体さんに私の経験が届くといいなと思っています。

今は仕事が忙しくなっていますが、また時間の余裕ができたときには、ぜひ新しいプロジェクトに参加したいです。今回はオンラインでの進行でしたが、次回はぜひ、直接お会いできる距離のプロジェクトと出会えることも楽しみにしています。

無理のない範囲で、自分の生活にはなかった新しい世界に触れられることこそが、プロボノの醍醐味だと感じています。


※掲載内容は2026年3月取材時点のものです。
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