経験者インタビュー

[GRANTコーディネーターに聞く]
デジボノ <DIGITAL x PROBONO>は
団体に一気通貫で伴走するパートナー

田中 洋さん
デジボノ
PROFILE
「デジボノ」は、NPOがデジタルを活用することで事業が生み出す社会的インパクトの最大化に貢献するとともに、デジタル活用によって業務効率の向上を実現し事業の持続性を高めることを目標に掲げて、2022年6月よりGRANTのコーディネーターとして活動しています。 デジタル活用にお悩みを抱えるNPOなどの課題抽出から、ソリューションの提供と運用まで一気通貫でサポートできることがデジボノの強みです。 ※「デジボノ」ページはこちらからご覧いただけます。
ITに強くプロボノ経験を重ねたメンバーを中軸として、デジタルに特化した支援を行っている「デジボノ」。今回はコーディネーター担当の田中さんにお話を伺いました。
NPOのデジタルに関する課題は共通点がある
「デジボノ」は「デジタル」と「プロボノ」の掛け合わせを目指しているボランティアのチームで、デジタル系の課題解決に特化したプロボノを行ってます。2022年6月より活動を開始しました。チームは、ITに強いメンバーとそうでないメンバーが混成した合計12人で運営しています。
デジボノは、デジタルを活用できる人材を増やすことを目指しています。NPOや団体に向けては、団体内にデジタルを活用できる人材を増やしていこうということ、そして、チームメンバーに向けては、ITを学びながらプロボノを実践することでITのスキルを身につけていこうということをコンセプトにやってます。

NPOや団体が直面する組織の運営課題は多種多様ですが、デジタルに関する課題は似ている部分があると思っており、デジタル特化のプロボノがあればもっと効率的にNPOの抱える課題を解決できると考えていました。例えば、NPOでは、寄付やボランティアの管理について、エクセルを使って年度ごとに取りまとめていることがよくあると思いますが、データベースを設計して、kintoneのようなツールを活用すると、よりセキュリティを高めつつ、より業務効率が上がるという形で解決できます。

こういった汎用的な考え方をどんどん横に展開していけば、多くの団体さんの課題を解決できる。そう考えたときに、これまでのプロボノのアプローチだけではなくコーディネートの機能が必要になってくると考え、GRANTのコーディネーターに手を挙げました。
ボランティアのマッチングプラットフォームは世の中にいくつかあると思いますが、第三者が介在して課題をちゃんと整理してわかりやすい形に落とし込んでいくことは必要で、それを仕組みとしてできるのはGRANTであると思って活用を開始しました。

団体の課題整理をしながら、自分たちも団体支援を行っています
コーディネーターの活動として、団体の課題整理やワークショップを実施しており、中でも団体の課題整理は日常的に行っています。団体から「大きな」課題が降ってくることが多いので、何回かミーティングして分解しながら、GRANTでの人材募集に繋げていくことは日々やってます。次回の課題整理ワークショップは、2023年2月ぐらいにやりたいなと思ってます。

私たちは、コーディネーターでありつつ、メンバー一人ひとりがGRANTに参加者登録もして、NPOの支援も行っています。1プロジェクトは大体2~3人で編成して取り組むことが多いです。GRANTは基本的に個人で参加するプラットフォームですが、チームで進めることでITの経験があまりない人やウェブサイトとか作ったことない人でも参加しやすくなるので、経験がある方と一緒にペアになってやっていく形で進めています。

あとは、「デジタル活用事例紹介セミナー」を開催しています。これまでは3回開催して、次は2023年1月に4回目を予定しています。過去の支援先団体さんをお呼びして、プロジェクトの概要や団体さんの抱える課題がどうやって解決できたか、などをセミナー形式で開催しています。セミナーはYouTube LIVEやFacebookライブでも配信していて、アーカイブ視聴している方も結構いらっしゃるようです(デジボノホームページから、過去セミナーの内容をご覧になれます)。私たち自身の勉強として配信スキルを身につけることを楽しみながら、具体的にデジボノの活動をNPOの方々にも知っていただく意味ではとても有効かなと思っています。

課題をデジタル・ソリューションに落とし込むアプローチが得意分野
課題を整理する際に気をつけてることとして、団体の課題には「ビジョンやミッションに関する課題」と「組織の運営基盤に関する課題」と、「情報発信に関する課題」と大きく3つあると思っており、デジボノのメンバーは、この課題の枠組みは全員が理解しています。

団体の課題分解とデジタルでのアプローチ方針

課題を具体的に分解していくと、具体的な団体さんの言葉、例えば「ミーティングの時間が合わない」「アイデアが出てこない」「ボランティアが増えて事務が大変」などから、どういうことが課題となっているかが落としこめます。デジボノチームでは、それぞれの課題に対するデジタル・ソリューションはこういうツールを当て込んでいこうというアプローチの方針を大まかに持っていて、使うツールのイメージを持ちながら、団体さんの課題を整理して実際のプロジェクトに落としていきます。

デジボノの運営イメージ

デジボノ=一気通貫のパートナー
通常のGRANTの進め方と同じように、団体さんがプロジェクトを登録して参加者がエントリーしてプロジェクトが進むのですが、デジボノの特徴はデジボノメンバー自身がプロジェクト参加していくことがあります。そのため、デジボノに登録したプロジェクトは、取りこぼすことがあまり無いことが大きい特徴かなと思ってます。

実際に支援するメンバーが、団体の課題を入り口で整理して、支援するところまでやるので、団体さんからすると「一気通貫で伴走してくれるパートナー」としてデジボノを見てくれる。団体さんの定例ミーティングに参加することもありますし「こういうことも悩んでるんですよ」といった話をされることが多いかなと思っています。支援した団体さんがほぼリピートして支援を希望していて、結果としてリピート率も高いところも特徴かなと思っています。

コーディネーターの運営指標としては「登録団体数」「プロジェクト実績数」「フォロワー数」の3つを見ています。登録団体数を増やして魅力のあるプロジェクトを増やしていけば、デジタルスキルに関して興味のある方がフォローしてくれて、そうするとフォロワーが増えてくる。デジボノのメンバーが拾いきれなくてもフォロワーが支援してくれるプロジェクトも出てくるのかなと思っていて、団体を増やす、魅力的なプロジェクトを増やす、フォロワーを増やすってことをうまく良いスパイラルとして回していければと思って運営をしています。
デジボノがコーディネーターとして入り口で課題を細かく分解していけば、それだけ参加しやすいプロジェクトになると思うので、デジボノメンバー以外の方も手を挙げやすくなるのかもしれません。

立ち上げのフェーズの団体との出会いが印象に残っています
コーディネーター一覧ページを見てデジボノに団体登録をした団体さんがいらっしゃいました。「デジボノが我々の課題を解決してくれそうだ」というふうに思ったらしいです。GRANTのコーディネーターの中でも、我々はデジタル課題を解決しますよということを掲げているのでわかりやすいのかなっていう気がします。何をやるかを明確になってるってことは、団体を集めるうえでも大事なことかと思っています。

「デジボノ」コーディネーターページの入り口

これまで印象に残っている団体は「わこうフードネットワーク」さんです。元々クラウド会計導入のご支援でご縁ができて、しっかり団体に伴走する形でプロジェクトが進みました。クラウド会計を入れて団体の運営の基盤ができたら、じゃあ次は問い合わせを管理できるように業務効率化したいよね、という話が上がって継続しているので伴走がうまくいっている例と思います。

立ち上げたばかりで、何したらいいかわからないっていうような団体さんこそ、外部の人材をしっかり活用して、事業の運営に載せていくということができるといいのかなと。そういう意味で団体立ち上げの段階でしっかり伴走できることが良いかと思ってます。

一気通貫で伴走できるところがデジボノの良いところですし、我々自身もプロジェクトを通して社会科見学的な学びもあれば、スキル向上の面で学びが多いので、一緒に勉強しながらやっていただけるような団体さんはぜひデジボノにエントリーしていただきたいと思っています。デジボノメンバーがお待ちしています。

※掲載内容は2022年12月取材時点のものです。



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