経験者インタビュー

[GRANTコーディネーターに聞く]
プラスしか感じていないGRANT
地域の新たな輪のきっかけに!

田口裕之さん
お助けマッチングプロジェクト@豊能町
「お助けマッチングプロジェクト@豊能町」は大阪府豊能町で、誰もがいつまでも元気で暮らすことができるよう、助け合い・支え合いの仕組みづくりを進めながら、2022年よりGRANTのコーディネーターとして活動しています。
※お助けマッチングプロジェクト@豊能町は、「GRANTアワード2023」にて、「2022コーディネーター賞」(2022年度に登録してマッチングが最も多いコーディネーターに贈呈する賞)を受賞しました。
地域の方のお困りごとに寄り添いながら、地域の力を伸ばしていく活動にGRANTを活用されている「お助けマッチングプロジェクト@豊能町」さん。今回は田口さんよりお話しを伺いました。
団体の困りごとの打開策としてGRANTに参加
豊能町(とよのちょう)は大阪府北西部、京都府と兵庫県の接点に位置する人口約19,000人の町です。大阪府から伴走型支援の案内を受けた役場からの声掛けで、GRANTにコーディネーター「お助けマッチングプロジェクト@豊能町」を立ち上げました。「お助けマッチングプロジェクト@豊能町」は豊能町社会福祉協議会(以下、社協)が運営しています。

私は、生活支援コーディネーターとして、高齢の方を中心とした生活圏域でのお困りごとのお助けのお手伝いをしています。2015年頃から地域の中で助け合い活動をもっと盛りあげて欲しいという行政の想いや住民の方々の何か自分たちにできることはないかという想いを受け、地域の団体さんの立ち上げや側面的支援を行ってきました。
団体さんが活動する中でいろんな問題がたくさん出てきます。地域の団体さんからお困りごとを聞いたり、そういった問題をどうやって解決していったらいいのかという相談をいただく機会が多くありました。私の方でも、できる限りお困りごとに寄り添いながらやってきたのですが、どうしていったらいいのかなと実はちょっと行き詰まってるところもあったんです。ちょうどその頃に役場からサービスグラントさんの伴走型支援があるよと声掛けがあり、もしかしたら打開策ができるかなという想いもあって2022年にGRANTにコーディネーター登録を行いました。
団体には直接声を掛けて参加をすすめました
「お助けマッチングプロジェクト@豊能町」を立ち上げてからは、地域の団体さんに、こういった仕組み作りをしたのでぜひ参加してほしいということで直接お声掛けをしました。
日頃から団体さんのいろいろなお話を聞かせてもらってる中で、実際に「困ってるよ」っていう団体さんが多かったので、「GRANTに登録したら解決できるかも」みたいな形で個別に話をすると、皆さん割とすんなりと登録していただけたところもありました。プロジェクトの登録方法について「全然わからへん」という声もありましたけど、常日頃から団体さんとは一緒にやっていることもあったので、丁寧にサポートできたのかなと思います。自分たちでどんどん登録するという団体さんもありましたが、「団体登録の下書き用のフォーム(Word)」をお渡しして手書きで書いてもらってこちらで入力することも行っていました。
今後は、もう少し団体さんに広がりを持たせたいということは思っていて、どういった形で他の団体さんに声かけさせてもらったらいいのかなというのを考えてる最中です。

GRANTの仕組みの中でつながる支援者が町内だけじゃなくて町外の人ということもあります。団体さんからは知らない人とご一緒することは不安という声もありましたが、困ってる内容を町内の方だけで解決できるかというと、なかなか難しいこともあるんじゃないかということがありました。離れたところに住んでいる方だったらZoomのようなオンラインツールを通じてやることもできますよと説明させてもらい、まずは1回やってみようかなと、団体さんも不安を持ちつつも徐々に進めていきました。実際、豊能町外の方とつながって進んだプロジェクトもありましたが上手く進められたので、やってみて良かったと思っていただけたのではと思っています。
参加者の募集にはSNSを活用しました
支援者の方々への説明会へのお誘いはSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を中心に募集をしました。また、「お助けマッチングプロジェクトの仕組み」を知ってもらえたらというところで色んな方々にお話ししてきました。
ウチ(社協)はSNSに苦手意識があってまだやってないので、行政のSNSを使わせてもらったり、普段からSNSを使っている団体さんに掲載をお願いしたりして、そこから広がっていったように思います。
参加者を集めるという意味では「口コミ」もすごく強いと思っています。関わってくださっている方のお知り合いにつなげてもらうなど私からお願いすることはよくあり「ちょっとお願いしていいですか」「誰かいい人いませんか」と広げていってもらうと、割と助けてくれる方が見つかることも多かったです。ただ今後はそれだけでは難しく、SNSも活用していかないと広がりがない。いつも同じ方向だけではなく、もっと広くお知らせしていかないといけないと思っています。

今回、団体さんからのお困りごととして、SNSの活用とかホームページなど、デジタル関係のことが多かったので、そういうことに長けている方はSNSを注目しているんだろうな、というのがあったんですね。実際、応募された方の中にはSNSを見ましたという方が多くいらっしゃいました。今回、SNSやってみて意外と効果があるというのを私も実感として持ったので、社協でもSNS、中でもInstagram(インスタグラム)の立ち上げを考えているところです。

団体向けの説明会は対面式でやらしてもらい、その時に現在登録している団体さんが来てくれ、システムのご説明や各団体さんの問題点の抽出をさせてもらいました。お手伝いしてくださる支援者の方向けの説明会はより多くの方に参加してもらえるようにオンラインの開催としました。こちらとしても初めてオンラインで説明会をしたので、ドキドキしたところはあったんですが、サービスグラントさんのお力も借り上手くできたのではないかと思っています。新しいオンラインでの取り組みということで今までつながることができなかった人とつながることができ新しい可能性を感じました。
社協の立場として、普段から地域の方と関わることが多いので知っている人も多いんですが、今回、支援者向けの説明会には全く知らない方もたくさん来ていただけて、すごくありがたかったし、とても良かったと思いました。地域の身近なところで、直接私がお話することができる方の数には限界がありますがSNSを使うことでこんなにも新しい広がりがあることにとても驚きました。
ホームページからSNSに方向転換したプロジェクト

支援募集記事:「ゆうあい」の活動の周知とPRを含むホームページの作成

印象に残っているプロジェクトとして、ゆうあいさんの「SNS活用のプロジェクト」があります(GRANT掲載の支援内容は「「ゆうあい」の活動の周知とPRを含むホームページの作成」)。ゆうあいさんは生活支援をしている団体さんで、団体さんのお困りごととしては、支援を提供する側の人間が少ないことも悩みの一つとしてありましたし、支援を受ける方に対してももっとアピールをしたいということがありました。そこで、当初ホームページ作成のお手伝いという依頼でプロジェクトが挙がってきたんです。
町外の方(Yuiさん)から手が挙がってお話しをする中で、ホームページよりもSNS、例えばInstagramを活用した方が集まってくれますよっていう話になり方向を変えることになりました。Instagramについて支援者の方から使い方や注意点なども教えてもらうという流れでプロジェクトを進めていきました。
支援者のYuiさんは豊能町から近くの方でした。ITが得意な方で、何度か直接お会いしていろいろ教えていただきました。最終的に団体さんとすごくいい関係になり和気あいあいという雰囲気でプロジェクトが進んだようでした。
Yuiさんはわかりやすい資料もたくさん作ってくださり団体さんに丁寧な説明をしていただきました。高齢の方も多くSNSが全く初めてで「どういうこと?」みたいなことがあったんですが、丁寧に説明してもらい、最終は団体さんも「なるほどな」と納得していただけました。すごくいいケースだったのかなと思いました。

打ち合わせは近隣だったこともあり基本的に対面で行いました。団体の皆さんも「やっぱり顔を直接見れた方が良いし、ちょっと会いたいわ」というところもありました。すごく遠くの方だったらオンラインという形だったかもしれないのですが、Yuiさんも来れますという話だったので「ぜひ来てください」という形で対面になりました。
プロジェクトが進んでいく中で、団体さんから、システムに関する質問があったりはしましたが、その時に少しサポートする程度で、支援者の方と団体さんとのやり取りはうまくいっていたと思います。ですので私の方で特に調整することもなく、どちらかと言ったら、たまに「どうですか?」と確認する程度のレベルでやっていたと思いますね。
新たな輪をつくって地域を盛り上げていきたい
「お助けマッチングプロジェクト」に関しては今後もずっと継続的に使っていきたいと思っています。新たな団体さんの登録とか、お手伝いいただける方への周知に関してはもう少し広めていきたいところがあるので、先に言ったInstagram(インスタグラム)を立ち上げて使いながらもうちょっと広げていけたらいいなというふうには思っていますね。

つながれる人の広がりについては気づきがありました。やっぱり地域の中と言うと、限られた方としかつながれない。同じ方が、いろいろな活動するみたいな形が多くてなかなか広がりがない。人手不足や困ってるというお話しが多い中で、今回新しく立ち上げさせてもらった「お助けマッチングプロジェクト」を通じてまったく知らない方が来てくれたりだとか、逆に、まだつながってはいないけれど、豊能町ではこんなことあるんやなっていうのを知ってもらえた方もいたみたいなので、今後色々な活動を通じ新たな輪になっていくのかなと。

支援者の説明会に来てくださった方の中にはSNSを見て来られる方が多く、ITに強いという方やそういう仕事をしてますという方もおられて。Yuiさんは豊能町外の方でしたけど、豊能町内でそういう方がたくさんいるということも全然知らなかったんで、そういう方とも今後、地域とつながってもらうお手伝いができたらと思ってはいるんですけどね。
直接的なGRANTの成果でないにしても地域の中に色々な人と出会えることができてすごくよかった、ありがたかったかなと思っています。
GRANTへの参加はプラスしかなかった!
最初にGRANTを使うときは、私たちも団体さんもみんな初めてだったんで不慣れなところもあったのですが、使い慣れてくると全然そんなことなくて、要は慣れかなと思いました。途中でGRANTの改修があって、いろいろな定型文(=支援者募集記事を作成する際に使える「ひな型」)も使えるようになったことですごく楽になりました。最初さえクリアできれば後はもう何とかなると思うのと、豊能町の場合は団体さんが困ったらすぐに聞きに来てくれるので、団体さんもあまり困らずできたとのではないかと思っています。もちろんこちらからも「どうです?」と言いながらやってましたけど、正直、GRANTに関しては苦労っていうほどの苦労はありませんでした。逆にGRANTのシステムを使えたことでいろんな発見もありました。

個人的には、GRANTって何ぞやというところから始まって、これをしたら何かあるんかなと思いながら参加したところあったんですけども、飛び込んでみたらプラスしかなかったです。マイナスらしいマイナスはどこにも見当たらないので、参加で迷っているのであれば参加して欲しいと思ってます。やれば、何かしら前に進めることが多分出てくると思います。伝えたいのは「とりあえずやってみましょう。新しい発見がありますよ。」


※掲載内容は2023年8月取材時点のものです。