経験者インタビュー

チーム型で経験があったプロボノ
移住にピンときて参加を決めた
初のGRANTプロジェクト

奥野妙子さん
ライター
PROFILE
2011年から関西でチーム型のプロジェクトへ定期的に参加した経験を持つ奥野さん。ライターとしての専門スキルを活かして初めてのGRANTプロジェクトに取り組みました。
※奥野さんのGRANT参加実績はこちらからご覧いただけます。

初のGRANT参加で福岡県の団体さんを支援した奥野さんに、ふるさとプロボノでの経験や、チーム型との比較、そして今後の取り組みをあわせてお話しを伺いました。

※ご紹介しているプロジェクトは、2022-2023年度に農林水産省「農山漁村振興交付金(地域活性化対策(農山漁村関わり創出事業))」の採択を受けた事業となります。
チームでの経験はありましたが今回初めてGRANTに参加しました
サービスグラントのプロボノに継続的に参加していました。GRANTの存在も知っていて、仲間から頼まれてGRANTのプロジェクトをちょっとだけ手伝ったこともありました。
今回参加した「ふるさとプロボノ」のプロジェクトはサービスグラントのスタッフが発信していた案内を見て知りました。私はライターなんですけど、案件を見て「できそうだな」と思ったんです。取材するのも好きですし、いろんな出会いを楽しめたり旅行したかったことがあって福岡県八女市の認定NPO法人山村塾さんのプロジェクト「森の恵みを暮らしに活かす、ウッドボイラーがある日常をインタビュー」に参加を決めました。

プロジェクトに参加する時はいつも直感で選んできました。今回は興味を持っていた「移住」に関連していたのでピンときたのかもしれません。移住に関する番組を見るのも好きでしたし、面白そう、ちょっとのぞけるかなと思ったこともあります。
何よりも以前から知ってるサービスグラントのスタッフの方が紹介していたプロジェクトというのが大きかったと思います。 サービスグラントはよく知っている団体ですしプロボノに思い出もありました。いい経験だったとも思っていて恩返ししたいなっていう気持ちもありました。とは言うものの、チームでの経験しかありませんでしたのでGRANTへの参加は期待と不安が半々という状況でした。
ふるさとプロボノで現地に2回伺いました
実際にエントリーしたのですが、面談を前にして不安になって、面談後にあっさり参加が決まったことでさらに不安になってのスタートでした。実際に会ってみないとわからないですしとりあえず現地に行ってみることにしました。

支援募集記事:森の恵みを暮らしに活かす、ウッドボイラーがある日常をインタビュー


山村塾さんの事務所は廃校を利用していて、そこに宿泊できるようになっていました。現地での活動の段取りもどんどん決めてくださったので不安がどんどん解消されて流れに飲み込まれたという感じです。
私の担当は取材(インタビュー)で、団体さんが販売しているウッドボイラーのユーザー4組にお話しを伺いました。現地には2回伺って、9月は福祉施設、農家、林業を営んでいる方々、11月は有機農業をやっている移住者のご夫婦に取材しました。写真は私が撮ったものです。なかなかボイラーの仕組みを理解しきれなくて、その点は不安があったんですけど、実際に取材対象の方にお会いしたら話が面白くてすごく楽しかったですね。

成果物は「ATOウッドボイラー ユーザーの声」 として山村塾さんのサイトに掲載されています。今後はSNSで拡散する予定と伺っています。

成果物:ATOウッドボイラー ユーザーの声
団体さんの思いを伝えたい
仕事では広告系が多くクライアントさんの意向を汲んで進めます。もちろんそれが基本で、今回も最初に団体さんの意向は伺っていたんですけど、表現の幅や言葉の使い方についての細かいコメントはありませんでしたし、ボランティアということもあって自由にやらせていただきました。取材して後から録音聞いてじっくり考えていくとその人たちのストーリーが見えてきます。仕事とは違って文字数の大きな制限もなく、自由に感じたままに書くことができたので楽しかったです。成果物を喜んでいただけたこともすごくわかりました。

苦労したことと言えば時間の捻出でしょうか。仕事がどんどん忙しくなる時期だったのでなんとか土日や朝、仕事終わりに少しずつ時間を作って進めていきました。本当は年末までに終わらせたかったのですが、団体さんが「無理せず年明けにしましょう」と言ってくださってプロジェクトは1月末に終えることができました。

仕事では山村塾さんのような団体に取材したことがあまりなかったんですね。営利目的ではない、NPOの方が「山を守りたい」「棚田を守りたい」という思いで一生懸命取り組んでらっしゃるっていうところに触れて、いつもの仕事と大事にするべきところがちょっと違うということを感じました。山を愛する林業の方の思いが伝わるといいなって思って方言混じりの言葉をインタビューに取り入れたりもしました。思いを伝えたいと思いながら、団体さんにとっては宣伝という意図もありますのでバランスには気をつけて進めていきました。
新しい体験の機会にもなりました
プロボノとして農業や林業に関わっている方とご一緒することは初めてでした。これまでは病児保育の団体さんなど、社会課題の解決のために活動している団体さんを応援することが多かったので新鮮な感覚がありました。

今回は2回の訪問でトータルでも1週間もないぐらいの滞在でしたが、こういう暮らしもいいな、こういう魅力も伝えたいと感じながらプロジェクトを進めることができました。これまでは、地域のことや地域の人にはあまり目が向かなかったんですけど、助け合って暮らすとか、地域の人と繋がっていくとか、そういうところが身近に感じられた機会となってすごく魅力があることだなと思いました。
畑仕事をしたことも初めてでしたし、新しい体験ができたことがよかったです。あとは出会いじゃないでしょうか。こうやって生きている人たちがいるんだっていう新鮮な驚きともっと繋がっていきたいっていう思いと新しい価値観を知れる機会との出会いですね。加えて今回は里山に癒されました。
GRANTに参加して一人でもできることがわかりました
これまでのプロボノ経験はチーム型だったので今回のように一人でやるのは初めてでした。確かに不安もあったんですよ。でもやってみて、団体さんに恵まれたこともありますけど、GRANTで一人でもできるんだなと思えました。
チーム型ではみんなでワイワイっていう楽しさはすごくあるんです。すごく仲良くなったチームもありました。だけど、チームの中で本当に自分が役に立ってるのかなっていうフラストレーションみたいなのは多少あったんですね。でも、GRANTだったら自分一人なので責任感を持ってできることがわかって、あまり気負わず自分なりに何かアプローチできたらいいのかなとか思っています。
何年かプロボノを続けていろいろな経験をして、社会問題のいろんなことを考えるようになりました。私はライターで、自分にできることって何だろうと思いながらですけど、やってみたらなんでもできちゃうのかもしれないですしね。

これまでのプロジェクトの経験から、なんとなく大丈夫って思っている自分がいます。プロボノは仕事と違うっていうのもいいんじゃないかなって思います。気楽にできるっていうのとはまた違うんですけど。そして、サービスグラントさんが選んでいる団体というのが私にとっては合ってるんじゃないかと思っています。近くの団体さんだったらもっと会いに行けますよね。
やりたいことがはっきりしている募集記事は飛び込みやすいと思います
GRANTの募集記事はいろいろ見ています。今回参加した山村塾さんの募集記事は「記事を書いてほしい」っていう要望がはっきりしてたので手が挙げやすかったです。
募集記事に「これとこれとこれをやってください」とはっきり書いてあると参加者は関心を持ちやすくなるんじゃないかなと思います。やってほしいことをはっきりさせるというのは難しいことですし、本当に何が課題なのかも探るために整理するプロジェクトもあると思うんですけど、参加者は「これだったらできそう」ということがわかるとプロジェクトに飛び込みやすいんじゃないかなと思います。

私自身は「こういったテーマの団体さんを支援したい」というこだわりはなくて広く浅くいろんなことに興味があります。これまでもピンと来たところに行ってきましたし、これからもそういった出会いの中で、文章を書くとか、取材をするとか、ライターを必要とするプロジェクトに参加できればと思っています。ちょっとピンポイントになっちゃうんですけど。


※掲載内容は2024年2月取材時点のものです。
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