経験者インタビュー

止める理由がないプロボノ活動
ソロではなくチームへの関心が
継続の原動力に!

豊田俊作さん
IT企業勤務
PROFILE
いろいろな人と関わりたい、社会貢献もしてみたいという思いからプロボノに飛び込んだ豊田さん。2023年度の活動は「GRANTアワード2024」で最多活用チーム賞を受賞しました。
※豊田さんのGRANT参加実績はこちらからご覧いただけます。

長期プロジェクトを経験した後にGRANTへ参加。チームでの活動に面白さを感じて、現在ではデジボノのメンバーとして複数のプロジェクトに参加している豊田さんにお話しを伺いました。

※GRANTは2023年3月より友人や同僚と一緒に参加できる「チーム参加機能」が加わりました。詳細はこちらからご確認いただけます。
勤務を続けながら人と関われて社会貢献ができること
カーナビやスマートフォンにデジタル地図を供給する企業に勤務しています。仕事はスマホのアプリを作ったりウェブサービスを作ったりする商品企画部門の責任者をやっています。
趣味は太鼓、ウクレレ、英会話などいろいろあります。英会話は人と話すのが好きなので、週に3、4日、朝の時間帯でいろんな国の人と話しています。最近はプロボノも趣味ですね。1番最初のプロボノプロジェクトは2021年だから、まだ3年ぐらいです。

僕は転職したことがないんですよ。20年以上同じ会社にいて、開発、企画、営業と色々やってきたものの、社外の人ともっと話したい気持ちや、社会課題の生の状況ってどうなんだろうっていう興味がありました。
「いろんな人と関わりつつ社会貢献もしてみたい」という思いがあって探していたところ「プロボノ」を知りました。いくつかのサイトやサービスの中で良さそうと思ったサービスグラントに登録して、どんどんプロジェクトに参加していった感じです。
GRANTはソロでやるイメージがありました
最初のプロボノは長期のチーム型「GRANTの改善に関するプロジェクト」でした。当時はまだGRANTとか長期プロジェクトという概念が分かっていなくて、たまたま募集しているプロジェクトの中で面白そうだなと思ったのがGRANTの利用促進プロジェクトでした。
そこでGRANTを知ってもらい、利用者数をもっと伸ばすという目標に向けて施策を考え提案するプロジェクトに取り組みました。

僕はいろんな人と関わりたいという目的でプロボノをやっていたので、「ソロで取り組む」というイメージがあったGRANTにはあまり関心が向いていなかったんです。最初のプロジェクトが終わったら次も長期のチーム型プロジェクトをやろうと思っていました。
改善プロジェクトのチームのみんなで飲み会をした時にあるゲームをやって、その結果僕は「GRANTにエントリーする」ことになりました。それがGRANTをやるきっかけになりました。
最初のプロジェクトは手をあげた4人が一緒に取り組みました
実際にGRANTでプロジェクトにエントリーして、団体さんと面談したら「他にも応募してる人がいるんですよ」って言われたんです。だったら自分はダメかもしれないと思ったんですけけど、結局「全員良さそうな人だったから、手を挙げた4人にやってもらいたいのですがどうですか」という提案が団体さんからあって。僕としては一人ではない方がよかったので全然問題ありませんでした。結局、GRANTで出会った4人が一緒に支援するという形になりました。

その時に支援したのは、一般社団法人日本難病・疾病団体協議会(以下、JPA)さんという難病患者の支援をされている団体さんで、プロジェクトは「難病等の患者の就労支援の在り方について考える」です。

支援募集記事:難病等の患者の就労支援の在り方について考える


難病患者の方にとっては「仕事」が大きな問題になります。疾患があることで入社が難しい、病気のことがなかなか理解されないといった課題があって、団体さんが政策提言に向かっている中で、僕たちが情報を集めたり、分析したり、どういう施策をするべきなのかをまとめていきました。JPAさんだけではなく、難病の当事者の方や、病院の先生などいろんな方がいてみんなで話をする、それを僕らがハンドリングしてまとめていくというプロジェクトでした。

チーム内の役割分担は全員が自分からタスクを取りに行くタイプだったので、「私これやります」「じゃあ私これやります」みたいな感じで自然に決まったような気がします。僕は先方との段取りを組んだり、資料のフレームワークを作ったり、みんなに手伝ってもらいながらプロジェクトマネジャーっぽい動きをしていました。

4人で取り組んだことで、GRANTでもチームでやれるんだという気づきもありましたし、メンバーが有能だったこともあって面白い体験ができたというのが1回目のGRANTでした。最初に成功体験がないと継続しないと思うんですけど、僕は運が良かったです。
その後はデジボノのメンバーとして活動しています
その次のプロジェクトからはデジボノ<DIGITAL x PROBONO>(デジタルを活用して支援するGRANTのコーディネーター)のメンバーとして参加しています。最初のプロジェクトが終了して次はどのプロジェクトに手をあげようかと考えた時に、仕事ではスマホのアプリやウェブサービスの企画をしているものの、自分ではコーディングやサイト制作をしていないことは課題だなと思ったんですね。自分でも最先端のことは知っておきたいし、自分で手を動かしてできる状態の方がいいなと思った。だったらプロボノでデジタルなことをやったら一石二鳥だなと思って探してたら「デジボノ」があるぞと。さっそく「入りたいです」と言ってたら、そこにJPAさんのプロジェクトで一緒に活動したプロボノの方がいて。そんな縁もあってデジボノに入って始めることになりました。
3人のチームでWordpressに取り組んだのがデジボノでの最初のプロジェクトです。
同じメンバー4人で3件のプロジェクトに取り組みました
以降のプロジェクトは全部デジボノがらみですね。デジボノの中でだんだん人数が増えたのでチーム制にしようということになって、昨年は「ハワイアンロック」という名前の4人のチームでホームページ、チラシ、パンフレットと3つのプロジェクトに取り組みました。「GRANTアワード2024」での最多活用チーム賞の受賞につながって嬉しかったですね。

プロジェクトが終わったら「次は何します?」という感じで2件目に取り組んで。終わったら、また「次何します?」みたいな感じでエントリーするプロジェクトを決めて進めました。チームのみんなもインターバルなく続いてしまうと忙しいと思い、ちょっと間を開けて「何します?」と言ったりしながら3件を完了した感じです。
ITスキルの習得がかなったことも嬉しいですね
最近取り組んだプロジェクト、NPO法人松戸身体障害者福祉会さんの「障害者の方にもわかりやすいホームページ」では、ホームページを最初からWix(ホームページ作成ツール)で作りました。僕はホームページを最初から作ったことはなくて、Wixも触ったことがなかったんですけど、すごく使いやすいツールでしたね。自分で手を動かしてデジタルスキルを習得したいというところは、少しずつですができるようになっています。しかも社会貢献もできるので、プロボノの活動は一石四鳥ぐらいありそうです(笑)。プロボノを止める理由がないって言った方が正しいかもしれません。なぜ止めてしまうの!みたいな感じですね。

チラシのプロジェクトではデザインソフトのCanva(キャンバ)を使いました。それまで触ったことはなくて、名前を聞いたことある程度だったんですけどテンプレートがあって作り やすいということがわかりました。チームのメンバーにデザインセンスのある人がいたので、僕以外のメンバーがコアなところを決めて、僕は訴求の文言の部分を担当しながらやりました。

新しいツールに取り組むときは、自分1人だけでやろうとしても不安なので、詳しい人と一緒に経験ができるのはデジボノならではですね。今はもう一度ウェブサイトに取り組んでみたいですし、クラウド会計ソフトのfreee(フリー)にも関心があります。こういったことはめぐり合わせもあるので、実際のところツールは問いません。団体さんに貢献することが第一で、ITスキルを習得できたらラッキーという感じで取り組んでいます。
チーム型のマネジメントで思うこと
基本、週に1、2時間が活動の平均時間と思います。ウェブサイトを作った時は1日数時間やったこともありますけど、それはめったにないことで、プロボノの活動に時間が取られるという感じはありません。
チームで動くのでメンバーのみんなとペースを合わせながらやっていきます。ツールを使うところでわからなかったら、誰かが助けてくれるからあまり困ったこともないし、自分で調べられることも結構あります。

チームで動く場合は、役割分担がちょっと難しいところがあるかもしれませんね。みんなボランティアで集まってるので譲り合いが結構あって、自分の意見を言いづらいのかもしれない。僕がチームリーダーの時は「何がやりたいですか」と聞いてみるところから入っていきます。それをやらないと譲りあってなかなか決まらなかったりもするので。
話を聞きながら調整して、それで意見が出なければ、「これできますか?」と聞いていきます。イエスでもノーでも、最後は自分で決めてもらう感じです。

タスクについては常に期日を設定して、超えたら「状況どうですか?」って聞いてみます。期日を決めないで、なんとなくいつまでにはやってくれるだろうというのは、多分ストレスになるので、お互い合意した期限を超えたか超えてないかをデジタルに確認してます。
プロボノは面白おかしくお互いに学び合う場
僕は、プロボノをチームでやりたいと思っているので、今のGRANTはチームで取り組む仕組みがあるのがいいと思っています。
長期のチーム型プロジェクトとの違いは、自分たちでチームを組んで参加できるところでしょうか。長期プロジェクトの場合は、事務局でチームを組むと思うんですけど、それを自分たちでやれるところが違いですよね。

GRANTはツールですけど、僕にとってはプロボノ=GRANTです。いろんな人と出会えて、その人たちのいろんな経験とかスキルを学べる。協働してプロジェクトに取り組むので、すごく刺激になっています。
NPOの人たちとも知り合えるし、そこで社会課題の解決に貢献できる。そして、いい仲間と会えばそれは単純に楽しいです。「なぜやらないんですか」と(笑)。だから、僕の場合は「おすすめします」ということしかないです。
何かに向かって面白おかしくお互いに学び合う場ってなかなかないと思います。だからこそプロボノはすごくユニークなんじゃないかと。そういった面がもっと広く伝わればいいと思います。

最近、デジボノにも新しいメンバーが入ってきたので再編成することになって、これからは新しいメンバーでチームを組んで進めていきます。今は、新しいメンバーで活動することを想定して、YouTubeのチャンネルの開設とか、チラシやウェブといったデジタルを使うプロジェクトの募集記事をながめているところです。


※掲載内容は2024年6月取材時点のものです。
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