PROFILE
デザイン・広報の分野で専門性を深め、社会課題の取り組みへの関心から現在は行政で仕事をされている田中さん。続けて取り組んだ4件のプロジェクトについてお話を伺いました。
※田中さんのGRANT参加実績はこちらからご覧いただけます。
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社会のための広報にやりがいを感じました
地方公務員として、役所の広報部門に勤務しています。もともとは美術系の大学を卒業し、販促物のデザインや広告制作の会社でプロデューサーとして働いていました。制作の現場ではデザインを担う立場にいましたが、もっと上流の、広報やコミュニケーション全体を俯瞰する仕事をしたいと考えるようになり転職しました。
転職後は民間企業の広報職として、CSR活動の一環として沖縄県のシングルマザーの方々にデザインの知識を伝える取り組みに関わる機会がありました。社会課題をテーマにした広報活動は、営利企業の売上や認知向上といった成果を求められる広報とは異なり、社会に根差した取り組みです。この経験を通して「難しいところもあるけれどやる価値がある」「こういう仕事をもっとやりたい」と感じ、公共の仕事を目指そうと思ったことが、現在の仕事につながっています。
私がいる部署は、庁内の広報担当者をつなぎ、幅広い行政課題をわかりやすく発信することを目指して設立された、比較的新しい組織です。民間で培った専門的な知見を活かすことを目的として採用された職員も多数所属しています。私はその中で、広報とデザインの専門性を生かし、広報分野を担当することになった職員の支援なども行っています。
転職後は民間企業の広報職として、CSR活動の一環として沖縄県のシングルマザーの方々にデザインの知識を伝える取り組みに関わる機会がありました。社会課題をテーマにした広報活動は、営利企業の売上や認知向上といった成果を求められる広報とは異なり、社会に根差した取り組みです。この経験を通して「難しいところもあるけれどやる価値がある」「こういう仕事をもっとやりたい」と感じ、公共の仕事を目指そうと思ったことが、現在の仕事につながっています。
私がいる部署は、庁内の広報担当者をつなぎ、幅広い行政課題をわかりやすく発信することを目指して設立された、比較的新しい組織です。民間で培った専門的な知見を活かすことを目的として採用された職員も多数所属しています。私はその中で、広報とデザインの専門性を生かし、広報分野を担当することになった職員の支援なども行っています。
プロボノとの出会いから参加まで
「プロボノ」という言葉自体は数年前から知っていました。広報に携わっている友人が「プロボノに参加した」と話していたのを聞いて、「自分もいつかやってみたい」と思ったことを覚えています。ただ、当時は実際にどうやって関わればいいのかわからず、きっかけもないままに数年が過ぎていました。
公共の仕事に就いてからは副業ができないこともあり、「今が始めるチャンスかもしれない」と思うようになりました。仕事にも慣れ、時間に余裕が出てきたタイミングで改めてプロボノについて調べてみたところ、GRANTに出会いました。
GRANTのサイトを見て、参加団体や募集記事の説明がとてもわかりやすく書かれていたことが印象に残りました。活動の背景や目的も丁寧に説明されていて、「これなら自分にもできそう」と思い実際に踏み出しました。
公共の仕事に就いてからは副業ができないこともあり、「今が始めるチャンスかもしれない」と思うようになりました。仕事にも慣れ、時間に余裕が出てきたタイミングで改めてプロボノについて調べてみたところ、GRANTに出会いました。
GRANTのサイトを見て、参加団体や募集記事の説明がとてもわかりやすく書かれていたことが印象に残りました。活動の背景や目的も丁寧に説明されていて、「これなら自分にもできそう」と思い実際に踏み出しました。
最初の一歩は調布市のプロジェクト
初めて参加したプロジェクトは、調布市地域デビュー推進委員会さんの「地域デビューイベント告知のチラシ作成」です。
調布市地域デビュー推進委員会は、調布市の生涯学習の部署と協力しながら、シニア世代が地域とつながる第一歩となるようなイベントの企画・運営に取り組んでいる団体さんです。
私自身が印刷物の制作経験が長く、デジタルよりも紙媒体の方が得意だったこともあって募集記事を読んで具体的なイメージが湧き、「これは私が力になれる」と感じて手を挙げました。最初のプロジェクトでしたので、身近な東京の団体さんを支援したいと思いましたし、調布市は以前近くに住んでいたこと、仕事で訪れたこともあったので親しみを感じていました。
地域活動に取り組んでいる団体さんは、普段の仕事ではなかなか出会わない年齢層の方々と思い緊張感をもって臨んだことを覚えています。なるべく専門的な言葉を使わないようにし、さらに完成形のイメージを持っていただけるよう、打ち合わせでご要望を伺った後は、ほぼ完成に近い形で案をご提案し、それから修正という流れをとりました。11月5日にチラシ案をご送付した後は、色の変更のご要望に対応しています。
GRANTのシステムに記載するスケジュールは、「誰が」「何を」「何日までに」という点を意識して記録していきました。
プロジェクト完了後に、参加者が増えたというお話を伺えたことは大きな喜びでした。私はカッコいいデザインはあまり得意ではないのですが、情報をわかりやすく整理することには自信があります。今回のチラシは情報量がとても多かったので、目に入りやすいように整理することを第一に考えました。文字の大小や配置などで「強弱」をつけ、タイトルやキャッチコピーに大きなサイズの文字を置くことで、読み手の視線を自然に誘導しました。
調布市地域デビュー推進委員会は、調布市の生涯学習の部署と協力しながら、シニア世代が地域とつながる第一歩となるようなイベントの企画・運営に取り組んでいる団体さんです。
支援募集記事:地域デビューイベント告知のチラシ作成
私自身が印刷物の制作経験が長く、デジタルよりも紙媒体の方が得意だったこともあって募集記事を読んで具体的なイメージが湧き、「これは私が力になれる」と感じて手を挙げました。最初のプロジェクトでしたので、身近な東京の団体さんを支援したいと思いましたし、調布市は以前近くに住んでいたこと、仕事で訪れたこともあったので親しみを感じていました。
地域活動に取り組んでいる団体さんは、普段の仕事ではなかなか出会わない年齢層の方々と思い緊張感をもって臨んだことを覚えています。なるべく専門的な言葉を使わないようにし、さらに完成形のイメージを持っていただけるよう、打ち合わせでご要望を伺った後は、ほぼ完成に近い形で案をご提案し、それから修正という流れをとりました。11月5日にチラシ案をご送付した後は、色の変更のご要望に対応しています。
GRANTのシステムに記載するスケジュールは、「誰が」「何を」「何日までに」という点を意識して記録していきました。
プロジェクトのスケジュール
プロジェクト完了後に、参加者が増えたというお話を伺えたことは大きな喜びでした。私はカッコいいデザインはあまり得意ではないのですが、情報をわかりやすく整理することには自信があります。今回のチラシは情報量がとても多かったので、目に入りやすいように整理することを第一に考えました。文字の大小や配置などで「強弱」をつけ、タイトルやキャッチコピーに大きなサイズの文字を置くことで、読み手の視線を自然に誘導しました。
成果物(地域デビューのチラシ)
丁寧に伝える。広告で学んだ姿勢をそのままに
その後、団体さんから「2カ月後にもう一つイベントがあるのでそちらのチラシもお願いできませんか」と連絡をいただき、2つ目のプロジェクト「イベント告知のチラシ作成」も担当することになりました。
最初の成果物を気に入ってくださった団体さんからのお声がけでしたので、サークル活動の写真を追加するなど内容を調整しつつ、基本的な構成はそのまま踏襲する形で制作しました。
構成については、最初にキャッチコピー「人生100年、新しい世界へ一歩踏み出そう!」とタイトル「サークルデビューしませんか?」があって、そこで興味を持った方がよく読むと次に「場所」や「締切日」といったイベント情報がわかる、という順番に整理しました。うら面はサークル団体の紹介欄です。活動内容がすぐに伝わるよう、スポーツ系・まち歩き系・音楽系といったカテゴリーを分け、それぞれ色を変えることを提案しました。
最初の成果物を気に入ってくださった団体さんからのお声がけでしたので、サークル活動の写真を追加するなど内容を調整しつつ、基本的な構成はそのまま踏襲する形で制作しました。
成果物(イベント告知のチラシ)
構成については、最初にキャッチコピー「人生100年、新しい世界へ一歩踏み出そう!」とタイトル「サークルデビューしませんか?」があって、そこで興味を持った方がよく読むと次に「場所」や「締切日」といったイベント情報がわかる、という順番に整理しました。うら面はサークル団体の紹介欄です。活動内容がすぐに伝わるよう、スポーツ系・まち歩き系・音楽系といったカテゴリーを分け、それぞれ色を変えることを提案しました。
東京都から離れた2つのプロジェクトも経験
次に取り組んだのは、イコウェルすみた(岩手県住田町)さんのプロジェクト「移住定住を体験できる滞在施設案内チラシの作成」です。元のチラシがあって掲載内容のおおよその見当がついていた調布市の団体さんの事例とは異なり、掲載要素や構成から検討して制作しました
必要な情報をイチからヒアリングし、初回のご提案では、構成案だけでなく、「この写真は後でレタッチして明るくします」「このスペースにはイラストを入れる予定です」など、完成形をイメージしていただけるよう、但し書きをつけて提出しました。
こうした進め方は、広告の世界で培った「相手に寄り添って説明する」スタンスが活きたと感じています。当時の顧客は広報やマーケティングの部署の方が多かったのですが、齟齬が生まれないよう丁寧に説明しながら進めることを心がけていましたし、今の仕事でも気を付けている点です。今回の取り組みもその延長線上にあると思っています。
最近では、八幡学区地域福祉推進協議会(愛知県名古屋市)さんのプロジェクト「若い方にも見て貰えるような、イベント報告チラシデザインの作成」に関わりました。チラシというより、地域新聞に近いもので、文章量も多く、若い世代にも響くデザインをご希望でした。最初に「今後も編集可能なテンプレート」と「キャッチーな紙面」のどちらにしますかとご相談したところ、後者をご希望でしたので、雑誌風のレイアウトで仕上げました。
納品はパワーポイント形式で行いました。今の仕事で磨かれた「パワーポイント再現技術」が発揮されたことと思います。フォントや特殊な装飾は画像化して、本文は団体さんが編集できるように調整する方法です。成果物について「自分たちでは絶対に作れなかった」と喜んでいただけて大変うれしく思いました。
必要な情報をイチからヒアリングし、初回のご提案では、構成案だけでなく、「この写真は後でレタッチして明るくします」「このスペースにはイラストを入れる予定です」など、完成形をイメージしていただけるよう、但し書きをつけて提出しました。
成果物(滞在施設案内チラシ)
こうした進め方は、広告の世界で培った「相手に寄り添って説明する」スタンスが活きたと感じています。当時の顧客は広報やマーケティングの部署の方が多かったのですが、齟齬が生まれないよう丁寧に説明しながら進めることを心がけていましたし、今の仕事でも気を付けている点です。今回の取り組みもその延長線上にあると思っています。
最近では、八幡学区地域福祉推進協議会(愛知県名古屋市)さんのプロジェクト「若い方にも見て貰えるような、イベント報告チラシデザインの作成」に関わりました。チラシというより、地域新聞に近いもので、文章量も多く、若い世代にも響くデザインをご希望でした。最初に「今後も編集可能なテンプレート」と「キャッチーな紙面」のどちらにしますかとご相談したところ、後者をご希望でしたので、雑誌風のレイアウトで仕上げました。
成果物(イベント報告チラシ)
納品はパワーポイント形式で行いました。今の仕事で磨かれた「パワーポイント再現技術」が発揮されたことと思います。フォントや特殊な装飾は画像化して、本文は団体さんが編集できるように調整する方法です。成果物について「自分たちでは絶対に作れなかった」と喜んでいただけて大変うれしく思いました。
手を動かす楽しさを思い出しました
この半年間で、4件のプロジェクトに参加しました。ちょうど本業の仕事が落ち着いていた時期だったというのもあり、タイミングがよかったこともあります。普段の業務では、自分自身が制作物を手がけることはあまり多くありません。アドバイスをしたり、企画段階で関わったりといった内容が中心です。GRANTのプロジェクトでは久しぶりに自分の手を動かしてものづくりに関わることができ、「やっぱり制作って楽しい」と感じながら取り組むことができました。
大きな枠組みの中で働いていると、どうしても引いた目で広い範囲を対象に、「多くの人に届けるにはどうすればいいか」「認知していただくためにはどうしたらいいか」と考えることが多くなります。そうした普段の仕事とは違って、地域で実際に活動されている団体の方々と直接お話しできたことで、現場で何が起きているのか、どんなことに困っておられるのかをリアルに知ることができました。それはとても新鮮で、学びの多い経験となりました。
特に印象に残っているのは、高齢の方や、現役を引退された方々が地域活動の担い手として活躍されている姿です。みなさん本当にお元気で、「まだまだ元気に働けるのでは?」と思うくらい、生き生きと地域に関わっておられる。その姿には心を打たれましたし、地域を支える力の大きさを実感しました。
大きな枠組みの中で働いていると、どうしても引いた目で広い範囲を対象に、「多くの人に届けるにはどうすればいいか」「認知していただくためにはどうしたらいいか」と考えることが多くなります。そうした普段の仕事とは違って、地域で実際に活動されている団体の方々と直接お話しできたことで、現場で何が起きているのか、どんなことに困っておられるのかをリアルに知ることができました。それはとても新鮮で、学びの多い経験となりました。
特に印象に残っているのは、高齢の方や、現役を引退された方々が地域活動の担い手として活躍されている姿です。みなさん本当にお元気で、「まだまだ元気に働けるのでは?」と思うくらい、生き生きと地域に関わっておられる。その姿には心を打たれましたし、地域を支える力の大きさを実感しました。
自分が思う以上に、自分の仕事の専門性が高いと実感するように
これまで、自分の専門性について強く意識していたわけではないのですが、現在の仕事に携わる中で、デザインや広報は自分が思っている以上に専門性の高い分野なのだと実感するようになりました。自分にとっては当たり前のことが、誰かにとっては大きなハードルになっていることもあるのだと、現場の声を通じて理解が深まりました。
これから参加を検討されている方の多くは、何らかの専門性や実務経験をお持ちの方だと思います。実際、社会にはそうした力を必要としている現場がたくさんあります。私自身がそうだったように、一歩踏み出してみることで、自分の力が誰かの助けになると実感できるはずです。ぜひ、ご自分の専門性を活かし、一緒により良い社会を目指していけたらと思います。
これから参加を検討されている方の多くは、何らかの専門性や実務経験をお持ちの方だと思います。実際、社会にはそうした力を必要としている現場がたくさんあります。私自身がそうだったように、一歩踏み出してみることで、自分の力が誰かの助けになると実感できるはずです。ぜひ、ご自分の専門性を活かし、一緒により良い社会を目指していけたらと思います。