【開催レポート】みんなのGRANTアフタートーク
2026.07.15

6月25日(木)に、トークイベント「みんなのGRANTアフタートーク — 経験者インタビューからふりかえる活動の今 —」を開催しました。
今回のイベントでは、実際にGRANTを活用されている2つの団体をゲストにお迎えし、21名の方にご参加いただきました。「プロボノとの出会いが活動にどのような変化をもたらしたのか」、トークセッションを中心にご紹介します。
開催概要
開催日時:2026年 6月 25日(木)13:30-14:30
開催方法:オンライン(Zoom)
プログラム:
1 GRANTとは?
2 GRANT経験者インタビュー紹介
3 トークセッション
4 感想共有
5 GRANT活用法のご紹介
ゲスト
NPO法人 kosodateはぐはぐ 前島 朋子さま(茨城県つくば市)
ノルディックウォーキングSALC 松尾 直幸さま(佐賀県佐賀市)
トークセッション
プロボノと歩む、団体の「今」と「未来」
一歩踏み出した先で見つけた、新しい仲間と団体の可能性
トークセッションでは、2025年にGRANTインタビューへご協力いただいた2つの団体をお招きし、活動やプロジェクトの振り返りについてお話しいただきました。
※NPO法人kosodateはぐはぐ さんのインタビュー(2025年11月実施)はこちらからご覧いただけます。
※ノルディックウォーキングSALC さんのインタビュー(2025年9月実施)はこちらからご覧いただけます。
GRANT運営事務局(以下、事務局):団体の活動についてご紹介をお願いします。
NPO法人kosodateはぐはぐ 前島さま(以下、前島さま):「NPO法人kosodateはぐはぐ」で代表理事を務めております、前島朋子です。私たちは、「ホームスタート」という家庭訪問型の子育て支援を中心に活動しています。
私は助産師として、これまで出産直後のお母さんたちを支えてきました。一方で地域に出ると、育児に疲れ、孤独や不安を抱えながら子育てをしている方が多くいらっしゃることを知りました。「子どもはかわいいけれど毎日が苦しい」という声を聞き、せっかくの子育ての時間をそのような思いで過ごしてほしくないという気持ちから、2014年に訪問支援を始めました。
ホームスタートでは、専門職ではなく、子育て経験のある地域の方が研修を受けてボランティアとして家庭を訪問し、親子を支えています。親子の孤立をなくし、人と人が支え合う地域づくりを目指して活動しています。
また、プロボノの支援をきっかけに活動の幅も広がり、現在は親子の居場所づくりや子どもの音楽会なども開催し、多世代や文化のつながりづくりにも取り組んでいます。本日はよろしくお願いいたします。
ノルディックウォーキングSALC 松尾さま(以下、松尾さま):私たちは任意団体「ノルディックウォーキングSALC(サルク)」として、佐賀県で活動しています。「サルク」は佐賀の方言で「歩く」という意味です。
ノルディックウォーキングの普及を通じて健康づくりを進めています。全身運動になるため、リハビリから健康づくりまで幅広い方が取り組むことができ、実際に体験した方からは「出会えてよかった」という声も多くいただいています。その声を受けて、「もっと多くの方に知っていただきたい」という思いから、GRANTも活用しながら活動を広げてきました。現在は10~20名ほどの方が参加されており、高齢の方を中心に活動しています。
活動を続ける中で助成金にも採択されるようになり、今年はキリン福祉財団の「地域のちから応援事業」の助成を受けて、ノルディックウォーキングを通じた心と体の健康づくり、そして地域を豊かにする活動に取り組んでいます。少しずつ活動の認知も広がり、さまざまな方にご参加いただいています。よろしくお願いいたします。
事務局:GRANTを知ったきっかけと、活用しようと思われた理由を教えてください。
前島さま:プロボノという言葉を初めて知ったのは8年ほど前ですが、当時は日々の業務をこなすことに精一杯で、活用する余裕はありませんでした。
数年前に事務担当者が外部研修に参加した際、茨城県の認定NPO法人が主催するセミナーでGRANTの紹介を受けました。活用方法を聞いて、「今なら一歩踏み出せるかもしれない」と思い、応募を決めました。
実際に関わっていただいて印象的だったのは、面識もない遠方の方が「お手伝いできますよ」と手を挙げてくださったことです。それだけでも大きな励みになりましたし、プロボノワーカーの皆さんは仕事が早く、質も高くて、本当に社会人の方のお仕事経験や知識はすごいと感じました。「もっと早く活用していればよかった」と思っています。
松尾さま:2024年に佐賀市の市民活動プラザで開催された「新たな協力者の見つけ方」というプロボノ講座で、初めてプロボノという言葉を知りました。
当時は団体運営をほとんど一人で担っていたため、「協力してくれる人がいたらいいな」という思いで参加しました。話を聞くうちに、全国の専門的なスキルを持つ方々が 無償で協力してくださる仕組みだと知り、半信半疑ながらコーディネーターに相談しました。
その中で、「団体の考えと一般の方の受け止め方には違いがあるかもしれないので、アンケートを実施してみてはどうか」という提案をいただきました。それをきっかけにGRANTでプロジェクトを登録し、プロボノの活用につながりました。
事務局:プロジェクトを振り返って、特に印象に残っていることを教えてください。
前島さま:特に印象に残っているのは、団体基盤強化のための助成金をいただいたものの、どのように進めればよいか分からず、伴走支援をお願いしたプロジェクト「ボランティア活動の新たな仕組み「ぽいボラ」の立ち上げ」です。
ボランティア活動をポイントで「見える化」する「ぽいボラ」という仕組みを考えていましたが、何から始めればよいか分かりませんでした。担当してくださったプロボノワーカーの方は、すぐに成果物を作るのではなく、まず私たちの話を丁寧に聞くことから始めてくださいました。
「団体が大切にしていることは何か」「今取り組もうとしていることは本当に必要なのか」といったことを、毎週1時間、宿題も交えながら数か月にわたって対話しました。その時間が、自分たちの活動を見つめ直し、目的を再確認する貴重な機会になりました。それまでは「子育て家庭を支える」という視点でしたが、「子どもを真ん中に、地域全体が支え合う社会をつくる」というビジョンへと広がる、大きな転機にもなりました。
最初は「そもそものところから整理しましょう」と言われ、限られた期間の中で間に合うのか不安もありましたが、スケジュールも一緒に組み立ててくださり、振り返りの大切さも教えていただいたことで、安心して取り組むことができました。
最終的にはGRANTでの別プロジェクトも組み合わせて営業資料が完成し、自信を持って活動を伝えられるようになりました。資料自体は私たちが作成し、プロボノワーカーから編集面でアドバイスをいただきながら、必要に応じて別の専門家にも協力いただいて進めました。現在もボランティアの皆さんに活用いただいており、新たな仲間との出会いにもつながっています。本当に感謝しています。
松尾さま:これまでに3件のプロジェクトが完了し、現在も2件が進行中です。
どのプロジェクトでも、プロボノワーカーの皆さんがとても丁寧に話を聞いてくださることが印象に残っています。中でも忘れられないのは、最初に募集したアンケート作成のプロジェクトです。結果的にはマッチングには至りませんでしたが、3名の方から問い合わせをいただきました。
そのうちのお一人から、「アンケートを実施した経験はありますか」「まずはこの本で学んでみてください」とアドバイスをいただきました。最初は意外に感じましたが、「アンケートは専門家でも十分なデータを集めるのが難しいことがある」と教えていただき、その代わりに、インターネット上の統計データやSNSの情報を調べ、「今はここまで情報が集まっています」「ここから発信していく方法もあります」と具体的な提案をしてくださいました。
また、別のプロジェクトでは、ミーティング当日までに資料を準備してくださり、「団体にはこういうものが必要ではないでしょうか」と提案していただきました。そうした対話を重ねる中で、「自分たちでもできることがある」と気づくことができ、プロボノの視点からのアドバイスが、自分たちで一歩踏み出すきっかけになりました。
チラシや広報についても、毎週のミーティングを通じて、第三者の視点から団体の強みを整理していただきました。成果物を作るだけでなく、本質的な部分について提案をいただけることがプロボノの大きな魅力だと感じています。コミュニケーションを重ねながら一緒に形にしていくことで、自分たちにも多くの学びがありました。現場での活動は私たちが担い、広報や資料づくりなど専門性が必要な部分はプロボノの力を借りることで、それぞれの強みから相乗効果が生まれています。
事務局:外部の方と一緒に活動を進める中で、団体にはどのような変化がありましたか。
前島さま:一番大きな変化は、視野が広がり、自分たちでは気づけなかった団体の強みに気づけるようになったことです。第三者の視点をいただいたことで、メンバーにもその変化が広がり、活動に自信を持って積極的に動いてくれるようになりました。
プロジェクトをきっかけに、「オリジナルキャラクターがあるといいですね」という話が出たこともあり、終了後に団体のオリジナルキャラクターを作りました。現在は、そのキャラクターを使ったクッキーやキーホルダーを寄付の返礼品として活用するなど、自主財源づくりにも取り組んでいます。
また、活動を発信するために、ボランティアメンバーと一緒に月2回のポッドキャストも始めました。今後はオリジナルキャラクターを活用した絵本づくりにも挑戦したいと考えており、活動の可能性が広がっています。
プロボノでいただいたのは、成果物だけではありません。活動を見つめ直し、これからの方向性を一緒に考えてくださる伴走支援だったと感じています。「一人で頑張らなくていい」「助けてほしいと伝えれば力を貸してくれる人がいる」ということに気づき、頑張りすぎなくてもよいのだと思えるようになりました。
松尾さま:活動への参加者が以前の約3倍に増えたことが一番大きな変化です。
プロジェクトを通じて、自分たちでできる広報の方法を考え、ブログを整備して「誰が活動している団体なのか」が伝わるようにしました。また、地域のウォーキングアプリなども活用しながら情報発信を工夫しました。そうした積み重ねに加え、「自分たちにもできる」という意識の変化も大きかったと思います。
もともとは、「活動に関心を持っている人がいるのではないか」という思いからプロボノに挑戦しましたが、支援者の皆さんから成果物という贈り物をいただいたことで、「自分たちももっと頑張ろう」という気持ちが強くなりました。
無償でいただいた支援に応えたいという思いから、助成金や補助金への応募、行政事業へのチャレンジなど、新しいことにも積極的に取り組むようになりました。
プロボノは、お困りごとを解決するためだけの仕組みではなく、団体自身が一緒に成長していく機会だと感じています。今では何か課題があると、「まずはGRANTに相談してみよう」と考えるようになりました。
事務局:最後に、GRANTの活用を検討している皆さんへメッセージをお願いします。
松尾さま:GRANTにプロジェクトを掲載しても、必ずマッチングするとは限りません。私自身も、2回はマッチングに至りませんでした。
それでも、プロジェクトを立ち上げる過程で、自分たちの活動や思いを言葉にすることで、団体を見つめ直す機会になります。また、私のように九州にいても首都圏の方とつながることができるなど、地域を超えた出会いを通じて新しいアイデアをいただけることも大きな魅力です。例えば現在は、ロゴデザインを首都圏の方にお願いしていますが、その方が佐賀県について調べ、地域にも興味を持ってくださいました。地方の団体にとって、GRANTは関係人口を広げるきっかけにもなるのではないかと感じています。
一緒に協力しながら何かをつくり上げ、その達成感を分かち合えることもGRANTの魅力です。私自身も「活用して良かった」という思いから、現在はコーディネーターとしても関わっています。
前島さま:もし少しでも関心があるなら、ぜひ一度チャレンジしてみてください。私自身も、GRANTの存在は知っていても、なかなか一歩を踏み出せませんでした。しかし実際に活用してみると、新しいサポーターが増えたような心強さを感じました。サービスグラントのスタッフの皆さんもサポートしてくださるので、安心して挑戦していただけたらと思います。
今日の登壇にあたっても、以前ご一緒したプロボノワーカーの皆さんから「応援しています」とメッセージをいただきました。プロジェクトが終わってもつながりが続き、心強い仲間が増えていくこともGRANTの大きな魅力です。ぜひ一歩踏み出してみていただければと思います。