
西中国山地自然史研究会は、環境保全・里山文化の継承・生物の多様性などの観点から西中国山地の豊かな自然環境を保全し、地域社会に貢献することを目的に活動しています。
西中国山地は中国山地の西側(広島県、島根県、山口県の県境)に位置します。冷涼な気候に支えられた原生的なブナ林や八幡湿原とともに、人が関わってきた里山や半自然草原などが存在します。1991年から旧芸北町が実施した自然学術調査では、それまで冬鳥とされていたシロハラとミヤマホオジロの巣が国内で初めて確認されるなど貴重な発見が相次ぐ一方、野生生物の生息環境が徐々に減少している現状や、絶滅寸前の生物も存在することがわかりました。
調査に携わった研究者から地域住民と連携した環境保全の必要性が提起されたことをきっかけに、自然の価値や意義を伝えるための町民講座が始まり、その取組が発展し、西中国山地自然史研究会が誕生しました。
現在では、地域住民と連携しながら、里山文化を継承するための活動や環境学習を行い、持続可能な地域社会の実現のために活動しています。
北広島町芸北地域は広島県の北西部に位置し、北部は稜線を境に島根県と接し、1,000m級の山の連なる県境一体は西中国山地国定公園に指定されています。総面積253.6 km²のうち、森林面積は93%を占めており、豊かな自然環境を背景に昔から地域のエネルギー源として薪が使われて来ました。
しかし近年、生活スタイルの変化にともない山に入る人が少なくなり、里山が荒廃してきました。石油・ガス・電気が普及したため里山の経済的価値が減少し、二次林や二次草原が放置され耕作放棄地が拡大し、里山生態系の質が劣化し特有の動植物が消失しつつあります。
この地域では家の裏山のことを「せどやま」と呼び、暮らしに欠かせない大事な場所でしたが、現在は、せどやまを手入れする担い手も不足しています。そこで、10年前から私たちは「芸北せどやま再生事業」をスタートしました。
この事業は全国で展開されている木の駅をアレンジし、少量でも安定した値段で木を買い上げるしくみをつくり、安全に木の搬出を始められるように研修会を行い、誰でも着手しやすい山仕事の提案をすると共に、薪としての販売や温浴施設の薪ボイラーなど消費先の確保も実現しました。さらに、木の買い取り時の支払いにこの地域だけで使える地域通貨を使うことで、経済の循環も図っています。この他に、町内の小学校で活動のことを伝える「せどやま教室」を実施したり、観光分野との連携をしたりしています。
今後は、豊かな山林の活用や生活の中でもっと木を使う暮らしの提案や実践を進めたいと考えています。そのため、2025年には山林の持ち主と山林を使いたい人をつなぐ「里山バンク」の構築を検討しており、今後ますます木の取扱量を増やしていきたいと考えております。
里山が整備されると生物多様性が高まり、地域の人が大切にしている町花ササユリが咲く里山の景観を守り、自然エネルギーの普及を通して地域内外の持続可能性を高めて行くことにも寄与します。
プロボノワーカーとして、ICTツールを活用した、里山保全につながる木・薪の「在庫管理」設計に関してご協力いただける方を募集しています。
現在、土場における原木の受け入れと薪の生産に追われており、しくみの改善にまで手が回らない状況が続いています。
中でも原木や薪の在庫量やその在庫の納入先が特定のスタッフにしかわからない状態のため、どのスタッフが見てもわかるようにすることで、効率的な管理ができるようにしたいと考えています。
特に今後、木の取扱量を増やしていくためには、限られた人員と置き場の広さを有効活用する効率的なオペレーションが求められます。
① 今困っていること「大量の原木と薪の在庫の管理」
木と薪の在庫管理の現状 (写真参照)
保管場所の広さ:約4,466㎡
原木の量:広葉樹150t、針葉樹50t
薪の量:施設向けの薪100t、個人向けの薪55t
②私たちの考える現状の問題点
・原木や薪の在庫量や納入先などは作業担当のスタッフ2名にしかわからない状態で、それ以外のスタッフには共有できておらず属人的な状態です。
・薪は出荷前に十分乾燥させる必要がありますが、外見上の区別は難しいため、都度確認の手間が発生し、在庫の取り間違いのリスクも高い状態です。
・現在は紙ベースで在庫管理をしているため、土場の広さも相まって手計算だと数字の精度が低いなどエラーが起こりやすい状態です。
③解決イメージ
薪の管理にデータベースを導入し、データにアクセスすれば誰が見てもわかるようにすることで解決できるのでは?と期待しています。しかし、その設計方法や利用できるツールについて知見がないので、協力をお願いしたいと考えています。
在庫管理がスムーズになれば、お客さまや林家(りんか)さんと対話できる時間も増え、コミュニケーションを取ることで地域の山林や里山の状況をより正確に把握し、活動全体を次のステップへと導くことができます。
このページを最後までご覧頂きまして、ありがとうございました。
私たちは、木を使う文化を広めるため、少しでも良い薪を届けたいと日々作業をしていますが、薪の生産・販売の基盤となるシステムの改善のための人手や知識が不足しています。
そこで、在庫管理のしくみの設計をしたことがある方、データベースの設計・運用の経験のある方、ICTツールの選定に知見のある方、ぜひ力をお貸しください。
私たちはこの地域に暮らし、自然の中で働き、芸北という場所に誇りを持っています。こういった想いに共感してくれる方と一緒に、地域と自然の輝きを未来に繋いで行けたらと考えています。
そして何より地域の仲間と一緒に方言を交えながら、楽しくコミュニケーションがとれる方と出会えることを楽しみにしています!
所在地 |
〒
731-2551
広島県山県郡北広島町東八幡原10119-1 |
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ホームページ | http://npo.shizenkan.info |
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関連情報 |
・NPO法人サービスグラントからのご案内
①本プロジェクトは、農林水産省「農山漁村振興交付金(地域活性化対策(農山漁村関わり創出事業))」の採択を受けた事業となります。
②現地滞在費のサポートは、プロジェクト期間が1カ月以上あり、2泊3日以上の現地滞在(半日以上の農林水産業の作業体験を含む)が対象です。
③広島県山県郡以外に居住する、日本国籍又は永住権を有する60歳未満の方であることがご参加の条件です。
④参加者および、生計を一にする親族、同性婚・事実婚等のパートナー1名まで現地滞在費サポートの対象になります。ただし、 農林水産業の作業体験等の現地活動への参加、プロボノ活動への協力が条件(個人ではなく、家族チームでの参加)です。 現地滞在へのお子様の同伴も可能ですが、現地滞在費のサポートは対象外となります。
広島県というと海沿いのエリアを思い浮かべることが多いかもしれませんが、実は県北エリアには山々が広がっていて、そこで文化豊かな暮らしをされている方がたくさん居られます。西中国山地自然史研究会の皆さんも地域に根ざしたとても素敵な取り組みをされています。自然に囲まれた環境の中で楽しみながら活動されている地域の輪に飛び込んでみませんか?



